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初めての創業融資。自力で日本政策金融公庫から創業融資を勝ち取った実記録。

|はじめに

2020年3月某日、19時に携帯電話に着信。

画面には「日本政策金融公庫〇〇支店」。

融資の申込みをして、面談、オフィスの実地検査が終わって1週間とちょっと。

きた!

タイミング的にも、遅い時間の連絡も審査結果の連絡に違いない!
と通話ボタンをスッとスライド。

私「はいkenishです。(実際はちゃんと実名で出てます)」
相手「遅い時間にすみません、日本政策金融公庫の〇〇です」
相手「お申込みいただいていた審査の結果が出ましたので、そのご連絡です。今少々お時間よろしいでしょうか?」

きたーーーーーー!
緊張の一瞬です…ドキドキ

相手「今回審査の結果、お申込みいただいていた〇〇万円で融資審査が通りました。」

やったーーーーーーーー!

事業を起こし、法人を設立し、人生初めての創業融資の申し込みでしたが、満額融資してもらえることになりました!

申込みにあたって、色々調べてみたものの、思いのほか欲しい情報が無かったので、私が実際に準備したことや申込み・面談・実地検査で何が行われたのかなどをまとめます。
私と同様に初めて申込みをする方にとって少しでも有益な情報になれば幸いです。

|私について


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読まれてる方とあまりにも状況が違うと参考にならないことも多いと思いますので、まず最初に私について整理します。
・年齢30代後半
・サラリーマンをしながらの副業として事業を開始
・今回が初めての起業
・株式会社を設立(2019年10月)
・資本金200万円
・出資は全て私の自己資金
・なので株主も私だけ
・代表取締役は私と妻の二人(創業時は妻のみ。ここは本文で触れます)
・事業は海外製品の輸入及び販売
・従業員は、パートとして2名(給料は月10万円と月5万円)
・本店登記は品川区のシェアオフィス
・在庫を持つため事務所として港区で賃貸(15㎡月6万円程度)

というような状況です。
少しイレギュラーなのは、私がサラリーマンをしながらの副業として開始したことと、本店が品川のシェアオフィスということでしょうか。


|なぜ融資を受けようと思ったのか

そもそも私がなぜ融資を受けようと思ったのかを説明します。
端的に言えばお金が無くなってたきたからなんですが、無くなってきたのはタイミングの問題で、無くなる前から融資は受ける予定でした。

融資、言い方を変えれば借金ですよね。
無借金経営なんて言葉もありますが、借金と聞くとネガティブなイメージがあり、借金せずに事業を行った方がいいのではないかと思った時期もありました。

自己資金の中でこつこつと売上をあげていき、出た利益の中で更に出資して売上をあげていく。
特に私が選択した事業は輸入販売ですので、初期費用は大きくかからず、どれだけ入荷したかがコストのほとんどですので、自己資金の中で可能な量を入荷して、売れて出た利益分でまた入荷してとしていけば、自己資金だけでも事業は回せます。

ただ、逆に言えば入荷できる分しか売上につながらないので、利益も微々たるものです。副業なので、役員報酬無しという選択肢も取ることが出来ますし、それで3年くらいは地道にやっていくこともできましたが、3年間役員報酬なし、ただ働きって、やる意味あるのかなと。

輸入販売は売上が上がっても固定費はある程度一定にして、進めることが出来ます。商品一つ一つ売れるたびに、利益が加算されていきますので、沢山売れればその分利益も大きくなるので、そのための販売活動費と広告宣伝費、一定以上の入荷用の資金が必要になります。

投入した自己資金や、個人の通帳に入ってるお金を全部出せばやれないこともないですが、キャッシュがゼロになってしまうので、あまりにリスクが大きいです。

そこで、融資という選択です。出資者を募るも選択肢にありましが、出資してもらう=経営に口が出せるになってしまい、場合により販売戦略など何かやる度に都度相談や承認というのも初期的には避けたかったので、融資にしました。


|創業当初は日本政策金融公庫に絞りました

この記事を読んでる人は、もう日本政策金融公庫(以下公庫と書きます)から融資を受けようとされている人が多いと思いますが、なぜ公庫にしたのかにも触れておきます。

私も融資を受けようと決めたとき、日本にある色々な融資の種類を調べ、時に他経営者にも教えてもらいました。品川区の中小企業センターにも行き、相談もしてみました。

本題とずれるので、他の融資制度については細かく触れませんが、とにかく私にとっては公庫の創業融資の制度が最も良かったので、最終的には公庫の創業融資一本に絞って準備を進めました。

