労組交渉のジョーカー:組合員全員が「会社をいつでも辞められる」という選択肢を、当たり前に持っていること
仕事をしている理由は何か。
綺麗なことを言うのならば、それは社会のため、家族のため、自分のため。
しかしながら、多くの人は「給与・お金」を得るためであることが大きな要素になることがほとんど。
いくらやりがいがあるからと言って、金銭が一切手に入らない環境でわざわざ働くという人はそこまで多くない。
よほど余裕がある状態でなければ、そもそもその選択肢を取ることが出来ない。
だからこそ、仕事において給与はとても重要。
命綱として機能していることが多い。
しかし、それがあるために「辞めさせられる」ということにリスクを感じる人も多いのは間違いない。
辞めてしまうことはそのまま金銭が手に入らないことにつながる、それは食べられないこととなり、路頭に迷うことになる。
簡単に言ってしまえば、死そのものがやってくるということ。
そうなってしまうことを出来るだけ人は避けようとして、ますます会社や利権にしがみつこうとする。
生存本能そのものがそうさせているといってもいいかもしれない。
もちろん、仕事を選ばずに何かを行うことは出来るかもしれない。
多くの人の支えの中にいて、活かしてもらうことも可能かもしれない。
しかしながら、仕事を失ってもう一度仕事を手に入れることが出来ない場合は足元を見られる。
特に中年を超えて特別なスキルもなく、希少性がないという人は買いたたかれる。
交渉としてとても弱い状態であり、一部の弱い世代は給与は上がることは無い。
氷河期世代はそういう意味で踏んだり蹴ったりになっていることが多い。
一方で昨今の若手が給与がうなぎ上りに上がり、中高年は給与が下がる。
まさにその人が持つ潜在的な競争力、それによって格差が広がっているような気がする。
それはなぜ起きてしまっているのか。
それは世代による競争優位性・交渉力の差が明らかになってきたからであるような気がする。
労働組合はまだまだ本気で賃上げをし切れていない面が多い。
というのも、一人一人では交渉する力が弱いから。
特に、多くの中年以降の人を抱えている労働組合としては、本来の力を発揮することは出来ない。
というのも、交渉力や交渉力として企業側にすべてを握られてしまっているから。
安定した給与や退職金・現在の境遇の保証をなげうってまで戦うことが出来る人は、なかなかいない。
個人で企業に立ち向かおうとしても、叩き潰されるのが関の山。
では本当の意味で強く、企業と対等に、真の意味で賃上げを実施するためにはどうすればいいのか。
真に賃上げを狙うなら、勤めている全員がいつでも辞められる状態を作っておくこと。
逃げられるリスクが高いことに企業が危機を感じるのならば、辞めさせるようなことは起こりにくい。
むしろそのようなリスクを恐れて、給与面で不満が出ないように交渉を引き出させることが可能になる。
組織よりも人が優位である状態であることが、交渉の権力を強くする。
昨今の人手不足トレンドも相まって、ますます交渉する力は強くなる。
そして個人の給与の依存先が一つでは弱く、複数存在する場合はとても強いのも間違いない。
ひとつがダメであっても、他のものに逃げ込んでしまえばいいのだから。
そうすれば、怖いものが無くなってくる。
行動も発言も、縛られた発言から解放されるようになる。
それは本当の意味で自由、対等になるという状態なのかもしれない。
もちろん究極的には、すべての人がいつでも辞められるという状態であれば、最強かもしれない。
しかしながら現実的にはそこまで行くのはまだまだ難しい。
だからこそ、個人としての交渉力を上げるために、少なくともいつでも「辞められる」という状態は作っておくのがベストであるのも間違いない。
だからこそ、複数の収入源を持っておくことや、富を別途蓄積しておくことは重要。
それが出来ることは、個人の交渉力をかなり高くする。
そのような力を持つ個人が増えれば増えるほど、労組の力は強くなっていく。
会社依存で偉くなるよりも、まずは自由を手に入れるために、複数の依存先を開拓しておくこと。
未来において自由を確保しながら生き残りたいのならば、これこそが一番初めに実施するべき内容になるのかもしれない。
真の自立、それこそが多くの個人に求められることに違いない。
ありがとうございました。