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【頻出テーマは少ない】都庁主任級選考(主任試験)の出題傾向分析《論文編その2》

今回は過去問を基に、具体的な傾向分析を行います。(一部過去問を掲載)
なお、前回は主任試験の論文対策の方法論を記載したので以下リンクを参考にしてください。

都政ものの直近の出題傾向

H29から大きく出題傾向が変わりましたので、過去問研究としてはH29以降のみで十分です。
一方、どのジャンルが出題頻度が高いかの傾向を見るには、もう少し幅広く見る必要があります。

都政もの過去問(出題傾向変更後)

H29~R3過去問

著作権の関係もあるので、資料等は割愛して設問のみ載せています。
直近3年分くらいであれば、TAIMSから見れる人事委員会掲示板にあるはずです。
ただし、こちらも資料が消されていることが多いので、直近の受験者等から生の問題を手に入れることをおススメします

傾向としてはテーマがかなり個別化しており、管理職Aの出題に近い形となっています。
この背景には、準備してきた論文を再現するのではなく、よりその場で思考する試験へと移行したことがあります。

その場で思考

ただし、都政ものに限って言えば準備してきたものを再現するだけで合格できます
出題傾向が変わって、準備の仕方が変わっただけで、むしろよりきちんと準備した人が合格しやすい試験になりました。

後述しますが、以前は出題テーマがもっと大きいくくりだったため、3つのシティをそれぞれ一つずつくらい用意するだけで十分でした。
それが、出題傾向変更に伴い、より細分化して準備する必要が生じました。
こう聞くと大変に思うかもしれませんが、より差が付きやすくなったので、努力が報われる試験になったとも考えられます。(差がつかないと勤評勝負になりがち)

都政もの過去問(出題傾向変更前)

H21~H28過去問
H20より前はさらに出題傾向が違うので割愛いたします。
また、H22は過去問を把握できておらず申し訳ないです。

H28までは資料がなく、いわゆる一行問題でした。
資料の制約がないので、お題から逸れなければ何を書いても良く、比較的準備も容易でした。
例えばH28は、高齢者対策につなげても良いし、防災対策につなげても良いし、自分の準備したものから選んで書きやすい状況でした。

都政ものの出題傾向分析

未来の東京20のビジョン

お題の粒感としては、未来の東京の20のビジョンが出題の分野とほぼ一致します。
なので、この切り口が準備の軸足となります。

広く出題傾向を見ていくと、「子供」「長寿」「防災」が頻出事項であることがわかります。
また、東日本大震災のタイミングで「防災」、オリパラのタイミングで「スポーツ」など時事的な傾向も強いと言えます。

以上に加えて管理職選考の出題テーマなども踏まえると、筆者の主観では対策すべき優先順位は以下になります。

  1. 優先度高:「子供」「長寿」

  2. 優先度中:「働き方」「防災」「スマート東京」「産業」「水と緑」「環境」「産業」「文化・エンターテインメント」

  3. 優先度低:「教育」「女性活躍」「暮らしの安全」「まちづくり」「スポーツ」

特に子供は子供政策連携室も設置され「育業」という言葉も出てきたので、数年以内に必ず出題されると思われます。
防災は昨年度出たので、優先度を少し下げました。
(管試では2年連続同テーマが出たことあるので注意は必要)

優先度高・中で10テーマ、優先度低まで含めると15テーマとなり、これくらい準備しておけばまず間違いなく外さないでしょう。
ただし、DXに関する取組は知事の注目度が高いので、個別論点にはならないと思いますが、資料で触れられる可能性が高いので、テーマを準備する際にはICTの観点も踏まえたほうが良いと思います。

職場ものの直近の出題傾向

こちらもH29から大きく出題傾向が変わりましたので、過去問研究としてはH29以降のみで十分です。
基本的に資料分析が主になりますので、TAIMSより人事委員会掲示板にアクセスして過去問を入手してください。
※noteに載せるとそれだけで何ページにもなるので過去問は限定します。

