転売ヤーは悪なのか?マルクスの商品価値理論を基に考察。

転売ヤーは、入手困難な商品を転売目的で購入して高額で転売する人たち。

社会的に制裁を受けることもり、新型コロナウィルスが流行した際は、マスクの転売で逮捕されるケースもありました。彼らが行っている行為は本当に悪なのか。

ホリエモンは、ライブドアの有価報告証券書に虚偽の内容を掲載したとして、証券取引法等に違反した疑で逮捕されたましたが、彼曰くこの逮捕理由は当てつけで、裁判官に、「安くものを買い、高く売ろうとする卑劣な行為」のようなことを言われたそうです。

転売は昔からある正当なビジネス

この「安くものを買い、高く売る」こと自体は全く違法でもありませんし、株で儲けること自体が、この行為にあたります。人間は何千年も昔から、交易を行っていました。ペルシャでとれたグラスは奈良の正倉院でも発見されていますし、古代ローマと中国を繋いだシルクロードは商人たちがものを移動させることで、価値を生み出して、生計を立てていたのです。

現代でもせどりと呼ばれている人は、中国で製造された安い製品を日本に輸入して販売しているだけです。また、アップル・マイクロソフト様々な有名企業は、OEMモデルも商売を行っています。自分達では商品を製造せずに委託した工場が製品を製造しています。それに自社ブランドをつけることで高く販売しているのです。

では、この「安くものを買い、高く売る」交易は、合法なのに、転売ヤーは違法なのでしょうか。マルクスの商品価値論から考えてきます。

ビジネスにおける価値の創造

商品の価値には2つあります。1つは、労働価値。これは、木を椅子に加工して売る際に、加工する工程で無価値な木を有用価値のある椅子にすることで商品価値が発生したという考えてです。もう1つは希少価値。希少性にあるものに価値があるとする考えです。ダイアモンとはただのキラキラした石ころですが、希少なので高価で取引されます。逆に空気は人間にとって大変な使用価値のあるものですが、どこでも手に入るので商品価値がありません。

交易人の労働は、商品をある場所から別の場所に動かしている、このとこに価値を生み出しているのです。例えばペルシャのガラス細工を作る技術を持たない日本にわざわざペルシャからガラス細工を運ぶことこのこと自体が価値を生み出す労働なのです。ある商品を市場から別の市場に移すこと「商品の移動」が交易人が生み出す労働価値です。

転売ヤーは転売することで価値を生み出しているか?

転売ヤーは、この「商品の移動」で価値を生み出してはいません。転売ヤーがアイドルグループ嵐のチケットを買い占めたとしても、本来それは日本にいる誰にでも手に入るものです。また、限定発売人を買い占める行為も時間・場所は限られていても市場は誰にでも開かれています。それを故意に買い占めることにより、故意に供給不足を作り出します。当然供給が不足すると商品の価値は上がります。この時に転売ヤーは高く商品を販売するのです。これは、故意にマーケットを操作している行為にあたります。

つまり、転売ヤーの行っている行為は、金融法においては不公正取引にあたる行為です。不公正取引は、「財産上の利益を得る目的で、不公正取引行為により相場を変動又は固定させたりして、その相場により取引を行う」ことです。転売ヤーは、商品を買い占め供給を減らすことで市場価格を吊り上げ、高い価格で販売を行います。一般市場でこの故意な価格操作をおこなっているのです。

また、アップル・マイクロソフトが行っているOEMでは、彼らはなんら最終生産物の直接的な「労働価値」を生み出してはいませんが、商品開発・デザインを行うこと、マーケティング・ブランディングなどで商品価値を高めています。一方転売ヤーは自分達でブランディングは行いません。他の企業が生み出した価値に乗っかっているだけです。ここでも転売ヤーは一切の価値創造を行っていません。

この意味で交易人やOEMモデルの企業と、転売ヤーは一線を画します。転売ヤーは、商品が潤沢にある場所から不足している場所に移すという交易人が生み出す価値を生み出していませんし、意図的に商品不足を生み出しています。商品開発も行わないし、自社ブランディングもありません。

まとめ

この転売ヤーの行為は、自由市場による取引を社会基盤とする資本主義社会では害悪です。

ホリエモンは「安く買って高く売ること」は商売の基本だろ!とブチギレていましたが、転売ヤーの商売はこの限りではありません。



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