一等星

半人前の歩みなのに
いつのまにあなたを追い抜いて
そんなつもりなかったのに
くすぐったいさびしさ

わたしが追いかけてたはずの
あなたは言う きみはシリウスだと
一等星は 自分が一等星なのを
気づけないって

たといあなたが二等星だとして
まぶしいことにかわりはなくて
そして 北極星だって二等星
だからわたしは あなたを目指せるのです

きみは きみでいてください
抱擁とともに あなたに贈られた言葉
それはあなたもおなじです
あなたがあなたでいてくれることで
支えられてるわたしだから

星座の中心がわたしだなんて
ぴんとこないしぴんとさせるつもりもない
中心なんてあるのかな 星座に
わたしはただ つながっていたいだけなのに

手をのばす 手をつかむ 手をにぎる
心と心の数珠つなぎ
つないだ手と手と手と手と手と手
夢をこの手でつなぎ止める

硝子でできた果実の星座
真昼の空でもまぶしいほどに
一等星だけじゃこんな光にはならない
先にいってしまったあの子の
そしてあの人の光もきっと

あの人に似たというあなた
あなた越しに見るあの人
わたしと似てたあの子
いまはここにいないあの子

うしなったものの多さが
わたしたちを輝かせるのだとしたら
そんなふうにして 輝きたくはないのです
だってそんなの 悲しいから

あなたがくれた輝きも
うしなったものがくれたのだとしたら
あなたの涙と一緒に 空に返したい
その先に 見たこともない輝きを 夢みるために

おいていけない ほうっておけない
みんなつれていって みんなで夢をみたい
孤独な双子たちを
ひとり同士の姉妹たちを
みんなみんな 救いたい
わたしは そんなふうに生きていきたいのです

墓標の丘に桜咲かす陽だまりのむこう
思いをかたどる星座のむこうに
みんなつないでいきます
わたしはあしたへ向かいます
ぜんぶつれて 歩いていきます

あなたのくれた光の先
新しい輝きを
あなたといっしょに見るために
それを あしたに継ぐために

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