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私は夢なんて叶わないと思っている。選ばれたものだけが手にする幻の武器。私なんかが手にしていけないもの。本当にそう思っている。傷つく。壊れる。それでも手に掴もうと勇気を出す。物語の主人公みたいな強い思い。最大限に精一杯膨らませる。信じ切ったものだけが掴めるもの。そうやって夢を叶えるのだって私は知っている。けど、やっぱり私は私のままだ。私だけの大切な瞬間を掴み取りたい。いつか訪れるはずなのだ。だから私は誰よりも強く願った。それは、私だけに許された特別な力。他人の心を操り、手に入れられるもの。嘘のエーテル。私以外の人間の見ている世界。聞いている言葉。感じているもの。自在に変化させられる。私と出会った人たち。過ごした日々。恨まれているだろうか。私が作り出した偽物の記憶。本当の景色じゃなくて幻の思い出。西野ひかり。魔術回路持ちが大嫌いな女の人。彼女と出会うまでの私。思い出している。たくさんの人を騙したと思う。信じられないような嘘をついた。偽物の現実を植え付けてきた。だから私は夢なんて叶わないと思っている。だってそんなものは──。

「二○二六年十一月一日。執行対象者は嘘のエーテル保有者、布川唯芽。執行人は国家安全機構人材開発室特別監査任務Hate所属、夢島蟲ツ子。排除係は同じく国家安全機構執務室開発局キノクニヤ改造医療実験体製造番号零五壱、百豪業、通称OZ。現在午前六時五十四分。午前七時より執行を開始します」

強化ガラスの向こう側。アイシャとかいうとても綺麗な女性。私の執行理由を読み上げている。彼女の隣には男の人が立っている。機械みたいな冷たい目。確か十草総悟とかいう人だ。真っ白な壁に囲まれた百平方メートルの空間。一番真ん中に強化ガラスの箱。たった一人で立たされている。今までついた嘘を後悔させられている。なぜ嘘をついちゃいけないのだろうか。人はみんな嘘をついて生きていると思う。やりきれない現実。乗り越えられない壁。素直さなんて受け入れられない。きっと感情に振り回されてしまう。泣いてしまいたくなるじゃないか。とても面倒でやりきれない。なぜ行動を奪われているのだろうか。自由はもう消えて無くなってしまった。執行人と排除係の間に挟まれている。理由なんて未だに分からない。私の左側。髪の毛の長いOZと呼ばれる排除係。何処かで

期待している。私を救ってくれるかもしれない。今まで知らなかったこと。キノクニヤという機関。一般の人には極秘になっている。世間には公表できない人体実験。改造医療実験体。アニメや漫画に出てきてしまいそうな奴ら。実在しているらしい。アイシャさんが私に説明をしてくれた

「あなたが生き残るために、排除係の中でも特に優秀な人を選ばせて頂きました。あなたに対する執行理由にはたぶんに不可解な点が含まれているし、公平な法の執行という点において是正されなければいけない条件があるという私の独断と偏見による判断ですからこれが精一杯の対処となります」

アイシャさんは突然、私の職場に訪ねてきた。三年前に施工された魔術対策基本法。それと、正義の天秤制度に基づく権限。個人的情報の全て。「知っていることを話す義務があります」と彼女は私に告げた。けれど、私はもう既にごく普通の女の子だった。私の特殊な力。脳内の認識を全く別の情報に置き換えてしまう。そんな芸当は失われてしまっている。そりゃ、会社や友達や恋人と一緒に過ごす時。他愛のない嘘。悪戯のような冗談。その場を誤魔化して過ごすようなこと。当然ながらたくさんある。私のついていた嘘とは次元が違う。西野ひかりさんとの出会い。何もかも変えてしまった。けど、アイシャさんが来てもピンとこなかった。国家殺人機構エディプスが必要としている情報。私なんかが何一つ持っている訳がない。百平方メートルほどの空間。強化ガラスで仕切られた大きな窓の向こう。アイシャさんと総悟さんが何かを話している。既にマイクは切られてしまっている。こちらまで何も伝わってこない。私はたくさんの人を騙している。二人はこっそり貶しているのだろうか。すごく不安になる。手を伸ばそうとする。脚を動かそうとしている。声を発してみる。白い壁に囲まれた部屋の中央。透明な箱の中。何もできない。ただ見ているだけだ。無力ってやつだろうか。

