ホームワーク

おれの求めていたものは
だいたいがこっぴどい矛盾を
かかえたものばかり
たとえば
誰もが納得する最高のバッドエンド
いつか死んでしまうのなら
いっそ最後はそういうのがいい
そんなことを言って
諦観ぶった笑みを浮かべようとした

でも
おれは人生の空欄を
埋めていくので必死で
おまえはそれを端で
子供みたいな眼で
眺めてるかと思ったら
次の瞬間 まなこに
見たこともない色を浮かべて
あくせくマークシートをつぶす手に
やさしく手を添えてみたり
でもおれは
そんな手をうざいと
払いのけたっけな

おまえの求めていたものは
ほとんどがへんてこな矛盾を
かかえたものばかり
たとえば
耐えられないくらいの痛みの幸福
ずっと幸せなだけじゃ
きっと退屈するからそういうのがいい
そんなことを言って
ゆるゆるのベアハッグを仕掛けてきたな

なのに
おまえは不安の方程式を
解いていくのに忙しく
おれはそれを端で
プランターの若葉でも
かわいがるみたく
ときどき水をやったり
気まぐれに肥料をやったり
それとなく なんとなく
式のヒントを教えてやったり
でもおまえは
そんな助けをばかにするなと
ふくれてたっけな

人生という空欄も
不安という方程式も
気まぐれなやさしさの行き先も
自己満足なやさしさの片し方も
夏休みの宿題みたく
持ち越したままで

答え合わせのチャンスも
置いてきたままで

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?