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遺言書がないときの財産分けの方法とは


😉遺言書がないときの財産分けの方法はどのように行うのでしょうか。

相続人が1人の場合には、全ての財産債務はその相続人に移転しますが、相続人が複数いる場合には、亡くなった方の財産債務はすべての相続人の共有財産になります。

しかし、共有のままでは何かと不都合も多いため、この共有状態を解消し、相続人のそれぞれに財産債務を振り分けて帰属させるのが遺産分割なのです。

遺産分割の具体的な方法としては、相続人間の協議によることが原則ですが、協議が整わない場合には、家庭裁判所での調停または審判により分割が行われることになります。

また、分割の態様には、①現物分割、②代償分割、③換価分割があります。


①現物分割

現物分割とは、現金や不動産などの1つ1つの財産を、相続人が個別に相続する方法を言います。

例えば、相続財産が預金と上場株式、不動産だった場合に、「配偶者が不動産、長男が預金、次男が上場株式を相続する」という場合です。

②代償分割

代償分割とは、相続人の1人が財産を多く取得する代わりに、他の相続人にお金(代償財産)を支払う分割方法です。

例えば、相続財産が5,000万円相当の不動産と預金1,000万円だった場合に、「長男が不動産を相続し次男が預金1,000万円を相続した上で、長男は次男に2,000万円の現金を支払う」という場合です。

③換価分割

換価分割とは、相続財産を一旦売却し、その代金を相続人間で分配するという遺産分割方法です。

例えば、相続財産が不動産のみだったような場合に、その不動産を売却して、現金を分ける場合です。

上記のうち最く用いられる方法は、現物分割であるため、現物分割での遺産分割協議書の作成上の留意事項を確認していきます。


😁遺産分割協議書の作成上の留意事項

①相続人が特定できるように記載する。

相続人の氏名、住所、生年月日、被相続人との続柄などを記載します。

②不動産の表示

不動産の表示は、登記事項証明書の記載と同じように記載します。

土地の場合は、所在地、地番、地目、地積を記載し、家屋の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載します。

③預貯金の表示

預貯金の表示は、金融機関名、支店名、預金種類、口座番号を記載します。

④有価証券の表示

有価証券の表示は、証券会社名、支店名、口座番号、種類、銘柄、数量を記載します。

⑤財産ごとに誰が相続するのかを決める。

例えば、A氏は預金のうち500万円で、B氏はそれ以外の預金を相続する、のような記載にすると、金融機関では払出または名義変更ができませんので注意が必要です。

⑥相続人全員が了解する。

これは大前提です。

相続人のうち一人でも了解が得られない、または参加させない、という状況では遺産分割協議書の作成はできません。

⑦相続人全員が署名押印する。

押印は実印でなければならないというわけではありませんが、金融機関での名義書換や不動産登記の添付資料になりますので、実印による押印が求められます。


😘どのような割合で分割すればいいの?

次にどのような割合で分割すればよいかについてお話しします。

もちろん、分割は相続人の協議で決められますので、割合が定められているわけではありませんが、目安として、法定相続割合で分けることが考えられます。

また、節税の観点から考えるならば、二次相続を見越して、二回の相続税の合計額が最も安くなるような割合で分割することも考えられます。

二次相続とはお父さん(一次相続)の後に、続いてお母さん(二次相続)が亡くなる場合です。

お父さんの相続財産は配偶者であるお母さんが相続する場合には、法定相続分まで非課税、法定相続分が1億6千万円以下の場合は1億6千万円まで非課税という配偶者控除があります。

ただし、この配偶者控除を目一杯使うのではなく、二次相続を考慮して節税を意識した割合にするという方法です。

遺産分割協議書の作成や不動産登記などは専門家に相談することをお勧めします。

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