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【正答率53.7%】液状化地盤の水平地盤反力係数に関する問題【一級建築士試験】

【問題】

水平力が作用する杭基礎において、地震時に液状化する可能性がある地盤では、水平地盤反力係数を割増して、杭の水平力に対する検討を行う。


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【解説】

答えは「×」。


この問題は水平地盤反力係数が何なのか?ということと、液状化のイメージを理解していれば容易に解ける問題だ。


我々が普段生活する上で、「水平地盤反力係数」という言葉を知らずとも幸せに暮らせてしまうけど、一級建築士試験に合格するためには避けては通れない用語だからしっかりマスターしようね!



  1. 水平地盤反力係数とは?

  2. 液状化の現象ってどんなもの?



❶水平地盤反力係数とは?


まず、この用語を理解するために、左手で分厚い本(建物)を持って、右手に握ったペン(杭)の上に載せてみよう。


そこで、左手に持った本をぐりぐりしてみると、ペンもそれにつられてぐるぐる回転するよね?


今度は、ペンが回転しないように、もっと強くペンを握ってみよう。


そうすると、本をぐりぐりしても、ペンは回転しなくなる。


一級建築士試験においては、この握った強さが「水平方向地盤反力係数」だと思っていいよ。


❷液状化の現象ってどんなもの?


液状化という言葉を習った人は多いと思うけど、目には見えない部分で起こるものだから、実はイメージしにくいんだ。


液状化の定義は他のテキストに譲るとして、イメージしやすい液状化の現象を考えてみよう。


まず、近くの海辺に行ってみてほしい。(内陸部の人は頑張って!)


そして、その辺から木の棒(杭)を拾ってきて、砂が湿っている所を探して深く差し込んでみよう。


差し込んだ木の棒(杭)をぐりぐりすると砂地盤の持つ水平地盤反力係数により、木の棒を握った手に抵抗を感じるはずだ。


次に、この周辺地盤に液状化を発生させてみよう。


木の棒をまたぐようにして立ち、足踏みを100回してみてもらえるかな? そうするとどうだろう?


だんだん、砂の表面から水がじわ~っと浮き出てきてくるのがわかるよね? そう、今まさに液状化が発生しているんだ。


もうちょっと足踏みを続けたところで、先ほど刺した木の棒をぐりぐりしてみると、先ほどまで手に感じていた抵抗力が小さくなっていることがわかるよね?


つまり、液状化は周辺地盤の水平方向地盤反力係数を小さくする働きがあるんだ。


抵抗がなくなると、先ほどの本とペンの話でも出てきたように、杭の変形も大きくなってしまうよね?


杭の変形が大きくなるってことは不経済な設計になってしまうので、設計上は不利になってしまうってこと。


以上より、
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水平力が作用する杭基礎において、地震時に液状化する可能性がある地盤では、水平地盤反力係数を割増して、杭の水平力に対する検討を行う。 ===================================
とした設問は誤り


【まとめ】

  • 水平地盤反力係数はペンを握る強さ

  • 液状化すると、杭周辺の地盤の握力は小さくなる

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