小説「tripper」7章~扉と鍵と~

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「バグ探しのための破壊行為」に、思わぬ邪魔が入った。

いや、邪魔というべきかどうかもわからない。

あまりに突然すぎて、それが善意なのか悪意なのか、それとも別のなにかに基づくのか、はかれずにいた。

あの声は我々に覚悟を問うていたが、我々の進む先に、本当にそんな覚悟を要するような事態が待っているのか。

そもそも、あの声はなんなのか。

どういうことだ。
どんどんわからなくなってゆく。

メイのほうを見ると、眉間に軽くしわをよせて、いぶかしげなようにも、困惑してるようにも、泣きそうにも見える複雑な表情をしている。
一時的にとはいえ乗っ取られたことと、さらにその直後謎の声が登場したことで、なにがなんだかわからなくなっているのではないか。

さて、どうしようか…
とりあえず、

「ちょっと、休むか」


外部デッキへのドアにほど近い、廊下の壁側にあるソファに、二人で並んで腰かけた。

「なんか、覚悟とか、試練とか、言ってたよな」
「…ええ」
「ったく、一体なにもんなんだか。わけのわからんことだらけだ」
「…たしかに、ちょっとわたしたちの理解を超えているというか」
「しかもあいつ、自分たちのこと、ずっと見てたんだってさ。しかも、これから先試練になるかもしれません、でもそれはぼくのしわざじゃないです、あ、『おくりもの』受けとってね、だってよ。なにがしたいんだ」

こんなふうに悪態でもつかなければ、事態が飲み込めない気がした。

「そういえば言ってましたよね、『おくりもの』って」
「ああ…まあ、ほんとにいい『おくりもの』なのかはわからんぞ?」
「どこに届いてるんですかね…」
バーコードを読み込んだ結果届いたなら、電子的ななにかかもしれないし、どこか物理的に鍵のかかってるところが解錠されて、受け取れるようになってるとか」
「…じゃあ、あとで探しておきますね」
「うん。でも気をつけて。危ないものじゃないかどうかは、必ず確認してほしい」
「はい」

息をめいっぱい吐きながら、ソファにもたれかかる。
一人がけのソファに比べるとやや固く、弾力が強い。しかも布地がやけにすべすべしていて、おもいっきり背中を預けると、摩擦係数の低さに背中と尻がどんどん前にすべっていってしまう。
体がいつのまにか、ソファの座面の角に背中を支えさせ、床のカーペットにだらりと座り込むかっこうになる。

疲れた。

「…あ、眠たいですか?」
「いや、そこまででも。それに、やらなきゃならないこと、あるでしょ」
「そういえば、そうでしたね…」
メイが、廊下のかたわらに放置された消防斧に目をやっている。

「…でも、その前に」
と、彼女が自分のほうに向き直った。

「さっきの声の、『覚悟』、というのが気になって…」
「もしかしたら、怖くなった?」
「そういうわけじゃ…とまでは言い切れなくて、もちろん不安ではあるんですけど…」
彼女に「固唾をのむ」機能があるのかわからないが、しばらく押しだまったのちに、固唾をのむようにこくりと小さくうなづいて、続けた。
「でも、不安だからこそ…いまわたしが思っていることを、話しておきたいんです。鍵は、それから壊しましょう」

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もし、船の行き先を知ろうとしたことで、もしくは行き先に到着したことで、心に痛みを感じるような事態が訪れるのだとしても、それを受け入れられるか。


あの声は、そう問うていた。

お客様も、もう一度意思を確認しておくべきだ…と、おそらくあの声の問いかけから思ったのだろう。


そもそもなぜわたしは、船の行き先を知りたいと思っていたのだろう。
それを、彼に語った。

ぶっちゃけ、はじめはただの好奇心からだった。
接客などなどをするために作られ、日々粛々と仕事をこなしてきたわたしでも、なぜか持ちあわせてしまった「感情のようななにか」のおかげで、飽きたり、逆になにかに興味を持ったり、ということがあった。