公庫の創業融資の何がいいかその特徴はこちらです
①無担保・無保証
まず、この前提で融資をしてくれるところはほとんどありません。
不動産などの担保無しというのは結構ありますが、保証人も保証協会からの保証もなく、融資を受けることができます。特に創業となると事業が上手く行くかどうか、何の実績もありませんので融資するほうも慎重になります。資本金も少なく、事業が上手く行かなかったときに倒産し貸し倒れる可能性が高いからです。通常は担保や保証人(基本的には代表取締役本人)で保証するのですが、それ無しに融資を受けられます。

②申込みまでのステップが早い
申請書類の準備が出来ていれば、申込みはすぐに可能です。予約も取らずに窓口に提出するだけで申込みは完了します。
通常金融機関に融資の申込みをする際、特に口座も持っておらず初めての場合、いきなり申込みというわけには行きません。更に言うならそんな状態で申込みをしても、印象が悪く審査が厳しくなります。(突然融資の申込みに来る人は大抵事業が上手くいってなくてお金に困ってる人が多いので、話しは聞いても審査にかけないということもあるそうです。金融企業勤めの友人に聞きました)
品川区では創業に当たり区のサポートのもと、提携してる金融機関から融資を受けられる制度がありますが、そのために何回かの面談を受けないといけなかったりと申込みまでに時間がかかります。(創業時期が先で、経営について学びたい人はいいかもしれません)

その分申し込み後の審査は他金融機関より日数はかかるそうです。が、申し込みまでの期間と合算したら、特に付き合いのない金融機関として考えたら全体的には早いと思います。

③事業報告が不要
他の金融機関の場合、融資を受けたら定期的な事業報告をする必要があります。これは悪いことばかりではありません。財務諸表をみながら改善点が無いかの相談が出来ますし、定期的に情報交換することで更に営業につながることもあると思いますし、事業が順調にいっていれば更に融資の提案を受けることもあります。
こんな言葉を聞いた事ないでしょうか。
「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」
事業は常に上手くいけばいいですが、上手くいかない時期もあります。そこをどう上手くいかせるかが経営者の腕の見せ所だと思っていますが、その時に金融機関が味方になってくれるかといったら必ずしもYESではありません。「いついつまでに全額返済してください」と本当に言われることもあります。そんな状態で全額返済したらもうどうなるか・・・
前者のメリットは必ずありますので、私は口座開設は信用金庫などこまめに相談に乗ってもらえるところでも開設し、プロのアドバイスをもらいつつ、関係構築しながらも、最初の融資は公庫でという選択をしました。

その他、利息が安い、事業所の場所を問わない、口座開設が不要、審査が厳しくない(らしい)などなどあり、公庫に決めました

|実際にやったこと

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◆準備編
ようやく本題です。
まず申込みにあたって、いくつか資料を用意する必要があります。公庫のHPを見てもよく分からなかったので、一度相談予約を申し込みして説明を受けました。説明を受けた結果、色々なことが判明したので、まず説明受けてよかったと思っています。

申し込む融資制度により申し込み時の必要書類が違うのですが、今回私は「新創業融資制度」になるので、申込み時は以下を用意するよう説明されました。
①申込書
その場でもらえますし、公庫HPからダウンロードも可能です。
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
②法人の履歴事項全部証明書(原本)
法人の場合は必須です
③創業計画書
同じく上記URLからダウンロードもできますし、記入例も見れます
④設備資金で申し込みする分の見積書(コピー可)
申し込む融資の金額に設備投資分が入っている場合、その見積もり書が必要です
⑤事務所等の賃貸借内容が分かるもの
物件所在地・地家主・家賃・保証金・広さなど物件の情報が分かるもの。特に創業融資を申し込む方はまだ契約していない人も多いと思いますが、契約の必要はなく、上記情報が分かる資料で問題ないとのことです。
⑥業許可証
私の場合は輸入品の中で化粧品も取り扱うことが決まってましたので、化粧品を取り扱うための業許可証のコピーの提出が必要でした。営業を開始するにあたって国などから必要な許可がある場合は取得してから申し込む必要がある場合がありますとのことでした。