「アイシャさん。あなたがどんなにこの執行の中止を望んでも結局執行は開始されてしまいますね。排除係はキノクニヤが用意した彼らの技術力を詰め込んだ最新鋭の改造医療実験体。左右二つの肺に加えて、百豪豪は生まれつき心臓にもエーテルが発生してしまう劣性遺伝を抱えていた。キノクニヤはチルドレ☆ンから提供された技術で肺胞や心房室に生成されるエーテル粒子体の属性を彼らが管理してきました。そのデータベースと接続することで多種多様なエーテルを自在に変化させて発生させる技術をOZに埋め込んだのでしたね。けれど、夢島は古くから受け継がれる人間の能力を最大限活かす研究を続けている家系で彼女は現夢島家において最も能力に秀でた一人娘。彼女の才能とその完成度は呪谷や鬱ノ木からも寵愛を受けるほど。もしもはあると思いますか」

「いえ、たぶん無理ね。夢島蟲ツ子の持っているルナ☆ハイム社製疑似エーテル生成感情増幅装置ヘイトは夢島蟲ツ子と遺伝的共生が可能であれば敵意を向けてくる対象の攻撃に対して耐圧耐熱耐衝撃防護壁を自動生成する。けれど、彼女の行動的免疫システムと連動した感情機能増幅装置によって脅威と判断された場合、自動的に索敵対象を消滅させるエリミネターモードを発動。拳銃型高出力兵器として対象を分子崩壊させる熱線銃を投射する。OZはキノクニヤが初めて開発に取り組んだエーテル搭載型改造医療実験体とはいえ、あくまで開発途上の実験体よ。有機コンピューターを搭載したバイオノイドの可能性も疑われているとはいえ、主力である超重力子投射砲グラビトロンカノンも未完成と聞いているから」

「キノクニヤはあくまで全貌を知り得ない秘密機関という訳ですか。だとしたらこの執行も」

「そうね、敵討法のもう一つの目的である科学者たちのエゴによる人体実験の合法化という側面も持ち合わせているわね」

「それじゃあアイシャさんがOZを要請することですら執行手続きの範疇に含まれているということになりますね」

「私自身が自分にとって利益率の高い選択肢を選んでいるのかも知れないわね。残酷なんて言葉が曖昧になって人の生死に対して無頓着になってしまっているのは事実よ」

ほら、やっぱり苦い顔をしている。私の今までついてきた嘘。積み重ねてきた罪の味。アイシャさんと総悟さんは堪能している。悦に浸っているに違いない。私のことを傷つけてばかりだった山野登。お付き合いしてくれていた人。束縛が嫌いで私はずっと自由だった。常識なんて反吐が出る。だから、西野ひかりさんが応援してくれた。嘘のエーテルを使えばいい。彼の現実を書き換えてしまえばいい。出来るだけ巧妙に。とにかく簡単に。忘れてしまった思い出。戻れない過去。今、私には死って現実が迫ってきている。アイシャさんはきっと喜びに感じているのだ。蟲ツ子さんから強烈な光が発生した。ビーム兵器っていうのかな。私のガラスの箱の前を通り過ぎる。夢島蟲ツ子。私のことを殺しにきた女の子。彼女の前に作られた光の壁。OZとかいうロボットみたいな人間の攻撃。間一髪で防いでしまう夢島。なんだかアニメみたいな現実だ。真剣な戦いに巻き込まれている。私はこのまま死んでしまうのだろうか。本当に私の人生は何だったのだろう。