最初は、疑問というよりは、ほんとうに軽い、軽い興味だった。


この船にずっと乗っているはずなのに、どこかに着いたり、降りたりしたことがないことは、たしかに不思議だった。
お客様がひとりもいないことも疑問ではあったが、そこについては「そんなものだし、お客様がいようがいなかろうが管理は必要」と割り切っていた。
ただ、この船が貨客船である以上、どこかで積み荷や人を載せたり降ろしたりしなくてはならないはずなのに、ずっと航行しっぱなし。
もしかして回送の最中なのかもしれないけれど、にしては長い。とても、いや、とてつもなく長く感じていた。

不思議ではあったが、べつに知らなくても問題はないだろうから、積極的に知ろうとも思っていなかった。

でも、わたし自身の持つ能力に気づいてしまったことで、少しずつ心境は変わっていった。


船の中のシステムは、ただの仕事のためのツールだと思っていた。
そんなわたしが、システムのマニュアルに、船のコンピュータのリソースを使っていろんな作業を自動化するためのスクリプトのようなものの作り方を見つけたのは、いつごろだっただろう。

残念ながら権限のおかげでその多くは使えなかったものの、たまたま、それはわたしの頭脳として備わっているコンピュータにも流用できることに気づいた。

スクリプトの組み立て方を学んでいくなかで、コンピュータとしての自分を、少しずつ、少しずつ理解してゆくこともできた。

わたしは、言われたことをこなしたり、あらかじめ入っているデータを元に行動するだけではなく、「意志のあるコンピュータ」として、自分自身を組み替えたりして、いろんな環境に対応していくことができるらしかった。

なおかつ、一応船の中のシステムに組み込まれたわたしなので、それを理解するということは、船のシステムを理解することにもつながった。
いつしか、船のシステムの中で作動させているプログラムを可視化して散歩してみたり、その過程でプログラムのバグを見つけて、なにも教えてくれないいけずなシステムをからかったりもした。

しかし、自らを知ってゆく中で、なぜそんな能力がわたしに与えられていたり、船の自己診断プログラムなんてものを動かす権限がだけがわたしにあるのか、逆にわからなくなっていった。

能力はあるが権限はない。
船の自己診断はできるのに、診断したところでなにもできない。
接客と指示通りの動作をすればいいはずのわたしに、なぜか感情のようなものが備わっている。

能力を知るたびに、存在意義があやふやになっていくような感覚が増してゆく。


わたしはこの船にとって、なんなのか。

ただただ、メイド姿で無人の船を掃除するために作られたのだろうか。

「人間」と一度も対面することなく、永遠に、延々と、この能力と感情のようなものを持て余しつづけるのだろうか。


それは、いらだちとも違っていたし、不機嫌とも違う。

なんかこう、心の奥底に、振るとかたかたする部分があるような感じだった。心をかたちづくるパーツのひとつのおさまりが悪いか部品が足りなくて、歩くたびに音を鳴らす、みたいな。

わたしは、そのかたかたいうところを埋めるなりなんなりして、すっきりさせたかった。


そしてその「かたかたいうところを埋める」ためのものは、船がどこへ行こうとしているのか、そもそもどんな船なのか…を探した果てにあるのではないか、と思うようになってきた。
わたしはこの船のシステムの一部ではあるのだから、関係ないはずはない…とは思っていた。
ただそれも、根拠のない直感、なのかも知れなかった。
で、船のrootを奪取しようとまでしたのだから、自分でも無鉄砲すぎると今は思ってしまう。


覚悟があるのか…というと、あると言いきれる自信はない。

たしかに、この先の痛みだとか、悲しみだとか、そういうのは、不安だ。

とは言っても、一度痛い目には遭っている。
慣れることはできなさそうで、むしろ慎重にはなっているけれど、一度めと二度めとでは、違うはず。
なにより、知らないままでいる不安だって、いやだ。

