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辞める人に感謝される会社

 30歳にして人生の転機となる米国駐在を経験したキヤノンの御手洗会長。

  画期的な手法で同社の高性能カメラAE-1をベストセラーに押し上げ、赴任当時10数名だった従業員数を6,400名に拡大しました。


  当時「そろそろマネジャーにしよう」と考えていた優秀な現地社員が転職すると挨拶に来て「御手洗さん、ありがとう。あなたが鍛えてくれたおかげで、いい会社に引き抜かれました」と言われたことにカルチャーショック(怒り)を覚えたとのことですが、社長をやって10年経った頃にようやく心から「コングラチュレーション!」と握手できるようになったといいます。
  人材の流動性が高くても、自分を育ててくれた会社には感謝する。彼らが会社を辞めてもキヤノンを愛していることに変わりはないということに気付いたというのです。

  人材の流動性が今後一層高まるであろう我が国においても、「人が辞めること」になかなかポジティブな印象は持てません。
  経営者や人事部は離職率を注視し、従業員のリテンションを行なうために様々な策が講じられます。
  しかし、例えば同じ「離職率3%」でも、極論するとそこには二通りの“3%”があります。

自社でしか通用しない人がブラ下がっていて辞めない会社
どこに行っても通用する人材が敢えて自社を選んで働いている会社

  単なる数字(離職率)だけを目標化するのではなく、どんな風土を作るか、という定性的な議論を怠ってはなりません。

  「辞める人が感謝する会社」とはどんな会社か?

漠としていますが、それがどんな会社か、深い議論が可能な“問い”なのではないでしょうか?

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