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錦鯉 -今月の魚病対策-

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季節に先駆けた錦鯉の魚病対策について。 錦鯉愛好家の皆様に読んでいただけると幸いです。
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2023年7月の記事一覧

溶存酸素(DO)の重要性-7月の魚病対策-

流水式池では下流ほど成長率が低下すると言われますが、その原因は溶存酸素(DO)の低下であるとされています。DOの低下が餌付け不良の主たる原因であり、動脈血中のDOの低下を認め始める水中のDOは鯉で50%であるとのことです(千葉)。 つまり、DO50%以下で、摂取量の低下、成長の低下がみられたということです。 このように、鯉によってその成長や生育に酸素というものがいかに大切なものであるかということがわかります。 毒性の汚染であっても、酸素が十分にあれば助かることが多いとさ

鯉の呼吸と循環について-7月の魚病対策-

鯉の鰓蓋をめくりますと赤く綺麗な鰓がみられます。ちょうど車のラジエーターのようなヒダ、つまり鰓弁が密に並んでいて、ここで外部の水と魚体とのガス交換(呼吸)が行われています。 口腔の加圧ポンプと鰓腔の吸引ポンプの一連の作業で引き起こされます。鰓弁の基部には外転筋と内転筋があり、口腔からくる水がくまなく二次鰓弁の網の目を抜けるように鰓弁の列の位置を調整し、二次鰓弁内の血液は上皮を隔てて流れる水とは逆方向に流れ、つまり対向流になるようになっていて、ガス交換の効率を高めています(図

予防が大切-7月の魚病対策-

昨年のこの時期にエピスティリス(つりがね虫)によってかなり被害を受けたということを耳にしました。 エピスティリス(つりがね虫)は水温の高い初夏から秋までの間に発生する疾患で、つりがね状の繊毛中が鱗に寄生し、初め米粒大の白点として認められます。発病の条件性は弱く、病原虫の持ち込みを予防することが大切です。 これに対する有効薬剤は、マゾテン、メチレンブルー、マラカイトグリーン、食塩ですので、3月の魚病対策で述べた定期投薬を行うことでかなりの予防ができるものと考えます。 マラ

つりがね虫に気をつけましょう-7月の魚病対策-

今年の気候は本当に異常で、5月中旬になっても池の水温は12〜13℃を示していました。 これまでも申し上げてきましたように、魚病の発生は水温が最も関係いたしますので、5月であろうが6月であろうが、水温が低ければその水温に最も好発しやすい疾患を頭に入れて予防・治療を行うようにしてください。 今回は7月の魚病対ということで、平均的な7月の気候を念頭において話をいたしますが、その年の気候の状態あるいは地域による差が生じてまいりますので、臨機応変、池の水温に応じてやっていただきたい