「ちょっと何考えているのよ! 別にあなたがあの子を守る理由なんてないでしょ! 私はたとえ誰であっても人なんて傷つけたくないし殺したりなんて絶対したくないの! あなたのほうが降参してくれればそれで終わるはずでしょ?」

「残念ながら私も職務でこの場所に出向いていますし、あなたと違い人を殺すことに何の迷いもこちらにはありません。私の長年の夢だった圧倒的で完全無欠のこの力。試せずに逃げ帰るなんてことがどうして出来ましょう。私の可変エーテル粒子収束砲の七色の光の餌食となる。あなたこそ大人しく抵抗を辞めてこの場での執行放棄を求めます」

会話が白い壁に反響している。私の立場を内容から察してしまう。夢島って人はどうやら私のことを殺す気がないらしい。それなら私は生き残れるだろうか。世界の秘密を知ることが出来たご褒美。なんでもない毎日。また戻っていけるかもしれない。なんだか希望が湧いてくる。嘘をついた人たち。今なら謝りたいとすら思ってしまう。木野純也はきっと私のことをすごく恨んでいる。だから、執行依頼を出してきたのかもしれない。あんな風に騙される人は初めてだった。夢の世界で生きているように細工をした。頭の中だけでは本当に起きているようにした。錯覚してくれたはずだ。公園のベンチ。二人で一つのアイスクリーム。ありきたりのいつものデート。木野純也は石油でも掘り当てたみたいな顔をした。砂漠の国の王子様だと思い込んでいた。いつも楽しそうで嬉しそうだった。けど、私がいなくなってしまったことも気付かない。狭苦しいワンルームのアパート。笑顔のまま生きているに違いない。だから、ひかりさんと組むようになった。二ヶ月ぐらいたったある日。彼女は私のことを誉めてくれた。才能豊かな唯一無二の存在。どうしても謙遜してしまった。けど、悪い気なんて全然しない。多分ちょっと調子に乗っていたのだと思う。私の部屋に遊びに来てくれた木野純也。いつもよりずっと多めに嘘のエーテルを使用した。視覚情報。聴覚情報。嗅覚情報。何もかも書き換えた。目の前にいるのは私のはずだ。けど、彼はまるで南の島まで辿り着いた気分だ。思う存分バカンスを楽しんですらいた。認識情報はまるで別物になったはずだ。ひかりさんは説明してくれる。乱れた話し言葉の順列。適切に発話方法。目の前で起きている現象。私の与えたい情報。正確に精密にすり替えてしまえるらしい。西野ひかりさんは私にエーテルの使い方を教えてくれた。磨き上げてもらった力を最大限に利用する。誰よりも幸福な時間と空間。木野純也には与えてあげた。二度と戻ってこられないようにしてあげた。私は今、ガラスの箱の中に閉じ込められている。なんだかあの時の木野純也が少しだけ可哀想だ。ひかりさんがいつの間のか植え付けていた。世界が自由になるのだという思い込み。私は私自身の力に呑み込まれていった。ひかりさんは本当にひどく恨んでいる。魔術回路を持った人間のこと。後になって気付いたことだ。彼女が生まれつき持っていた負の感情。簡単に書き換えることはできない。私は他人に精神干渉を引き起こしてしまえる。誰かの人生に影響を与えて変化させてしまえる。ひかりさんは本当は私を憎悪していたのだと思う。必ず報いを受けることになる。十二分に思い知らせられた。そして、私の傍から永遠に消えてしまった。やって来たのは敵討法に基づく社会。執行対象として始末されようとしている。私は布川唯芽。世界でたった一人の人間だ。もう誰のせいにも出来ない。ひかりさんは事実だけを徹底的に埋め込んできた。傍にいてくれるから、自分の力に酔いしれることが出来た。優越感と陶酔感。私にプレゼントしてくれた。最後の夜。一人きりになるのがとても怖かった。夜を過ごすのが辛かった。お互いに身につけていた服。全て脱ぎ捨てる。二人ともちゃんと裸になれた。一緒に入り込んだベッドの中。私は涙を流してしまっていた。後ろからひかりさんは抱きしめてくれた。「あなたは力を使いすぎたの。機能不全を引き起こしてしまったのよ」と耳元で囁いてくれた。とても優しく慰めてくれたのだ。