不安だからこそ、知りたい。

なんのためにいるのか不確かなままでは、いたくない。


今のわたしに口に出来る、覚悟らしきものは、そんなくらいだった。

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彼女の目の前で、外部デッキへのドアの鍵を破壊すべく、消防斧を構える。

おそるおそる見ると、視覚も音声出力も切ってある彼女が、そのまま人形のように棒立ちしている。
そして、何の警告も発せられない。


ふたたび、彼女は彼女でなくなって襲いかかってしまうのではないか、という恐怖はある。
実際、緊張もしている。

しかし、彼女の前でやろうとしなければ、彼女を信じきっていることにはならない。

彼女が、一言一言、言葉を選びながら語ってくれたこと。
それを、受け止めなくてはいけない。

自分には、大した覚悟がない。
だが、気持ちは同じだ。


祈るような気持ちで、斧の刃をシリンダーにかけ、振りかざす。
金属と金属がぶつかる、固く、軽く、甲高い音。
斧を軽く二、三回振り下ろすと、シリンダーは完全に破壊され、ひとたまりもないといったふうに、妙にちゃちな金属音とともに床に落ちた。

そこにやはり、警告音が割り込んでくる。
しかしさっきの警告音よりは切羽詰まっていない、ともすれば間抜けにも聞こえるほどの音。


「どうなった?!」
船の自己診断プログラムに入ってスタンバイしているメイに話しかける。

まだ表情が固まっている。

自分たちの周囲だけ、時間が油の切れて重たい歯車のように回っていた。


長い長い五~六秒ののち、彼女の顔に表情が戻った。

「…やりました。例のバグ、復活しました」
「やったな…よかったな」
「お客様のおかげです。あなたがいなかったら…」
「いえいえ、自分、これくらいしかできないですから」

と言いつつ、自分もやっとまともに彼女の役に立てた、という思いに安堵していた。

しかし。
かつて同じバグからシステムに侵入した、と話す彼女だが、そのときはどうやって同じバグを見つけ、利用したのだろう。
おそらくはなにかの非常事態に乗じたのだろうが、彼女に正確な記憶がないという以上、推測にしかならないし、その推測もあまり意味がない気もする。

「で、まさかと思うけど、システムには今から侵入しちゃうの?」
「多少準備は必要ですね。穴が閉じないように対策も必要ですし」
「なるほどね…って、その前に」
「えっ」
「せっかく外部デッキへの扉の鍵を壊したんだ。外、出てみようぜ」

バグのことにばかり気を取られていて、外に出られそうだ、ということを忘れていた。
スチール製のドアの、そっけないドアノブに手をかけ、ゆっくり回そうとする。
しかし、どちらに回そうとしても、びくともしない。
回らないドアノブという可能性もあったので、ドアを押したり引いたりしてみたが…

「…開かない」
「鍵はもう壊れてますよね…」
「じゃあ、こっちの箱みたいなやつも鍵なのかもね」
シリンダーがあったところのとなりについている、金属製の頑丈な箱のようなもの。
こちらが怪しい。

もう一度消防斧を持ち、箱に突き立てる。フタをするように一周ぐるっと溶接された部分めがけて振り下ろす。
メイは一歩下がり、箱を注視している。斧が箱を叩くたびに、身をぴくりとさせている。
頑丈そうに見えたが案外柔らかい金属で出来ており、何度か振り下ろしただけで深い溝ができた。そこに刃をねじ入れこじ開ける。
溶接されたフタの部分がはがれ、中があらわになった。

「…なにか、詰まってますね」
のぞき見ながら彼女は言った。
見てみると、たしかに箱の中にはなにかもやもやした形のものが入っている。
さらに箱の根元にも刃を叩きつけ、箱全体をはずしてみる。
箱はあっさりと除去できたが、そこにつまっていたのは不思議な物質だった。
フタ側は固まった溶岩のようにごつごつと盛り上がっていて、根元は箱の形に固まっている。
おそるおそる触ると、さらさらしている。きめの細かい粒子でできているようだ。
「なんだろうね、これ…」
「…うーん、なにかを封印してる、ようにも見えますね」
おそらく、この中には鍵が封印されているのであろう。

