35番 四逆散(しぎゃくさん)

マイナートランキライザーとは抗不安薬。神経症やうつ病、心身症などに用いられます。マイナーがあるってことは、メジャーもありまして、メジャートランキライザーは抗精神病薬です。こっちは、統合失調症やアルコール依存症などに用いられます。

マイナートランキライザーの処方については、1)必要最小限で 2)効果判定は1週間服用後に 3)多剤併用は避け 4)改善がみられたら頓用に変更し 5)3ヶ月以上改善がみられなければ専門医紹介 が留意点。

ところが、3ヶ月以上たっても、なかなか専門医に行ってくれない… それだけ、心療内科・精神科受診のハードルは高いのかなと感じます。また、身体依存ではなく、何年も長期にわたって同僚のマイナートランキライザーを飲み続ける精神依存(習慣性、もっといえば癖になる)も経験します。

今回の四逆散は漢方薬のマイナートランキライザー。ただし、西洋薬のような薬剤耐性や依存はないのが利点です。

使用目標(証)

本方は、体力中等度で、季肋部の苦満感と肋骨弓下部の抵抗・圧痛(胸脇苦満)が顕著な例に用いる。腹部では、胸脇苦満とともに、腹直筋の緊張、心窩部の膨満感や痛みなどを呈することが多い。時に不安、不眠、肩・頸部・背部のこりなどを認めることがある。

組成

柴胡(さいこ) 芍薬(しゃくやく) 枳実(きじつ) 甘草(かんぞう)

勝手にポイント

四肢に気が行き渡っていない状態を「四逆」といい、四逆散はその状態に対する薬。漢方薬のマイナートランキライザー。

似た名前の漢方薬に四逆湯があるが、こちらは乾姜、附子、甘草からなる冷え・虚証に用いる薬でエキス剤はなし。

柴胡が入っているので柴胡剤。胸脇苦満が目標。

芍薬が入っているので腹皮拘急に使える。

枳実に精神安定作用あり。(ちなみに枳実は未熟な柑橘系果実。成熟すると枳穀)