職場もの過去問分析

問題分から課題になっていそうな事項を抽出すると上記の通りになります。
職場で起こりうる本質的な課題は限られており、必然的に取りうる対策も「マニュアル整備」「コミュニケーションの活性化」など限定されます。
だから、簡単というわけではなく、差をつけるには資料を正確に分析して設問の職場に最適化した記載ぶりにする必要があり、ここが職場もの最大の難点です。

特にR2以降はテレワークなど最新の事情も絡めてきており、以前の対策方法の焼き直しでは単純には対応できないものもあるので、資料を丁寧に分析してから実施する対策を最適化することが重要です。

資料は割愛しますが、過去問の具体例としてR1の本文について載せます。

 A局B事務所は、多摩地域の民間事業者に対する許可事務等を行っている。この事務所では、管理担当が所の庶務及び許可申請の受付と許可書の交付とを行い、審査担当が許可の審査・決定と相談受付・対応とを行っている。あなたは、この事務所で審査担当の主任として、昨年4月に配属された。今年度はあなたの他に、担当2年目のC課長代理、担当2年目のD主事、担当1年目のE主事が同業務の担当となっている。昨年度までは、審査業務に精通したベテランのF主事がいたが、今年度、B事務所の管理担当に異動している。
 今年度になり、審査担当は、日中、窓口での相談対応に追われて書類が審査できずに超過勤務が多くなり、特にD主事とE主事は、許可の審査に時間がかかり決定が遅れ、事業者からの苦情が増えてきた。数日前には、相談窓口でE主事が事業者に、本来必要のない書類の提出を指導してしまい、「今回のケースではその書類は必要ないはずだ、よく確認しろ。」と事業者が大声を出したので、あなたが慌てて仲裁に入ったことがあった。また、先週のD主事の出張中には、D主事が担当する事業者が書類訂正に関して相談窓口に来たが、他の担当者が誰も内容を把握しておらず、事業者から苦情を言われた。
 管理担当のF主事は、担当1年目のG主事と共に許可申請の受付事務を行っているが、今年度に入ってから介護休暇を取ることが多くなった。このため、まだ事務に不慣れなG主事が一人で受付事務を行い、たびたび必要書類が不足したまま申請を受け付けてしまい、審査が遅れる原因の一つとなっている。
 6月になって、所長から「本庁で制度改正に向けた検討会が立ち上がったので、月1回、審査担当としてC課長代理が酸化してほしい。ますます忙しい状況だが、できるだけ超過勤務も減らすように。また、今年度になってから事業者からの苦情も増えているようなので、早急に対応策を検討して、業務の改善に取り組んでほしい。」とC課長代理とあなたに指示があった。
資料1:組織図
資料2:B事務所における許可申請にかかる事務処理のフロー図
資料3:R1第1四半期とH30第1四半期の審査担当の月別超過勤務時間の実績
資料4:B事務所に事業者から寄せられた主な苦情内容

主任級職選考A 論文問題

職場もの出題傾向分析

職場で起こりうる課題は以下です。

  • 組織連携・情報共有(コミュニケーション)が不足している

  • 業務の効率化が図られていない(超勤が多い、マニュアル未整備など)

  • 目標設定・進行管理ができていない

  • 職員の育成(特に新採)ができていない

  • 事業者・都民対応が悪い

各々に対し、取りうる解決策を準備しておくことが重要です。
そんなに対策の数もないですし、0から本番でひねり出そうとすると、かなり至難の業になるので、事前準備は必須です。
ただし、繰り返しになりますが、職場ものに関しては設問の設定に即していることが最重要なので、準備してきたものに固執せず設問に合わせて最適化することが一番大事です。

都庁主任試験の論文傾向分析まとめ

  • 都政ものの頻出テーマは、「子供」「長寿」「防災」

  • ただし、都政ものは時事的傾向も強いので、世の中の動向や知事の発言にも注意しておく必要がある

  • 職場ものはテーマが限られているので、取りうる対策は網羅的に準備しておき、設問の職場の状況に合わせて最適化する

傾向がわかったら、最後は「型」について学びましょう。


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