ネクターとアンブロシア

暖色から寒色へうつりろいながら
でもなんだかあたたかくあけてゆく
やすみの日の朝
AORをききながらふとんでごろごろ
なにもすることもなくなにもなく
それでも心と体のおくそこから
泉のようにわきあがる不思議な温度
天井にすきとおった虹をみたあとで
ふとんに頭までくるまれば
布地にしみついた体臭さえ芳醇に発酵して
たおやかな輪舞でわたしをつつみこむ
それは この世のしあわせぜんぶ
あつめてにつめてかきまぜて
ねかせにねかせた甘露にも似て
あくびとのびを済ませたら
めしませ めしませ ネクターを

青空をまた暖色にもどして
こんどは濃くて暗い色をつれてくる夕日
気温の下り坂をおりながら
おろしたてのスニーカーで散歩
それぞれのあしたへむかう感情たちがともした
たくさんの街あかりを見送って
ひとりであるく大事な時間
心と体にやどった温度を
さますかこもらすかするように
二本の脚はあてもなくさまよう
たった一時間のオデッセイは
わたしの心のはずみぐるまに
めいっぱい力をあたえ
そのかわり体に空腹をもたらす
おなかがへったよ そんなときは
過日の憂いをかてにビタミンをためこんで
ぱつぱつに熟した果実を
いっぱいいっぱいほうりこんだ
フルーツサラダはいかがです
シャワーをあびて
ハンドクリームでみづくろいしたら
めしませ めしませ アンブロシア

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