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【いつから対策すればいい?】都庁主任級選考(主任試験)の合格方法《総論》

都庁職員に最初に立ちはだかる難関が主任試験です。
先輩職員などから「主任試験なんて余裕だよ」などと言われることがありますが、実際に受けると本庁エリート部署の職員でも普通に落ちます。
その唯一の原因が準備不足です。

準備不足

先輩職員の声はある意味正しく、主任試験は管理職選考と違い、誰でもきちんと準備すれば必ず受かる試験です。
とはいえ、R3年度のAⅠ類の事務でいうと受験者数1,591人に対し、合格者数は512人と合格率32.2%の狭き門であることも事実です。

倍率3倍なのに、なぜ準備すれば必ず受かると断言できるかというと、意外と受験者の大多数がきちんと準備できていないからです。
その原因は様々ありますが、例えば以下の事情によります。

  • 業務が多忙で勉強・論文準備の時間がなかった

  • 6月から始めれば間に合うと聞いて、自分の環境を考慮せずスタートした

  • 先輩に余裕と聞いていたので試験をなめていた

  • そもそもの勤務評価がなおざりになっていた

でも、以下の通り対策を打てば、絶対に合格することができます。


いつから主任試験対策を始めればいいの?

結論から言うと、あなたの置かれている状況によって変わります
えーー?それじゃあ、この記事読む意味ないじゃんと思うかもしれませんが、標準モデルは提示するので、あなたの環境に合わせて最適化してください。

ちっという女性


択一のみの場合

前倒し受験の場合などが該当します。
標準モデルとしては、
毎日1時間程度勉強し、直前期に詰込みする時間を確保できる前提であれば、6月頃からの開始で間に合うでしょう。
ただし、以下の要素によって開始時期は前後します。

  • 6~9月の間に業務の繁忙期等があって勉強時間を確保できない
    ⇒繁忙期分スタートを前倒してください。
     特に9月繁忙期の場合は、詰込みができないので、
     さらなる前倒しが必要です。

  • 法学部もしくは法律の知識がある
    ⇒主任試験では法律関係の出題が多いので、
     若干スタートを後ろ倒しても問題ないでしょう

  • 本番に弱い・試験が不安だ
    ⇒早く始める分には問題ないので、少しでも早く着手しましょう

  • 前年度以前に受験していてある程度知識がある
    ⇒油断禁物ですが、少し後ろ倒しても問題ないでしょう

なお、筆記・論文のダブル受験はかなり労力を要ます。
勤務評定を良くするために頑張っていると、翌年度にはさらに忙しい部署に回されて勉強時間を確保できないリスクもあるので、筆記は前倒しで終わらせるのが鉄則になります。

余談ですが、本庁の管理系部署で合格できない人は、筆者の体感で半分くらいが筆記を突破できないことが原因です。
(勤評良いから、論文弱くても合格できるのに本当にもったいないです。)


論文のみの場合

前年度以前に択一を通っている場合などが該当します。
標準モデルとしては、都政ものを選ぶ前提*で、
6月頃からの開始で間に合うでしょう。
*なぜ都政ものなのかは後述します。
ただし、以下の要素によって開始時期は前後します。

  • 6~9月の間に業務の繁忙期等があって勉強時間を確保できない
    ⇒繁忙期分スタートを前倒してください。
     自分だけでなく、添削する管理職が繁忙な場合も同様です。

  • 職場ものを書く場合
    ⇒本庁管理系部署以外はオススメしませんが、
     職場ものを選ぶ場合は、開始時期を後ろ倒しても大丈夫です。

  • 合格論文を複数年分集められない場合
    ⇒特に都政ものでは、過去の合格論文があればその分短縮化できます。
     逆に、集められない・1年分しかない場合は、少し前倒しが必要です。

  • 文書を書くのが苦手な場合
    ⇒主任試験では型に当てはめるだけで合格できますが、
     文書が苦手な場合は、型に慣れるためにも少し前倒しが必要です。

  • 前年度以前に受験していてある程度知識がある
    ⇒油断禁物ですが、少し後ろ倒しても問題ないでしょう


択一・論文両方を受験する場合

前年度以前に択一を突破できなかった場合などが該当します。
単純に択一・論文も4か月程度対策に要するので、併せて8か月となり、標準モデルとしては、2月頃からの対策が必要となります。

変動要素は前に記述している通りですが、基本的には前年度受験している人がほとんどかと思いますので、現実的には4月頃からの対策でギリかと思います。

どのように対策すればいいのか?