私に関しては以上でした。
他にも担保ありにする場合(利率が低くなります)はその物件の登記事項証明書(原本)や構図・建物図面(原本)だったり、飲食店や美容業など生活衛生関係業種を創業される方はその他の必要になる場合がありますとのことでした。

|創業計画書について

様式などの指定はなく、もし独自に用意されているものがあればそちらでも構わないとのことでしたが、個人的には公庫が用意しているもので作成して提出するのがオススメです。
これは、受け手の立場に立つとわかりやすいですが、普段から見慣れているフォーマットの方が仕事がしやすいからです。
特に審査担当は何枚も見なければいけません。チェックしたいポイントがあるにも関わらず、独自のフォーマットで提出されると見たいポイントを探すところからしなければならないので、手間がかかります。実際相談した窓口の方も、公庫のフォーマットで出してもらえると見やすいと言ってました。
もしどうしても独自フォーマットで提出したい場合は、公庫のものと合わせて提出することをオススメします。

|必要な資金と調達方法の書き方

創業計画書の中に、「必要な資金と調達方法」という項目があります。
ここは実際にかかる費用がいくらで、それに対して自己資金や身内からの借り入れなど公庫の融資以外でいくら調達するのか、結果公庫からいくら融資を希望するのかを記載する欄です。
このかかる費用の総額と、調達する金額が一致していなければいけません。

この時に記載する自己資金ですが、特に私のように実際に法人を設立してから少し期間が経っている場合、それまでにかかった費用も記載した方がいいとアドバイスを受けました。

例えば、300万円でスタートして、半年間の活動結果100万円の支払いがあった場合、自己資金としては200万円の記載になりますが、既出した100万円も記載しておくことで、自己資金額を多くすることができ、審査も通りやすくなるとのことです。

自己資金の欄に自己資金200万円と既払自己資金100万円と書くと、法人としの自己資金は300万円(だった)ということで審査してもらえるので、これは絶対記載した方がいいです。
もちろん費用の欄にも既出〇〇~~円というのを記入し、その領収書や請求書などを提示する必要がありますので、架空のものは駄目ですよ。

制度上、融資金額のうち1割は自己資金額が必要です。ただ実際1割では審査は通りにくく、一般的には3割は必要と言われています。
すでに払った費用が100万円あれば、融資金額は200万円~300万円ほど上限が上がることになりますので、必ず記載しましょう。

|運転資金の書き方

見積もりがある設備資金と違って、運転資金の金額は記入者が決めて記入する必要があります。100万円でも500万円でも構いません。(創業融資の運転資金の上限は1,500万円です)
そう言われるといくらにしたらいいのか迷いますよね。最低限はいくらにしたらいいのか、もちろん多く融資してもらえることに越したことはないし・・・と。
ただ、この金額はその根拠を必ず聞かれるので適当に書いてはいけません。仕入れにいくら、人件費としていくら、広告宣伝費としていくらと項目ごとに金額を決めて、さらにその根拠を聞かれたときに回答できるようにしておく必要があります。
その書き方のヒントが公庫の創業計画書フォーマットにある「事業の見通し」です。
これはいつ時点で軌道に乗るのか、要は月単位で黒字化されるのはいつで、黒字化されたときの売り上げと経費を記載する項目になります。業種などによって軌道に乗る時期も違うと思いますが、もしイメージがわかない場合は1年後としておき、1年後から黒字化されるとしたときに今いくらの現金があると、現金がゼロにならずに1年後を迎えられるかを計算しましょう。
その金額から、借り入れ金額を決めると説明がしやすいです。


|提出そして面談へ

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上記資料がそろったら、窓口に提出です。公庫は日本全国に支店を持っており、どの支店に持っていくべきかですが、法人であれば本社から一番近い場所がいいでしょう。私の場合本社と事務所があり、それぞれ近くに別の支店があったのでどちらが望ましいかと確認したのですが、回答としては「どちらでもいい」でした。

提出に関しては予約も不要です。初めてでも、突然行って「融資の申し込みに来ました」と伝えれば、申し込み受付に案内されます。

受付時は必要な書類が揃っているかをチェックされ、申し込み後の流れの説明を受けるだけですので、緊張する必要はありません。
私は申し込み前に相談もしていたので、申し込み書類に不足はなく、書類の提出とその後の流れの説明で15分もかかりませんでした。

申し込みに問題がないと、一枚紙を渡されます。その紙には次回面談時に持参が必要になる可能性のある資料が一覧で記載されてます。面談については受付と別の担当の方が行うので、担当の方が決まり次第電話があり、電話の中で持参してほしいものを伝える際に、この紙を見ながら説明するとのことでした。

申込内容や申込者の状況により持ってきてもらうものが違うので、電話で説明して、面談までに用意してほしいとのことでしたので、申し込み前に用意する必要はありませんが、内容としては以下のようなものです。

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