鍵を封印しているであろう謎の物質を、消防斧で崩せるか試してみる。
四角く盛り上がった物質の半ばくらいに斧を振り下ろすと、聞いたこともないような甲高い音が響いた。
この物質を収めていた箱とは大違いで、おそろしく固い。刃が当たった瞬間押し返されるような反動すら感じた。
何度も何度も、あらゆる方向から、渾身の力で刃を浴びせかけるが、気づいたら斧の刃のほうが持ちこたえられず、ボロボロに刃こぼれしてしまっていた。

「…ムリだな、これ」
「ええ…でも、バグは見つかりましたから」
「そうだね。もともとはそっちがメインだし」
「…じゃあ、わたし、一旦部屋に戻ります。例の『おくりもの』の件もありますし」
「うん。自分も部屋に戻るよ。眠くなってきた」
「お疲れさまです」

そんなふうになんとなく解散し、部屋に戻った。

そして部屋に入るなり、猛烈な眠気に襲われた。
別に睡眠時間がおそろしく長いことに、不満はない。
だが、たかだか半日くらいしか起きられない体なのだとしたら、メイのことをあまり手伝えない。それは少し歯がゆい。

そしてベッドに寝転がりながら、思い出した。

そういえば、「ブレードランナー」の感想を聞いてなかった。
明日にでも聞いておこう。

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そんなわけで、船の自己診断プログラムのバグは、彼の協力もあって、無事見つけることができた。
バグはとりあえずそれを固定化するプログラムを作って、常に「通用口」がこじ開けられるようにしておいた。

可能なら、もし穴が閉じたときのために、穴の向こうに閉じた穴をふたたび穿つプログラムかなにかを仕込んでおきたいが、向こう側はセキュリティシステムの領域なので、それは難しかった(その時点では)。

それに、通用口からセキュリティシステム側に入り込んでも、中はそれこそエージェントの巣だ。
忍びこんで探すのは並大抵のことじゃない。「乗客位置把握サービス」どころじゃない。

…そんなふうに考えていた。

だが、その悩みも、完全にではないものの、半分くらいなんとかなりそうだ。

あの声が言っていた、「おくりもの」のおかげだ。


「おくりもの」は、物理的なものではなく、わたし自身の機能拡張のようなものとして付与されていた。

わたしにも、船側からではあるが、わたしを診断するしくみが備わっていて、なにか変化がないかを船側が一時間に一回チェックされるようになっていた。
診断結果は逐一レポートとして届く。もし「おくりもの」がわたしのストレージの中に現れているのならば、記憶の増減以外でストレージの容量や内容が変化している部分があるはずなので、あのバーコードを読み込む前の時間帯とそのあとの時間帯のレポートをつきあわせればその変化がわかるはずだ。

あくまでわたしの診断レポートは、わたし自身のためではなく、船のシステムの一部としてどうなっているのかを確認するもの、という認識だったので、レポートは一応見てはいるものの、数日おきにしか見てなかった。
だから、気づかなかったのだけれど。

気づかなかった、というと…
彼と遭遇した初日にもあのバーコードつきのカードを見ていたけれど、わたしと関連のあるものとは思わなかったし、なにしろ船にはバーコードを使うものがなかったので、読み取る必要はないと判断してしまった。

まさか、それが「おくりもの」だったとは。


それはともかく、診断レポートを確認してみると、バーコードを読み取ったあたりの時刻以降、不審なエラーメッセージが加わっていることに気づいた。


【WWMT-IVMF(Kartefour) アラート(警告レベル3)】
【外部リソース:warheadに対するアクセス権限が本船に与えられていません】
【デバイスID:device513は、ポート:15-23-92-75-55へのアクセス権限を速やかに本船に付与し、外部リソース:warheadに対する診断を許可してください】


