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都庁入社前~若手のうちに勉強しておくべきこと(汎用的に使える知識)

都庁に合格後、あるいは入都して若手としてバリバリ学んでいく時期にどんなことを学んでいけばよいか、というのは意外と教えて貰えないものです。
そんな疑問にお答えすべく、こんなことを学んでおいたほうが良いと言うのを簡単にまとめさせていただきました。
対象は、都庁の内定者~入都3年目くらいまでを想定しています。
4年目には主任試験の筆記前倒しもあると思うので、できれば3年目までに以下の全てを身に着けておきたいです。(なお、主任試験の勉強方法については以下リンク先参考)


1番大事なのは担当業務の知識だが・・・

何はともあれ一番役に立つかつ一番最初に身に着けたいのは担当業務の知識です。
これについては異論はないと思いますが、とはいえこれは業務によりけりで汎用的にこれというのを示すことは不可能です。
職場によってはマニュアル化されていたり、有用な資格などがまとまっていたりすることもあるので、そういったものを参考に学んでいき、あとはOJTになろうかと思います。
なので、業務知識は本記事の対象外とします。

入都前に学ぶべき業務の知識については、局が決まる前は未来の東京戦略を読み、局が決まった段階で、その局がどんなことをやっているか把握するため事業概要という資料を読むのが良いと思います。
(「東京都●●局 事業概要」と検索すれば大抵はあるはず。)

若手のうちに身に着けたい汎用的な知識BEST5

都庁人生を歩んでいく上で、どの局に配属されても基本的に役立つ知識をランキング形式で5つ発表したいと思います。

1位:Microsoft officeの知識(特にWord、Excel、できればPowerPoint)

officeの図

ほぼどの職場でも業務を行う上で、officeは必須になると思います。
都庁も色々な業務がシステム化してきているので、一昔前に比べればちょっとだけ重要度は落ちてきていますが、決裁一つとってもまだまだwordが必須です。
おそらく仕事をしていてofficeに触れない日というのはほとんどないと思います。
一昔前であれば出張時などは触れない日もあったかもしれませんが、今はパソコンを持っていけますし、自分のスマホでメールチェックなどもできます。

officeの操作を知るのと知らないのとではものすごく時間効率が変わります。
よくExcel研修などに行くと、その場で演習があるかと思いますが、よく見る風景として1~2分で終わる人がいる一方で10分くらいかかる人がいたりします。
研修であればそれでも良いのですが、実際の業務で資料作成に5倍以上の時間がかかったらどうでしょうか?
本来残業しないで良い業務量でも、残業になってしまうことになるでしょう。
(余談ですが、無駄に残業するより、その分早く帰って自己研鑽をしたり職場の人と飲みに行ったりして、能力・人脈を広げたほうが生涯年収は上がります。)

また、結局officeを使えないと校正機能や見た目を整える機能も使えないので、時間をかけたのに資料の出来も良くなりません。
逆にofficeさえマスターすれば、人より短時間で仕事を終えられる上に、人より質の良い資料を作ることができるようになります。
officeはあまりに基礎的なスキル過ぎてなかなかそれ自体を評価してもらえませんが、間違いなく都庁人生で最も役に立つスキルになります。
もっとも、今後copilotなどのAIにより重要性は下がるかもしれませんが、それでも現段階では身につけて絶対に無駄にならないスキルです。

では、どのレベルまで学習するべきかという話ですが、
できれば早急にMOSのエキスパートレベルの知識までほしいところです。
(実際に資格として取得する必要性は薄いです。高いですし・・・。)
MOSまで取るのであれば、FOM出版のものがわかりやすいです。

MOSが資格としてはいらないのであれば、udemyなどの動画研修が良いと思います。
今はどうかわからないのですが、私がいた頃であればudemyは都庁を通じてudemy businessを割安で申し込めたので、入都後であれば人事担当の通知を探してみると良いかもしれません。(大体春に募集だったような)

ちなみにword,excelは必須として、近年のペーパレスの流れでpower pointの重要性も増していますので、ここまでは勉強しておきたいです。
それ以外(access等)はとりあえず、業務上の特性により使う必要がある方以外は勉強する必要はありません。
パワポについてはSchooのトヨマネ先生の講座がわかりやすいです。(本当の基礎スキルはあること前提になりますが。)


