がっかり通信vol.6

本日の朝、彼は自分が担当になっているお客さまに電話をかけていました。
どうやら契約更新も近いようで本日の14時から16時の間にご来店のアポを取り付けました。
隣で聞いていた彼女は自分の案件ではないですが、何とか彼に成約を挙げさせようと母性本能丸出しでお手伝いをし始めました。

「○○は準備してます?」「○○は必ず先に聞いておいてくださいね。」とまさに学校に行く小学生を見送る母親のようです。
彼は13時半から14時半が昼休憩です。なのに14時15分には事務室に入ってきました。
私は「もう少し休まなきゃだめだよ」と忠告しましたが、「ちょっと落ち着かなくて…。あと15分は事務室で休憩します。」とのこと。
14時半になってもお客さまは来店されませんでした。その間、動物園で一貫して同じ道をうろうろしているアリクイのように受付から入口までを何往復もしています。14時半を過ぎたので私が休憩に入ることになり、その後の彼の行動は不明です。

私が昼休憩から帰ってきて事務室のドアを開け、まだ半歩しか踏み入れていないのに「まだ来ません」と報告。
少し暗雲が立ち込めてきました。16時50分ごろ一本の電話が…。
私はコリャ決定的(キャンセル)だなと感じました。
彼は「はい、確認ですね。はい、また後日ですね。他とも折衝されてたんですね。」と返事をしています。
そして静かに電話を切ります。
「どうやらお客さまが来れなくなったようです。」とさらっと言ってきます。
「んんっ?私あて?私のお客さま?さっき私もアポ電したけど誰に電話したか忘れちゃったよ」とPCで確認。
心の中ではいやぁこの名前の方には電話していないよなぁ。彼が朝電話してた苗字なんだけど自分でアポ電して自分でキャンセル受けておいて俺には振ってこないよなぁと半信半疑です。
そこで考えることよりも口が先に出てしまう彼女の方から「その方が朝電話したお客さまなんじゃないんですか?」と。
社員全員呆然です。
「あっ、この方だったんだ」となぜか三人称でつぶやく彼。お前がメインだぞこの内容!とツッコミも出来ませんでした。

どうやら「契約更新でお伺いすることになっている〇〇ですけど今日いけなくなりました。そしてよく調べてみたら過去に他からもお話いただいてて今度お伺いします」という電話で、ほぼほぼ契約更新の話なのにわたしのお客様と勘違いしてしまったようでした。
おいおい、今は確認と聞けば更新だろ、ちなみにあなたが朝電話したお客さまなんだから200%更新だろって話です。
本来ならこんなスットコドッコイのオチにはドッカーンと笑いが起きて、はいチャンチャンで終わりなのですが、
一瞬にして寒気がやってきて、ふと彼女を見ると目が細くなり右唇だけ上に上がっていました。さくらももこの某アニメのように。

しかしながらセールスという大きなプレッシャーと他からも折衝されていたという事実を知り、営業という2文字から解放された彼はまさにサウナ後のととのった表情であったことに違いありません。

今思えば純粋に契約活動でお呼びしただけで更新のご案内→成約ばかりが独り歩きしたという事実は
彼や彼女の脳内にはこれっぽっちも残っていないことでしょう。
まぁ、今のご時世、こんなにストレスを感じながら一人ひとり、一件一件声かけしなければいけない
現状を何とかしなければならないんだなぁと感じた今日この頃でした。

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