(詩)五線譜

いっしょならどこへでも行ける
いっしょならどんな憂いも分けあえる
いっしょならなんだかうれしい
そう思える日々が
そう思える場所が
いまここにあるふしぎな奇跡

あの音のひとすじの輝き
わたしの中からあらわれた輝き
パパにもママにも見せられなかった
無邪気な光が鋭利すぎて
みんなを傷つけてしまう
それが怖かったから
泣き濡れた夜をつつんだ星あかりも
わたしの瞳の奥には届かなかった

気ままなふりして強がって
でもずっと背中の後ろに隠してた
しなやかなとげみたいなおそれを
あなたは嗤うことなく
あの日輝いたひとつの音
その夜つつんだあまたの星
同じ五線譜の上で
いまも明日へむかって
わたしの背中を押そうとしている
そう教えてくれた

昔からそこにあって
いまもここにあって
わたしをいざなうメロディ
誰にも見せられなかったあの音は
パパとママのしつらえた
きらめく五線譜の流れを
すべるように踊る
わたしもその上にいて
紡ぐ音は黄色い光で手招きする

いっしょなら素直になれる夢がある
いっしょなら奏でられる音がある
いっしょならこの夢の果てまで
そう思えるみんなと
そう思えるあなたと
出会えたことのたしかな幸せ

あの日の陰りを照らした
あまたの星あかりのように
背中からやわらかくわたしを押す
ひかる音のやさしさのように
ささやかでつつみこむような
希望をはぐくもうと思う
でもその前に
強がるのはやめられるかな
無邪気でいていいのかな
わたしと
あなたと
みんなと
五線譜の上で
迷いながら
支えながら
行ってみようか

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