「ひかりさんは私のことを騙したのですね。地獄の底に突き落とすんだ」

「この世界は最初から地獄なのよ。あなたはそれをようやく知ることになるだけ」

「ぷらとにっくすぅさいどですね?」

「いいえ、だぶるぷらとにっくすぅさいどですよ」

夜が明ける頃。私はもう人を騙すことが出来なくなった。嘘のエーテルはもう何処にもなくなってしまった。偶然出会った行きずりの誰か。すり替えられた現実。偽物の世界。二度と戻れなくなってしまった。心の中で私は自殺をしてしまったのだ。ひかりさんという存在も消えていた。私の中で私と一緒に心中をしてしまったのだろう。逃げることの出来ないガラスの箱の中。執行人と排除係の二人。私の生死をめぐって走り回っている。答えを追い求めているみたいだ。私と良く似ている。はぁはぁと息切れをする夢島。執拗に追いかけてくるOZ。そうだ、逃げ回ればいい。時間が過ぎるのを待てばいい。本当に私みたいだ。もう力は持っていない。使うことも出来ない。彼女も同じかもしれない。もし私が生き残ることが出来たらと考える。次はもっと人に優しくありたい。もう二度と嘘なんてつかなくて済むように。

「いい加減にして! もうあなたの力は十分にわかったわよ! このまま行っても私が絶対に勝つに決まっている。これ以上戦い合うなんてまるで無意味よ! 私は争いなんて本当に嫌いなの」

「なにを子供みたいなことを言っているのですか。所詮、この世は弱肉強食。どんな手段を用いてでもあなたを削除して、私は布川唯芽の執行を排除する。私はそのために作られてきたのですよ」

「もうなんでわかんないのよ」と独り言を呟く夢島。私を殺すことを嫌がっている。彼女はきっと善人なのだろう。私はエーテルなんてもう使えない。だけど、また騙すことに溺れてしまう。生きようとしてしまう。憎しみと嫉妬に塗れている。合法的に殺人が許可された場所。敵討法が執行された。殺してもいいと判断が下されたのだ。私は大嘘憑きだ。けど、夢島が優しさを配っている。きっと救い出そうと考えている。とても一生懸命な姿。つい涙を流してしまう。生かされているのだって思い。溢れてくる。「がんばれ」って呟いてしまう。私は透明なガラスの箱の中だ。届く訳がないって知っている。私を殺すためにやってきた夢島。直向きな努力。つい、応援をしてしまう。彼女の持っている武器はヘイトって呼ぶらしい。アイシャさんが説明してくれた。公平な敵討を執行するためだという。武器の形状と構造はすごく複雑だった。私にはまだよくわかっていない。憎しみの感情が大切らしい。私はどう思われているだろう? 彼女はヘイトを持っている。光の壁を作り出している。けれど、人殺しの為の道具だ。早く使ってしまえ。もう二度と彼女を守ってくれないはずだ。今まで感じたことがない気持ちで溢れる。ガラスの箱の中。夢島に向かってエールを送る。精一杯の気持ちを伝えたい。現状を打開するだけの秘策。奇跡の大逆転劇。願いを捧げる。祈りを届ける。何度も「がんばれ」って叫んでみる。声が枯れてしまいそうだ。OZっていう人の攻撃を防御する。彼女が手に入れたいはずの勝利の形。ガラスの箱の中で手を振る。私の存在に気付いてもらおうとする。OZはロボットみたいだ。夢島が追い込まれていく。息切れをしている。膝を抱えている。絶望の淵に追い込まれてしまう。私は今までの人生で一番力を込める。もう一度立ち上がってほしい。精一杯の力で私の本当の気持ちを叫んでやる。

