インターネットの統合思念が生み出したゴリラは悲しきキメラ
AIが自動でイラストを作成してくれるサービス「Dream by WOMBO」。好きなキーワードを入力すると、それに合わせた画像が作成されるのだ。スマホアプリ(Android/iOS両対応)とパソコンなどから使えるWeb版があるので環境を選ばず使用できる。
マンガやアニメのキャラクター、有名な建物や風景など、なんでも対応してくれる。「曇り空に飛行船が飛んでいる風景」というように文章で指定することもできる。
非常におもしろいサービスで、ちょっと前にTwitterなどでも話題になっていた。僕はどうも流行に乗り遅れるタイプなので、イマサラ感はあるが今になって知って遊んでいる。これがなかなかすごくて驚いている。
上の画像は実際に「曇り空に飛行船が飛んでいる風景」というキーワードで生成されたイラストだ。細かい部分は怪しいが、パッと見は正に「曇り空に飛行船が飛んでいる風景」以外のナニモノでもない。AIにも絵が描ける時代になったのだ。
他にもいくつかのキーワードで生成してみた。なお、Dreamでは同じキーワードでも生成するたびにちゃんと違う画像が表示されるが、今回の記事ではその性能を確認するという意味で最初に生成された画像を使用している。何度か生成して一番良く描けているイラストを選択すればもっとレベルの高いイラストをゲットすることもできるかもしれない。
まずは風景系である。上から草原、洞窟、街である。風景は多少形が歪んでも違和感が少ないためAIでもなかなかいい感じになるようだ。というより、なんとなくイメージが伝わればわかるという感じであろうか。フリーの同人ゲームの背景などであれば十分使えそうな気がしてくる。そんな事しなくてもフリー素材がたくさんあると言われるかもしれないが著作権的な問題を気にしなくていいのが良いところである。
たこ焼きは少し歪だが、なにに見える?と聞かれれば多くの人がたこ焼きと答えるだろうレベルにはたこ焼きである。横には爪楊枝らしきモノも見える。
ひまわりは…うーん、これは見た瞬間に壁に穴があいていると想ってしまった。しかし、ひまわりをテーマにしていると言われたら見えないこともない。AIが自動で生成していると思えば十分合格点だろう。一発ではひまわりに見えなくても、いくつか生成してみればしっかりひまわりに見えるイラストができるはずだ。
さて、このようなイラストがどうやって生成されているのだろうか。その仕組をきちんと理解しているわけではないが、基本的には大量の画像データを元に学習させて様々なキーワードに対応しているはずだ。いわゆるディープ・ラーニングというやつである。そして、学習元のデータはインターネット上の画像であろう。
つまり、このDreamが生み出す画像はインターネットの統合思念とも言えるのである。だからそこには人々がその”なにか”に持っているイメージが反映されているはずなのである。
ここで僕は一つのキーワードを入力してみた。
僕が入力したキーワードは「猫」である。美しい毛並みの優美な猫か、小さな顔にきれいな瞳を輝かせる子猫か、はたまた中にはドラえもんのように具体的なキャラクターか、イメージする姿は人によるだろうが、多くの人は動物の猫を思い浮かべるハズだ。だが、果たして…
猫のイラストが生成された。だが、ただの猫のイラストではない。石畳らしき地面、レンガの壁、横に生えているのは街路樹だろうか。その壁の前にポツンと佇む黒猫。
猫はジャングルや草原でなく町中にいる。人々のそばに佇んでいる。そうしたイメージが現れているようだ。すごい、ただ猫というのはこういう形ということだけでは描けないイラストだ。正に人々のイメージが反映されているのだ。
それでは次だ。動物つながりで「ゴリラ」にチャレンジしてみる。
な、何だこれは!猫は町中に佇む猫は自然だったが、このゴリラはどこにいるのか…そうか…これは…
カーナビゲーションシステムじゃないか!!!!!
これは車のダッシュボード、そして赤や緑のところはマップのイメージではないだろうか?その中に存在するゴリラ。インターネットの統合思念は、ゴリラを車のダッシュボードから生えている存在として認識しているのだろう。
たしかに、キーワードのみで学習しているAIにはゴリラ(動物)とゴリラ(カーナビゲーションシステム)の違いはわからないのかもしれない。これは偏にカーナビになぜかゴリラなんていう名前を付けたパナソニックのせいである。いや、あれ、サンヨーだったっけ?
そんなわけで、インターネットの統合思念が生み出したゴリラは、車のダッシュボードに佇む悲しきキメラだったのである。
ちなみにもっかい生成し直したら、ジャングルにいる普通のゴリラっぽい画像が出てきたよ! 〜fin〜
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