おそらくこのエラーメッセージは、わたしとネットワークをつなぐポートと「warhead」なるものがつながっていて、船からは権限の関係でアクセスできない、という意味だろう。

そして、そのwarheadなるものは、「外部リソース」だという。

そこで例のポートを確認すると…わたしは驚いてしまった。

例のポートにつながっていたのは、船内のシステムからは隔離されたサーバ群であった。


船のシステムに侵入するときは、もちろん権限の都合などなどでシステム自体の処理能力を使うことなどできないので、わたしの貧弱な処理能力に頼らざるをえない。
しかし、システムとはほぼ独立して使えるサーバなら、その処理能力、リソースは実質的にわたしのものにできる。
しかも、その多くには、わたしに利用する権限が与えられていて、わたしひとりの処理能力よりも格段にパワフルだった。

しかもwarheadには、あらかじめこのリソースを使ってシステム内でさまざまな工作を行うにあたって使えるプログラムがいくつも準備されていた。より高度な可視化プログラムや、システム内で姿を偽装したり身を隠すためのプログラム、はては攻撃用プログラム、遅効性ウイルスまであった。

お誂えむき、とはまさにこれだ。
いや、渡りに船、と言うべきか。

にしても、船のシステムを司るサーバ以外にも、こんな場所があるとは思わなかった。

warhead内にあったドキュメントによると、船内システムやネットワークになんらかの重大なトラブルが発生した場合には、このリソースを使って診断や脅威の駆除を行うこともできる、とあった。
「こと『も』できる」というのが引っかかるが、ドキュメントの一部はわたしの権限で読みとることができなかった。
もしかするとほかの目的で用意されたものという可能性もあったが、推測にしかならない。
ここでも権限で阻まれてしまったが、船のシステム本体と比べるとはるかに自由度は高い。不満はない、どころかありがたい。
その権限に阻まれて見えなかったり使えなかったりする部分が、むしろ気になる…というのはたしかにあるが、それはあとで。


わたしはさっそく、warheadのリソースを使って、自己診断プログラムの「通用口」からのセキュリティシステムへの侵入を試してみた。
わたしの自作の可視化プログラムと自分のリソースを使うより、ずっと高解像度でグラフィック化できた。
しかもその状態で、自身の存在をカモフラージュすることすらできた。カモフラージュを起動してなにもしなければ、エージェントに気づかれなかったほど。

これさえあれば、力業で権限昇格をねらえるかもしれない。
…と思ったが、ここは慎重にいかなくてはならない。


ひとまずセキュリティシステム内への侵入は入口近くだけにしておいて、自己診断プログラムに戻ったところで、奇妙なことに気づいた。

システムを可視化しているあいだのわたしのアバターは、現実での姿をそのまま使っているのだけど、そのアバターのグラフィックに、ひとつ加えたおぼえのないものがくわわっていた。

ペンダントだった。

銀の鎖の先に、小さな宝石のようなものをあしらった、鍵の形の小さなペンダントトップがついている。
スキャンしてみると、ただのグラフィック要素というわけでなく、どうやらこれが、warheadの認証キーとしての機能を有しているようだった。

しかし、このペンダント、どこかで見たおぼえがある。
可視化プログラムを終了させ、部屋を探してみると、たしかに机の引き出しの中に、同じペンダントがあった。

わたしが持っている、唯一のアクセサリだ。あまりつける必要性を感じないのでつけたことのないペンダント。
いつからわたしが所持しているのか、全く思い出せない。
あまり大事なものともおもっていなかったが、なぜそれが可視化したシステム空間の中でwarheadの「鍵」として現れたのか。

たまたま形が鍵だったから、だと思うけれど、よくわからない。


ひとまず明日、彼にwarheadのことを話しておこう。
そして、もう一つ彼に、頼まなくてはならないことがある。
すこし、恥ずかしい話だけれど。


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