2位:タイピングスピード向上・ショートカットキーの習得

タイピング速度

これも仕事を行う上での効率の話です。
まず、タイピングスピード早いと単純に文書作成等の仕事の効率が上がるので、それだけでも必須の技術です。
部署によってはかなりのメール量を処理するケースもあり、例えばタイピングスピードが3倍違えば、他の人が1時間で返信できるものを20分で処理可能になります。

これは直感的にも理解しやすいですが、もう一つタイピング速度が重要なシーンが有り、それが議事録作成です。
特に若手のうちは打ち合わせの議事録作成を依頼されることが多いですが、このときタイピングスピードが遅いと、会議中にメモできる量が減ってしまいます。
そうなると、後ほど思い出しながら書くことになるのですが、特に若手のうちは事業自体の理解があまりないので、何を言っているかそもそもわからない中で発言の再現ができず、結果的に上司に議事録を真っ赤にされるというパターンが多々見受けられます。
一方、タイピングスピードさえあれば発言の内容を理解していなくとも、発言そのものは記録できるので、なんとか形にはなったりします。
(更にメモがあると発言の再現が不要なので、議事録作成にかかる時間も大幅に省略可能です。)

タイピングの習得方法ですが、毎日継続して30分ほどタイピングソフトを使って練習すれば、かなりタイピングが遅い人でも1ヶ月程度で実用的なレベルまで早くなることができ、かなり習得コスパがいい技術でもあります。
寿司打のような無料のゲームで十分ですが、もう少しコスパを求めるなら3000円程度のソフトを使って練習すると、更に効率は上がります。

また、キーボード関連で重要なのがショートカットキーの習得です。
以下おすすめの書籍では少し大げさに書かれていますが、筆者によるとこの書籍に載っているショートカットキーをマスターすると、平均マウスで5000クリックしていたのが、1000クリックまで削減できるそうです。
つまり、1クリックあたり0.5秒とすると、4000*0.5=2000秒(約33分/日)の時間削減効果があるそうです。

4000クリックも本当に1日に削減できるのかは疑問ですが、一方で画面を「wordからoutlook」に切り替えるときに「ALT+TAB」を知らないと、5秒くらいはロスがあると思うので、トータルの削減時間はあながち間違っていないような気もします。
ショートカットを知らないだけで年間120時間もの無駄が生まれる計算になり、その浮いた時間を様々なことに使える(その分別の仕事をしたり、早く帰ってプライベートを充実させたりできる)と思えば、若手のうちにいち早く習得しておきたいスキルです。
書籍としては以下がおすすめですが、読むだけではなかなか覚えきれないと思うので、マウスパッドなどじゃまにならない形でショートカット一覧を手元において置けるようにすると効率よく覚えられます。


3位:文章作成能力

文書作成

続いては量(スピード)の話ではなく、中身の話になります。
いくらOFFICEを使いこなし、ものすごいタイピングスピードで仕事をしても、そもそも書く文書が稚拙であれば仕事としては評価されません。
大げさな例ですが、30分で文書が書けたとしても、上司からやり直しを指示されてもう30分かかったとしたら、やり直しなしで45分で文書作成するほうがよほど効率的です。
(だからといってスピードが重要でないという意味ではありません。やり直し無しの30分がベストであり、スピードと中身はどちらが欠けてもダメと言うところを強調したいのです。)

もっともどのような文書表現が良いと評価されるかは都庁の組織文化みたいなところも影響する部分があって、それはOJT的に身に着けていく部分でもあるので、”若手”の習得優先順位としては、3位とさせていただきました。
(例えば、同じ内容でもより誤解が生じない表現が好まれるなど。)
とはいえ、自分の考えをまとめてそれを文書で表現するという技術は若手のうちに身に着けておきたいです。
考えを文書化するところまでは若手で習得しておき、具体的にどう表現するかはOJT的に学んでいけば良いと思います。

また、結果的には文書技術が上がれば、後に待ち受ける主任試験の論文でも有利に働きます。
王道的な習得方法としては、『考える技術・書く技術』をまず参考にするのが良いと思います。
これを踏まえて、良い文書表現をする上司や先輩のフレーズなんかを盗んでいくと効率的に習得できるかと思います。

