永遠とかいうやーつ

ラジオから流れる
人なつこいメロディーにのせた
人類史上もっとも大仰なラブソング
永遠なんてこれっぽっちも
信じてなかったはずなのに
永遠の愛をねがってうたわれるそれは
ふしぎと心をとらえるんです

手許に置いておける永遠とかいうやーつ
手頃なのにいとおしくてたまらない
いやばかにしてないですよ
本気で壊れるくらい抱きしめたいから
永遠なんてばかばかしいかもしんないけど
ばかばかしくならないガチな瞬間だって
一生に一度はきてほしい　いや　くるんです
そういうのが人間とかいうやーつ
じゃないですか？
そうじゃないすか？

愚かと言わば言うもよし
ずっと愛していたい永遠にそばにいたい
絶対にきみを守るよきみの元へ翼広げ翔ぶよ
そんなのたしかにありえないけど
そういうあかるい幻想にやどす期待
ささいな不安をかき消す小さくて絶大な祈り
それがわたしときみと宇宙をつなぐ糸の
その　たしかでかたいむすびめに
なりゃしないですかね

永遠なんてないけれど
永遠という概念なんてやーつがあるから
人をやってけるんです
ありえないことを信じるから
ありえることもあるんでしょう
手の届かない北極星に向かって
昔の人はみんな歩んだんだし
そういうのが永遠とかいうやーつ
じゃないですか？
そうじゃないすか？

永遠とか愛とか青臭いなど重々承知の助
そういうのをハイオクタンのガソリンにして
百万馬力の心のエンジンが動くことは
ままあるみたいですよ
だから　永遠なんて信じるやつを
ばかにするのは断固ノーノーノー
つか斜に構えててもななめってずり落ちちゃ
そこでつかんだ藁の「冷笑」だって
さすがに「笑」いをてばなして
ただの「冷」になりますぜ

心にひとつ　手のひらにおさまる
永遠とかいうやーつ
隠し持ってみませんか
いや別に隠さなくてもいいけど
同じような日々の繰り返しのお供に
斜に構えるあなたの落下防止用つっかい棒に
迷いのない光をまぶしいくらいはなつそれを
おひとついかがですか
そういうのが大事なやーつ
じゃないですか？
そうじゃないすか？