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83番 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

「いじめっ子には抑肝散(54)、いじめられっ子には抑肝散加陳皮半夏(83)」というのを、どこかの漢方セミナーできいたことがあります…って話は、抑肝散のところで取り上げました。まじめな漢方学的には腹証によって決める。腹直筋の緊張(特に左側)や胸脇苦満が認められる場合には抑肝散を、腹直筋の緊張が認められない患者、臍上悸(臍傍悸)が認められる患者には抑肝散加陳皮半夏だそうです。(出典;日本老年精神医学会ランチョンセミナー
個人的には、ちょっとそれてしまいますけど、抑肝散(抑肝散加陳皮半夏)と加味逍遥散の使い分けの方が気になる…西本隆先生によれば、抑肝散加陳皮半夏有効群は「精神的に強い・打ち解けない」、加味逍遥散有効群は「精神的に弱い・打ち解ける」といったパーソナリティ特性があるそうです。(出典;抑肝散と加味逍遥散

使用目標(証)

本方は、神経過敏、易興奮、易怒、いらいら、不安・不眠などの精神神経症状を目標に、抑肝散を用いるべき状態よりも体力が低下した例に用いる。腹部は腹直筋の緊張を認め、著明な腹部大動脈の拍動を触知することが多い。その他、眼瞼・顔面・手足の痙攣など、小児では不穏、ひきつけ、啼泣などを呈する。

組成

白朮(びゃくじゅつ)
茯苓(ぶくりょう)
川芎(せんきゅう)
当帰(とうき)
釣藤鈎(ちょうとうこう)
柴胡(さいこ)
甘草(かんぞう)
陳皮(ちんぴ)
半夏(はんげ)

勝手にポイント

抑肝散(58)+陳皮、半夏=抑肝散加陳皮半夏
月経前症候群(PMS)には加味逍遥散。より精神症状が全面にでる月経前気分不快障害(PMDD)は抑肝散、抑肝散加陳皮半夏を使う。
禁煙治療時のイライラにも使える。

参考資料
「つまずきから学ぶ漢方薬 構造主義と番号順の漢方学習」 岩田健太郎 著 / 西本隆 監修
「漢方製剤 活用の手引き 証の把握の処方鑑別のために」 長谷川弥人 大塚恭男 山田光胤 菊谷豊彦
漢方スクエア 絵でわかる漢方処方解説 抑肝散加陳皮半夏
漢方スクエア 方剤解説 抑肝散加陳皮半夏