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Controversial

議論のポイントが賛同できる人と賛同できない人がいるとき賛否両論となる。オリンピック直前になって主要な役割を務めていた人たちが次々と辞任等に追い込まれたこの1年。感情面も考慮した論理展開の末明らかに退かなければならなかった人もいた半面、単なる「感情論」に押し流される形で去った人もいたようだ。

最新のcontroversialな義論に巻き込まれたのがミュージシャンの小山田氏とオリンピック開閉会式のディレクターを務めていた小林氏だ。

この二人「過去の過ちを掘り出されて追い込まれた」という点では似ているが、どうやらその根っこの部分は違うようだ。かたや、当時の悪質さが際立つものと、もう一方は解釈によっては「え、なんで」となる人があらわれてもおかしくないものになる。

まず小山田氏の過去については、当人も認めるようにそれが事実だとしたらかなり悪質性は高い。

「全裸にしてグルグルにひもを巻いてオナニーさしてさ。ウンコを喰わしたりさ。喰わした上にバックドロップしたり」https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85412?page=2

普通に「サイコパスかなんかなんじゃないか」と思わせるようなかなりひどいいじめだ。被害にあわれた方は一生根に持ってもおかしくないレベルの話でもある。これがいくら過去のこととはいえ、三つ子の魂百までとはよく言ったもので、性根の部分では消え去っていない可能性はぬぐえない。
この点から、辞任に追い込まれるのは致し方ないことと言えそうだ。

一方で、ラーメンズの小林氏の方はどうだろうか。

既に分析しているライター・ブロガーも数多くいる。

外国人も取り上げており、注目の高さがうかがえる。


ここでの議論となる前提を整理しておこう。
1.小林氏はシナリオ(ネタ)をつくった
2.そのネタの中は「子供向け番組なんてつくらせちゃダメなヤバいやつ」が登場人物としてでてくるものだった
3.「ヤバいやつ」を「ヤバいやつたらしめる」ために、歴史上タブーとされる大量虐殺の事件を利用するようなキャラクター設定にした
4.小林氏はそのネタで以上な奴らを演じた

Twitter界隈で騒ぎ始めた人や「ほんとにこの人、このコントのフル動画全部みたのかな?」という人まで一斉に「ホロコーストを揶揄した」と非難しはじめた。

確かに世界的なイベントの式典のディレクターとしては清廉潔白であるべきというような風潮はあり、特に世界を意識した歴史人権問題には配慮すべきという観点もあるため、その基準からいうとアウトかもしれない。

「不謹慎極まりないヤバい奴」設定をするために選んだ言葉がまずかったと言える。が、このギリギリのラインをつくところが長い間、細々とファンを掴んでいた理由な可能性はある。

確かに過去のラーメンズのコントをいくつか見てみると、放送コードギリギリ(か若干アウト)なネタも数多くみられる。それがコアなファンをつくる一方、逆に使いづらくてあまりテレビには呼ばれない芸人になっていった要因かもしれない。

歴史的タブーに触れた作品は世界中にある。
ユダヤ人を侮辱しているとも言われるモンティパイソンの映画「The Life of Brian」の主題歌「Always Look On The Bright Side Of Life」はオリンピックでも歌われたようだ。
https://twitter.com/syoun765/status/1417900013812736001
サウスパークはいまでも人気が高いが、社会風刺や人種差別的なものが世の中から消し去れないことを前提としたようなエピソードもある。
https://logmi.jp/business/articles/145980
TED2にもセリフを切り取ると露骨に黒人差別と捉えられかねない表現がある。
https://okomotot.com/%E6%98%A0%E7%94%BB%E6%84%9F%E6%83%B3-%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%892ted2/
http://rhythmterrorism.blog118.fc2.com/blog-entry-235.html

いずれも、「だれもが聖人君主ではなく、どこかしら幾分悪い部分あるよね」といったことを前提としている可能性があり、制作側も「それでもそれを良しとせず悪い奴は悪い奴として非難しないとダメだよね」といったことも暗に意味していたりする。

これを自分たち日本人に当てはめて何か似たような比喩をつくるとしたらどうなるだろうか。原爆の話を例に出す人もいるようなので、それに合わせて描いてみよう。

直接的な当事者(アメリカ)ではないが連合国軍側の国としてフランスがある。フランス人のコメディアンが「原爆投下ごっこを子供向け番組でやろうとしたらプロデューサーに止められた頭おかしいやつ」の役をやったとする。それに対して多くの日本人は烈火のごとく怒りだすだろうか。一部には自分の祖先なりが被害にあった側で、その言葉を聞いたり話題にされるだけで不快になる人もいるかもしれない。しかし、そういった一部の感情や考え方が世界の総意となるだろうか。確かに、そのコメディアンがフランスでオリンピックをやるときの開閉会式のディレクターをやっているとなると「清廉潔白・聖人君主・完璧主義」を求める人達からは拒絶される可能性はある。が、やはり果たしてそれは世界の総意として、元のポジションから除名される事由になり得るだろうか。


まとめると、今回巷を騒がせた小林氏の件で言えることは3つ
●過去のネタでは「歴史上の悪い奴を利用するような頭おかしい奴としてキャラクターを演じた」が、それは逆に大量虐殺を揶揄するどころか、むしろそれを実行した悪の否定をしていること
●が、そんなわかりづらい(=よく考えないとわからない)一歩間違えれば誤解されないような言葉のチョイスをするべきではなかった(※実際、残念ながらそう解釈されてしまったわけだが)。しかも、人種・肌の色・性別・性的指向・言語・宗教・政治的ないざこざを一切含んではいけない世界の祭典であるオリンピックの運営側に立つ人は特に現在も過去にも…。
●それを部分切り取りが大好きなマスコミと一部の「自分の解釈を軸としてしか理解したくない&押し付けたい」人たちの影響を受けて、ソースをよく確認しないかロジカルに考えられない上層部の人たちまでもが短絡的または場当たり的な対応をした

この論理的思考力の弱体化と老害層の判断力・対応力を見る限り、このままいくと日本は想像以上に早く堕ちるところまで堕ちる可能性がある。
論理的思考力を身に付けるために、立てよ国民。


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