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地域と中小企業の明日 〜生産性向上の観点から



  日本生産性本部の統計によると、日本の労働生産性はOECD加盟国中21位で、第1位であるアイルランドの約半分しかありません。(『労働生産性の国際比較2018)

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  一般的には、サービス産業の生産性が低いこと、おもてなしに対価を求めない日本人の国民性、大企業による搾取、長時間の会議やハンコ文化、といったことが原因であると認識されていますが、これに「科学的根拠なし」と真っ向から異を唱えるのが「日本企業の勝算」の著者であるデービッド・アトキンソン氏。
その理論の礎は「生産性は、その国の経営資源をどのような産業構造に配分しているかを測る尺度である」という考え方です。


  現に、先進国の統計では、労働者が大企業と中堅企業に集中的に分配されている国のほうが産業構造が強固で生産性が高く、中堅企業と小規模事業者を中心に労働者が分配されている産業構造を持った国は経済基盤が弱く生産性も低い、ことが表れているようです。

  このことから、氏は、「中小企業は日本の宝」という価値観を強く否定しています。

  一方、多くの中小企業が今、深刻な人手不足とともに、後継者問題に悩まされています。
  この傾向は特に地方の中小企業で顕著で、例えば、静岡市の静清信用金庫の調査によると静岡県中部の52%の企業で後継者が決まっておらず、これは2017年の調査よりも27ポイント高まったということです。(3/27日経新聞静岡版)


  もし人手不足と後継者難を原因に廃業や事業縮小を余儀なくされる企業を統合して、全体として経営資源の効率活用を進めれば、そこに「規模の経済」がはたらいて、理論上は今よりも生産性が高まることになります。

  経営者やそこで働く従業員それぞれの「想い」を軽視するわけではありませんが、政府や自治体、地方金融機関によって、この未来に向けた前向きな経営統合を推進していくことはできないのでしょうか。


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