6番 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)

皮膚科っぽい漢方薬といえば、十味敗毒湯と紫雲膏だと思ってました。アプリ「プロ漢方」で調べると、意外と十味敗毒湯の適応って広くない印象。確かに急性期には使うものの、あせもなら消風散、しもやけなら温経湯・四物湯・当帰四逆加呉茱萸生姜湯、にきびなら荊芥連翹湯・桂枝茯苓丸加薏苡仁・清上防風湯、老人性掻痒症なら真武湯…

同じしもやけでも、どのように使い分けるのか… それは番号順シリーズのあとで…

使用目的(証)

本方は、体力中等度の人の諸種皮膚疾患に頻用される。皮膚所見は、膿疱、散発性・びまん性発疹(丘疹・膨疹)、滲出液が乏しいなどの特徴が見られる。腹部では、肋骨弓下部に軽度の抵抗・圧痛(胸脇苦満)を認めることが多い。主として急性増悪期に用いるが、化膿性疾患が再燃しやすい例に連用することもある。

組成

荊芥(けいがい) 防風(ぼうふう) 生姜(しょうきょう) 柴胡(さいこ) 桔梗(ききょう) 甘草(かんぞう) 川芎(せんきゅう) 茯苓(ぶくりょう) 樸樕(ぼくそく) 独活(どっかつ)

勝手にポイント

オリジナルは華岡青洲が作った荊防敗毒散。浅田宗伯がアレンジ。

荊芥(けいがい)はシソ科の植物。麻黄と桂皮に似る。発汗して病気を外に出すイメージ。

防風(ぼうふう)はセリ科の植物。荊芥と防風はしばしばセットで使う。

生姜(しょうきょう)は温める薬。

柴胡(さいこ)は炎症をとる。わずかに冷やす「微寒」

桔梗(ききょう)は桔梗の根っこ。鎮咳去痰薬。排膿・鎮痛効果あり

川芎(せんきゅう)は血の巡り、気の巡りを良くする。

茯苓(ぶくりょう)は利水剤。

樸樕(ぼくそく)はクヌギの木の樹皮。日本のエキス剤では、ツムラのみ樸樕を使用。他社は桜皮。

独活(どっかつ)はセリ科のウド。温めて乾かす薬。