給与はUSドルで払ってほしいと言われたらどうしますか?
ここまで円安になると、給与も円でもらう方がいいのか、USドルで払ってもらう方がいいのか?
報酬の水準はこれまで各国、各地域で形成されていて、その国々のこれまでの労働市場の歴史や人材の職種別構成の違い、実際の職種群に対する需要と供給のバランスで報酬水準(価格)が決まっている。そうやって報酬が形成されてきたと思います。
ところが、AIが出現してきてテクノロジーを扱う新しい職種、特定のスキルを有する集団への需要と供給が最初からグローバルマーケットで取引されるようなことになったとき、どこの国に住んでいるのか、どの国の通貨で支払うかによって手にする報酬の水準が異なるなんて話が通用しなくなる時代が来るかもしれません。ましてや、リモートワークで世界中、どこにいても仕事ができるような職種群にとっては場所は働く機会を左右する大きな条件にはならなくなるでしょう。
そうなってくると、働き手から「米国だったらこれくらいの報酬をもらえるのに、日本企業だとこれしかくれない。自分の職種はあくまでも米国基準で報酬を考えてほしい」とリクエストする社員(実際は応募段階での交渉になるかと思いますが)が出てきても不思議ではないかもしれません。
すべての職種がそのようなことにはならないと思いますが、人材マーケットのグローバル化が進むと徐々に職種別の報酬水準もグローバル化していくように思います。
そんなとき、日本の労働市場だけは相変わらず「日本語」というハードルがあってグローバル市場の人材を有効に活用しにくく、日本語の世界だけ報酬水準もグローバルとかけ離れていくと、人材獲得が難しくなっていくかもしれないし、海外留学経験の比率が高い若い世代は最初から「日本標準」しか考えない企業を相手とせず、「グローバル標準」で評価してくれる企業を働き先として考えるようになるかもしれません。
リクルートワークス研究所が発行した「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」レポートによると、「2030年に341万人余、2040年に 1100万人余の労働供給が不足する」とシミュレーションされています。
遅かれ早かれ、日本では働き手の確保が難しくなる。若い世代は海外を最初から働く先として選択するかもしれない。ジョブ型が進むということは、報酬水準についてもいずれはグローバル化の波が押し寄せてくるということではないでしょうか。日本だけ特別に「ここは日本だから、、、」と言って日本標準の水準で行こうとすることが通用しない理屈になる時代がやってくるかもしれません。
グローバル化とは、日本vsグローバルということではなく、日本がグローバルの一部になるということなんだと考えたりします。
徒然なるままに書きました。論点が甘いところがあるかもしれませんが、コメント、ご意見あればぜひお願いします。