勉強している図

局によって温度差はあるかもしれませんが、
通常は主任試験対策の研修が開かれますので、一つそこが参考になります。

現役時代に何局かの研修資料を集めましたが、だいたい言っていることは以下の通りです。
また、都政新報で試験対策の特集が組まれるので、そこもうまく活用しましょう。

択一の勉強方法

詳細は以下の別記事にまとめているので、より詳しく知りたい方はご覧ください。
本記事内では概要版としてお伝えします。

まず、憲法・行政法・地方自治制度・地方公務員制度は学陽書房の『101問シリーズ』で十分高得点取ることが可能です


次に都政実務ですが、過去問から逆引きで『職員ハンドブック』を読み込むのが良いでしょう。
かつては、過去問の焼き直しが多かったのですが、今では過去問そのままというのは少ないです。
ですが、重要な論点は繰り返されているので、そこを中心に『職員ハンドブック』を読み込んでいくのが効率的です。

最後に難関が都政事情です。
中には概要だけ知っていても答えられない問題もあり、対策に対する効果がもっとも出づらい分野です。
筆者の主観ですが、ここは割り切って局研修・都政新報の確認だけでいいと思います。

通常は、正攻法として「とちょうi」「知事の記者会見」等を日ごろから気にかけるように言われますが、表面的に知っているだけでは答えられない問題が多いので、試験対策としては無駄が多いです。(都庁人生的には良いですが。)
都政事情ではあまり得点を取れないことを前提に、他分野を仕上げるのが最も効率的です。

論文の勉強方法

別記事で詳しくまとめていますので、必要に応じてご確認ください。
以下では概要版として説明します。

まず、職場ものを選ぶか、都政ものを選ぶか悩みますが、本庁の管理系部署*の方以外は都政ものを選んでください。
*管理系部署:議会・人事・予算の局担当

職場ものは差が付きづらく、勤評勝負で本庁の管理系部署に負けてしまうからです。
逆に本庁の管理系部署の方は、激務で論文対策の時間もないので、勤評の強みを活かして職場ものにして良いと思います。




論文対策の流れ

対策の流れとしては上図の通りです。
合格論文を収集する手立てがない場合は、市販の書籍や都政新報を使う手もあります。(合格論文を入手出来たら、原則市販のものはいらないです。)

概ね2ステップ目の管理職添削の1回目を6月中にできるようにしておくといいかと思います。(その後どの程度指導を受けるかは管理職次第)
身近に頼りになる管理職がいない場合は、以下の順で頼りになる人に添削してもらってください。

  1. 管理職選考に合格している課長代理

  2. 課長代理(直属でなくても良いので優秀そうな人)

  3. 管理職選考A合格を本気で目指している主任

  4. 市販の添削サービス
    ※例えば公人の友社など

勤評について

事務所より本庁にいたほうが勤評で有利なのは事実です。
また、いわゆる本庁の管理系部署の評価が高いのも事実です。
なので、これらの部署に希望を出すというのは1つの手です。

ただ、毎年主税局の事務所からたくさん合格者が出ているように、勤評が全てではありません。(6号昇給でも落ちる人は落ちますし。)
また、いわゆる激務部署では試験対策する時間がないので、特に筆記で落ち続ける人が少なくないのも事実です。

ただ、勤評絡みで細かいテクニックとしては以下があるので、参考にしてください。

  • 主任試験に真剣に取り組む人に対しては、管理職が勤評に下駄をはかせてくれる文化がまだ残っている部署が多いです。
    なので、その意味でも管理職の添削を受けて、本気で取り組んでいる姿をアピールしたほうが良いです。

  • 試験終了後には、必ず上司から(局によっては庶務から?)出来栄えを聞かれます。この返答に基づき局内での順位が決まるので、きちんと書けたのであれば遠慮なく答えてください。
    もちろん、失敗したのに成功したと嘘をつくと、本来合格すべき人が合格できなくなってしまうので、嘘は止めましょう。

  • 事実として、論文A評価でも落ちる人はいるので、それくらい勤評は重要です。テクニック的なことは嫌だというのはもっともで、一番は今の業務をきちんとこなすことが重要ですが、やることをやったら最後はテクニックも使うと合格率を高めるためには必要かと思います。

残念ながら最後は運の要素もあるのは事実


ここまで対策を書いてきましたが、ここに書いている通りやれば必ず主任試験は受かります。
でも、必ず受かりはしますが、絶対に1回で合格というのは保証できません

というのも、最後はどうしても運の要素があります。
あげればきりがないですが、例えば以下の要素があります。

  • 択一で自分が苦手なジャンルばかり出た

  • 都政事情で山勘が全て外れた

  • 論文でたまたま準備していないテーマが出た

  • 論文の採点をする管理職がはずれだった
    (皆さんの身近にも頭おかしい管理職が一人くらいいますよね。
     その人も採点してます。)

  • その日の体調が悪かった

とはいえ、上記対策をやれば1回の合格可能性は9割を超えると思います。
なので、2回以内で99%受かると思います。
肝心なのは、しっかりと対策をすればするほど確率は上げられるので信じて対策を行うことと、それでもなお失敗した場合は自分の実力不足だと諦めるのではなく、悪いのは運だとスパッと切り替えて来年に挑むことです。

皆さんの成功を祈っております。

都庁主任試験対策方法まとめ

  • 択一・論文のどちらかだけの受験であれば6月頃の勉強スタートを一つの基準として、自分の状況に合わせて最適化する

  • 択一は、問題集・過去問演習を軸足にする。ただし、都政事情は点数を取れないものだと想定して進める

  • 論文は、基本的に都政ものを選んで、合格論文収集・管理職添削・事例収集・手書き練習と進める

  • 勤評は事実として本庁激務部署が有利だが、逆転は十分可能なので、今の業務に精一杯取り組み、管理職へのアピールなどテクニックも駆使する

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