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家で里山を再現するのが里庭12「豊かな自然ってやな奴との共存ですよねえ・・・」


里庭の手作りのベンチにに腰掛けて眺める庭。特に珍しい植物の花が咲き誇っている訳でもありませんが、時間の許す限りこの空気感の中にいられます。
西の陽だまりでフキノトウが花を咲かせ、南の光を浴びて梅の花がモモにバトンタッチ。四季を演出する主役たちは潔く身を引きの世界を切り開いていくように感じます。大自然では無いけど、私はこの豊かでゆったりとした風景の流れが大好きです。

みんな仲間なんだけど・・・・お友達には・・・

里庭にはいろいろな種類の昆虫や野鳥など生き物や植物達が暮らしています。蝶やバッタが平和に暮らしているのどかな世界だけではないようです。
自然環境が豊かになればなるほど様々な状況が生まれこちらにとって都合の良い生き物ばかりではないと思います。ヘビやハチ、毒蛾たちも共存する環境でもあります。しかし相手を生態などを知れば結構上手く付き合えるのではないでしょうか。今回はチャドクガについてのご紹介です。
チョウは便宜上昼間活動しているのを「チョウ」夜間に活動しているチョウを「蛾」とよんで区別していますが両方とも「鱗翅目」のチョウです。
羽全体が白色で冠羽があるのを「オオム」と呼び、尾が長くて羽の色が鮮やかなのを「インコ」と呼んでいるようなもではないでしょうか。
里庭にはチョウも蛾も住んでいます。中でも最も厄介な蛾、チャドクガにはまだお目にかかったことはありません(他の緑地などでは度々ご挨拶しています)。
この蛾を甘く見たら大変です。ちっちゃな幼虫に触れただけで凄まじい痒み(痛痒い)と湿疹を腫れに襲われます。
チャドクガの恐ろしさは

「卵、幼虫、蛹、成虫」

の全ての状態でも被れてしまうことです。もちろん、幼虫が脱皮した抜け殻でも同じように被れてしまいます。
毎年6月と8月の年2回の発生(地域によって差はあります)なのでこの時期は特に要注意です。ツバキやサザンカ、ナツツバキ、チャノキに近づくときはご注意を。

孵化直後の幼虫は集団でツバキやサザンカなどのに見られます。
絵:神保加生里
脱皮を繰り返し成長すると集団は徐々に散らばります。
絵:神保加生里


成虫は夜間街灯などに飛んできます。
絵:神保加生里

チャドクガの被害に合わないための予防は植える場所

自宅の里庭のツバキやサザンカには一度もチャドクガは発生していません。昨年のこと、あるテレビ番組のデレクターさんが訪ねてこられました。要件はまさにチャドクガ対策で番組を製作したとのことでした。「チャドクガが発生しているツバキの木、風通しを良くする剪定で問題解決」をしたとのことでした。
「風通しを良くする剪定がチャドクガの発生の予防とは無関係ではないと思いますが、解決策にはならないと思います・・・放送はいつですか?」
「実はすでに放送してしまいました・・・」
「え〜」
ツバキは常緑樹の亜高木(家の高さでしたらおおよそ2階ほどの高さの木を指します)です。個人のお宅ではここまで大きくすることはないと思いますが・・・チャドクガが発生が見られるのは日当たりが良いところに植えられたツバキやサザンカが多いようです。
約38年間動物や植物と関わる現場で調査、研究をしながら各大学の非常勤講師として学生さん達と山などで実習を行ってきましたが、山の中のツバキにチャドクガが見られたことは一度もありませんでした。つまり、チャドクガの最大の予防策は植える場所のようです。
庭木を購入して日当たりの良い場所で育ててあげたいと考えることは素晴らしいことだと思います。植物を思いやる方は全てに心配りができる方だと思います。ただ、適地適木(それぞれの木に適した場所や環境)ということがあります。
ツバキは日陰が大好きな樹木です。

北側の日陰で咲くヤブツバキです

ヤブツバキの赤い花は薄暗い林の中でメジロやヒヨドリなどの野鳥達見つけてもらうための鮮やかな色となりました。昆虫が活動していない時期に咲くツバキは鳥達の力を借りて受粉してもらうための知恵に感心させられます。ツバキやサザンカは日陰でスクスク元気よく育ち立派な花を咲かせます。日向よりも葉っぱのツヤが出てとても美しくキラキラ輝きます。チャドクガ対策のご参考になさってください。

チャドクガを発見したら

チャドクガの幼虫の塊を発見したら、静かに近づき枝ごと切り取り処分されることをお勧めします。その際、絶対に揺らさないことです。切り取ろうとする枝や葉っぱが振動すると幼虫達は体から細い糸を出して一斉に落ちてくるからです。また、脱皮した抜け殻に触れても被れますので、作業は風上から行うとより安全です。

かゆみが出てもこうすればほぼ完治します

チャドクガに不幸にも接触したりして腕や首筋などの痒みが出たら
①何があっても患部を掻きむしったりしないこと(触れるのもダメです)
②シャワー、お風呂、水洗いもダメです①、②を行うと毒蛾の毛が全身に散らばりさらなる痒みや腫れが全身に拡大してしまいます。

応急処置

※ガムテープなどの粘着性のテープを用意してください。テープを適当な長さに切って痒い患部とその周辺をテープと取り替えながら5〜6回ペタペタ押し付けてください。この動作で皮膚の毒毛はほぼ除去できると思います。その後、軽く水洗いして水分を拭き取り、レスタミンコーワを塗れば痒みも腫れも治ることがほとんどですが、このような応急処置後に皮膚科の受診もお勧めします。





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