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「エンゲージメント経営」

柴田 彰 氏 著「エンゲージメント経営」

 グローバル大手の組織コンサルティング会社コーン・フェリー(Korn Ferry)社がもつ豊富な調査データをもとに著された本書によると、社員エンゲージメント(★)と最も相関性が高い因子は、「顧客に影響する体験的価値(CE)への自信」だということです。

※2位以下の因子
2)成果創出に向けた効果的な組織体制
3)自社におけるキャリア目標達成の見込み
4)生産性を高めるための環境整備
5)やりがいや興味のある仕事を行う機会
6)仕事を進めるための十分な人員の確保
7)一個人としての尊重
8)自社の戦略と目標に対する信頼感

 すなわち、顧客に対して感動なり満足感をもってもらえる製品やサービスが提供できているという“自負心の有無”が社員のエンゲージメントを大きく左右しているということです。
 エンゲージメントの高さで日本企業を大きく上回る欧米グローバル企業との比較によっても、日本の企業は社員に対して顧客に提供している価値を十分に伝えきれていない、あるいは顧客目線で見た自社の存在意義が、社員にとっては不明確な場合が多という分析がなされています。

 このことから筆者は、エンゲージメントを高めるために理解浸透させるべきこととして、
①自社の顧客(=自社は誰のどんな役に立っているのか)、
②自社の個別性(他社ではなく、自社でなければいけない理由)」
の2点を挙げ、一方で会社の競争力が低下してしまった時(主力製品やサービスがコモディティ化してしまい、他社との差別化が困難になった時)にはそれが困難であるとしています。

 業績や成長性が停滞すると「企業風土の改善」の必要性が叫ばれ、社員間のコミュニケーションや職場環境に対策の目が向けられがちですが、“風土改善プロジェクト”のメンバーが最も議論すべきことは、顧客と優位性を意識した「事業定義」と「存在意義」、そしてそれをいかに情緒的に社員と共有するか(⇔何故それが社員に伝わらないか)ということなのではないでしょうか。

★本書で「エンゲージメント」は、「自分が所属する組織と、自分の仕事に熱意を持って、自発的に貢献しようとする社員の意欲」とされています。

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