また、ロジカルシンキングの考え方も身に着けておくと頭の整理がしやすく、結果的に文書力の向上に繋がります。
udemyや書籍でも学べるものはあると思いますが、個人的には少し費用は高めですが、GLOBIS学び放題がわかりやすくてよかったと思います。
(GLOBISはMBA取得したい人が多く通うこともあり、ビジネススキル関連のものは洗練されているので、ロジカルシンキングに限らずビジネススキルの基礎のインプットにはかなりおすすめです。)


4位:ITの知識(ITパスポート)

ちゃんとしたソースを見つけられなかったのですが、宮坂副知事(ヤフー出身の副知事)の号令のもとで、これからの行政職員はITパスポートレベルの知識を習得して業務をしていこうという話になっています。

デジタル化が進展する中で、業務上のツールを正しく使いこなし、セキュリティも確保していくには、ITパスポートレベルの知識は必須の知識になります。
実際に都庁でもkintoneなどのノーコードの業務アプリ開発ツールが全部署に導入されているのでこれを活用したり、サイバー攻撃が多様化する中で予想外に情報流出させたりしないようにするためには、ITの知識というのはますます重要になっています。
また、そもそも若手はICTリーダー(課に置ける情報管理等の責任者)をやらされがちですが、ITの知識がないとICTリーダー業務で無駄な工数を取られてしまうので、基本的な知識を持っておくことは有用です。

これも情報が違ったら申し訳ありませんが、そうした背景もあり、都庁ではITパスポート取得用のe-lerningが提供されているはずです。
インプットとしてはこれで十分です。
アウトプットとしては、過去問道場をやるのが定番ですね。(アウトプット中心のほうが効率が良いはず。)
ITパスポート過去問道場|ITパスポート試験ドットコム (itpassportsiken.com)
もし、e-lerningがなかったり、家でもしっかりインプットしたいということであれば、以下のテキストがおすすめです。


5位:時事ニュースの知識

最後もインプットの手法になります。
どうしてもインプットは業務関連のものが多く必要になりますが、汎用的なという意味では時事ニュースの知識が役立つと思います。
特にルーティン業務ではなく、政策的な業務をやりたいという場合は時事的な感覚なしで業務を遂行すると都民や事業者の感覚とズレが生じて的外れになってしまうので、きちんとタイムリーに情報をキャッチアップしていく必要があります。

とはいえ、毎日日経新聞を読むのかというと、それは時間的にもかなり取られてしまうので厳しいですし、毎月4800円(電子版でも4277円)というのは若手には地味につらい出費です。
結局、1面に目を通せれば良い方となってしまい、あまり多くのインプットは得られず、コスパもよくありません。

そこでオススメなのが、テレ東のワールドビジネスサテライト(WBS)の倍速視聴です。
WBSは日本でも最も長く続く経済情報番組で、日経新聞が制作に携わり、解説員も日経関係者が努めているので、日経新聞と同等のインプットが得られます。
また、そもそも活字だけでなく映像と音声でインプットできるので、時間あたりの情報インプット可能量は日経新聞を遥かに超えます。

とはいえ、真面目に見ようと思うと、CMも含めて1時間かかってしまいます。
日経新聞を読むよりは効率的とはいえ、毎日1時間(しかも決まった時間に)見るのは結構しんどいものです。
そこでオススメなのが、月550円で使えるテレ東BIZというアプリです。
テレ東BIZのいいところは、CMが最初からカットされており、倍速視聴できることです。
結果的にWBSであれば25分以下で視聴することが可能です。
もちろんこのアプリでなくとも、録画してCMカットしながら倍速視聴をしても良いです。(ただし、倍速視聴の機能がなければ、アプリのほうが良いと思います。)

最初は倍速視聴に慣れないと結構しんどいものですが、騙されたと思って2週間倍速で聞き続けてください。
1週間もすればだいたい聞き取れるようになり、2週間もすれば完璧に聞き取れるようになります。
(ちなみに私は倍速でも物足りなくなってきて、家のレコーダーが3倍速に対応しているため、3倍速で聞いています。)

番外編:英語能力は必要?

業務という意味では特定の部署(国際スポーツなど)以外では、ほぼほぼ使うことはないといっても過言ではありません。
ただし、小池都知事自体は職員の英語力をもっと上げていくべきとの認識を持っているので、英語力が高いほうが将来的に評価される可能性は高いです。
ただ、上記5つのスキルに比べて優先すべきかと言われれば、業務に密接に関わりがあるとか、これからそのような部署に行きたいとかでなければ、それほど急いで習得する必要はないかと思います。


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