「がんばれ! 夢島! こんなところで負けるな! そんなやつ全部吹き飛ばしちゃえ!」

私の声がもしかしたら届いたのかもしれない。夢島は何かに決意したみたいだ。まっすぐと立っている。手に持っている道具。誰かを傷つけるためのものだ。彼女は思いの力で人を救う。ヘイトはちゃんと武器に変わってくれる。私と一直線に並んだOZってロボット人間。タイミングはバッチリだ。彼女の心の奥底に秘めていた気持ち。誰かを救いたいって思いそのもの。しっかりと構えて撃ち放つ。

「終りね。やはりルナ☆ハイム社製の武器の威力は現代の科学だけでは説明のつかない要素が多過ぎるわ。今後彼らの開発した武器が執行に投入されるべきかどうかも含めて私たちは判断を下す必要があるかもしれない」

「キノクニヤで開発されたエーテル搭載型改造医療実験体であるOZと特殊強化ガラスで出来た布川唯芽の監獄を跡形もなく吹き飛ばしてしまった。疑似エーテル生成感情増幅装置ヘイト。正直いまだにその力は未知数といったところでしょうか」

「やはり公開され始めたとはいえ、この国の暗部は一癖も二癖もある連中が集まっているということよ。とにかくキノクニヤで開発されていた技術はエーテル研究だけじゃなくて細胞や分子レベルの構造変換も存在していたってことね」

「得体のしれない国家安全機構執務室。全貌まで知り得る人間は一体どんなやつなんでしょうね。ぼくたちはきっと何も知らないまま、知り得ることのないまま、生きているだけなのかもしれない。おそらく自分自身の身体についてすらも」

目の前で人が殺された。反応が薄くなり始めている。総悟は違和感を覚えている。Cortexの一部が反応耐性を作り出す。感情機能の相互作用の摩耗。実生活水準まで調整された反動? 電脳は軍事用に開発されたものを転用している。医療用途だからこそ埋め込まれた機能。環境適応能力の基準値。常人とは違う数値を示し始める。人知れず行われた人体実験。エンターテイメントが飲み込んでいく。執行人の役割。決して贖うことの出来ない罪の意識。カメラアイにパラメータが表示される。変化していく数値。状況を認識する機能。総悟はサイボーグだ。全身を機械の身体に置き換えられている。ポプリと離れ離れになっている理由。総悟はもう一度自分を取り戻せるだろうか。選ぶべき道。優秀な個体へと進化していくこと。記録とデータの収集が繰り返される。完璧なサイボーグ。より人間的な姿と形。そして心を手にするはずだ。アイシャは執行完了を確認する。秘匿執行案件許可室。国家殺人機構エディプスによって管理されている。仕事の成果を認め合う。百平方メートルほどの空間。白い壁に囲まれている。二人が許可室を後にする。誰も残っていない。ヘイトによって消滅させられたOZの肉片。蠢きながら再び元の場所に集まり始めている。監視カメラが起動している。映像を眺める男。銀色の短髪で白衣。自信に満ち溢れた表情。

「しかしぼくの趣味で開発した実験用改造医療実験体がこうも簡単に吹き飛ばされてしまうとはね。ちょっとプライドが傷つくなぁ。宝生院修一に佐々木和人。ただの人間の分際でこのぼくの頭脳に追いつこうとでもいうのかな」

国家安全機構執務室開発局改造医療実験体。及び拡張人間プロジェクト研究所所長。九条院銀河。黒い三日月が刺繍された白衣。秘匿執行案件許可室の監視モニター。銀河は襟を正して部屋を立ち去る。誰にも知られず行方不明として処理される人々。いつの間にか世界から消えていく人生。機械と人を一つに繋ぐ実験。きっとパンにだって見つけられないかも知れない。

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