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【正答率69.7%】SRC造の梁の許容せん断力に関する問題【一級建築士試験】

【問題】

鉄骨鉄筋コンクリート構造において、はりの許容せん断力は、鉄骨部分の許容せん断力を鉄筋コンクリート部分の許容せん断力の和として算出する。


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【解説】

答えは「×」。


鉄骨鉄筋コンクリート構造を苦手としている人は多い。とくにSRC造の許容応力(耐力)は非常に複雑だ。ここでしっかり復習をしておこう!



SRCの許容応力(耐力)の表を毎日眺めていますが中々覚えられません。




これは受験生だった頃の僕の悩みだ。 偉い人たちはなぜこんな複雑なことを考えたんだろうか?


来る日も来る日も考え続け、究極までに考え抜いたからこそ、本質にたどり着けた。


それを時短で解説しようと思う。


SRCの許容応力(耐力)の表を毎日眺めていますが中々覚えられません。


既に学習した人にはわかると思うけど、SRCの耐力ってSの部分とRCの部分を単純に足せるときもあれば、別々に考えなくてはいけない場合もあって、本当に複雑なんだよね。


梁の許容応力


  • 許容軸方向力・許容曲げモーメント:S+RC(累加可)

  • 許容せん断力 :SとRCそれぞれで検討(累加不可)



梁の許容応力を眺めてみると、許容せん断力は、それぞれの耐力を合算できないようになっているね。



柱の許容応力


  • 許容軸方向力・許容曲げモーメント:S+RC(累加可)

  • 許容せん断力(長期) :RCにせん断ひび割れを生じさせない(←長期は梁より厳しい)(累加不可)

  • 許容せん断力(短期) :SとRCでそれぞれで検討(←短期は梁と同じ)(累加不可)




次に柱の許容応力を眺めてみると、やっぱり許容せん断力はS部分とRC部分で単純累加はできない。


しかも、柱の場合はなんだか長期・短期でさらに場合分けをしているという…。 これらをじっくり観察してわかることは、柱・梁ともに「許容せん断力」については嫌がらせレベルで厳しい評価になっているってことだ。


更に柱についてはその「許容せん断力」を長期・短期で更に厳しい基準で評価していることがわかるよね?


これを丸暗記に頼ろうとしているから難しいんだよ!! 


冷静に考えてみれば、脆性破壊(ポッキーがポキッと折れる現象)はできれば避けたい破壊形式だけど、脆性破壊は確かせん断力により引き起こされるんだったよね?


だから、様々なシーンでせん断力に対しては厳しめの評価をとることが多いんだ。


もう一度、柱・梁の許容応力(耐力)を見てみよう。 どうかな?何度見ても柱・梁ともに許容せん断力は厳しい評価になっているよね?


柱に関しては脆性破壊を起こすと、即建物の崩壊に繋がるため、さらに厳しめの条件が与えられているんだ。


SRCの許容応力に関する問題は、建物にとってどんな破壊形式がいけないのかを思い出せれば簡単に解ける問題が多いってことはここだけの秘密だよ。


試験元に「SRCの許容せん断力は累加していい?」って聞かれたらどう答える?


もちろん答えは「ノー」だ!


ただし、終局耐力は“累加OK”ってことは忘れずにね!終局の時ぐらいはみんなで力を合わせなきゃ乗り越えられないからね!


以上より、
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鉄骨鉄筋コンクリート構造において、はりの許容せん断力は、鉄骨部分の許容せん断力を鉄筋コンクリート部分の許容せん断力の和として算出する。
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とした設問は誤り。


【まとめ】

  • 柱・梁ともに許容せん断力はその他の耐力評価よりも厳しめの評価となっている

  • 柱の許容せん断力については、壊れたら即人命に関わるからさらに厳しい評価となる

  • 終局の時くらいはみんなで力を合わせよう

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