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ごめん、いま、しあわせ

オベリスクをアラベスクと間違えたきみ
オフスプリングをオフスプリングスと思ってたぼく
他愛もないことを言いあって 笑いあって
すり傷かすり傷をなめあいながら
きつい日々をなんとかやりすごしてます

ごめん、いま、しあわせ
しあわせなのにごめんはないでしょ
そんなやりとりがあったね
きみにとっては些細かもしれないけど
ぼくにとっては宝物

おたがい歩みが遅いぼくら
歩幅と歩調をあわせれば
手と手で体温を交換しなくても
心の中までわかるような気がして
だから 並んで歩くのが
いっしょに歩くのが
ぼくには大切な時間なんだ

バスケットケースで
グリーンデイを思い出すきみ
ヘネンロッターを思い出すぼく
無能でどこにもいけないと思いこむ
ぼくらの居場所は六畳一間
それはひとりとひとりをつつみ
ひとりではなくする繭

仕事帰り 買い物のあと
夜の公園で ならんでブランコこぎあって
仕事のぐちや憂鬱を
ふわふわゆれながら投げすてて
帰ったらバターたっぷりの甘いパンを
二人食べながらほくほくしたね
夜のきぬずれをバターの香りにそめて
なんでもない日があたたかく過ぎゆくのを
ぼくらは見送った

日陰でぐんぐんのびるふきのとう
それを見つけたぼくら
だれも知らないところでも ひそやかに
夢は思いのほかおおきく育つって
なんか妙に感心したの
おぼえてる

ウエリントンの眼鏡が似合うきみに
色あせぎみの黒いパーカが似合うと言われたぼく
きみがいるからぼくがいるんだ
しみじみそう思えて
きみはどう そう聞いたら
あなたはあなただからそう生きられるんでしょ
そう言われてびっくりした
パーカの色あせにやどるぼく
眼鏡のコーティングの剥げにやどるきみ

日々の親密さが知らずにひめるおおきな力
自分でもとてもびっくりするくらいに
それだけにすべてを賭けていて
ずっとその力によりそいたいと思ってる
たとえいつか きみとわかれても
それが糧になる 根拠なく感じた
きみはどう思う?

なぜか いまが
泣きたいくらいしあわせなんです
だから言ったんだ
ごめん、いま、しあわせなんだ
ごめんって何 きみは笑った
それ きみが昔くれた言葉なんだよ
照れくさいけどいうよ
うれしいよ ありがとう

そそっかしくてよく泣くぼくと
忘れ物が多くてよく泣くきみと
いっしょの歩みで
しあわせの点線をずっと
描いてゆけたら

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知らず知らずにいまよく聴いてる歌の歌詞に似てしまったところがあったので、投稿後少しいじりました

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