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危機の時代とNew Normal(新常態)に向けた人事アジェンダ

前回の投稿からだいぶ日が経ってしまいましたが、私は10年以上前から企業勤めながら比較的リモートワークも多かったので、日常はあまり多く変わっていません。逆に皆さん仰っていますが会議の時間が増えてしまったので、どうやってメリハリをつけて仕事をするか、どうやってインプット・アウトプットの時間を創出するか、タイムマネジメントに苦慮してしまい、このnoteからも遠ざかってしまいました(若干、いいわけです笑)

ただ当然ながら私が接している企業の皆様の多くはこの新型コロナ対応に追われ、実施をしようとしていた施策を中断せざるを得なかったり、延期をするなど今は「応戦」をするフェーズとなっているかと思います。
このnoteでの著者も含めかなりのWith コロナ、After コロナにおける政治・経済・社会の変容に関する論調も目立ってきました。

私もコンサルティングファームやシンクタンク、また各オピニオンリーダーの皆さんの意見も参考にしながら、「危機の時代とNew Normal(新常態)に向けた人事アジェンダ」について考察をしてみましたので、皆さんにも共有ができればと思います。

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上図に一旦まとめています。今回オピニオンリーダーの皆さんの論調で特徴的なものが新型コロナ下におけるステージ分けです。with コロナ時代/Afterコロナ時代とわけたり、ボストンコンサルティンググループの論考のようにwithコロナをflatten/fightとわけて論じるパターンもあります。私はシンプルにCrisis StageとNew Normal Stageにわけ、「応戦・対応」と「予防・挑戦」という標語をつけました。

<参考>
COVID-19: Win the Fight, Win the Future
https://www.bcg.com/ja-jp/publications/2020/covid-scenario-planning-winning-the-future-series.aspx

コロナ危機と新たなリーダーシップ・アジェンダ
https://www.bcg.com/ja-jp/featured-insights/coronavirus.aspx

組織・人事の脈絡ですとこの応戦・対応は正に「今」であり、各企業とも今の人事戦略・施策を大幅に見直さざるを得ない状況にあるかと思います。またこの新型コロナが発生したタイミングが、日本では多くの企業の会計年度(当年4月〜翌年3月)に重なりました。タイミングという観点で、一番多くインパクトを受けたのが新研修であり、大企業の多くは一斉にオンラインでの新人研修に切り替えたり、入社月を遅らせて現在オンライン教材を作られている方々もいらっしゃるかと思います。研修会社なども急ぎオンライン新人研修というパッケージを開発し、売り出しているようです。

また外出自粛が政府・行政期間から依頼されている中で、多くの企業がWork from Home(在宅勤務)にシフトし、そのための制度設計・整備またその施策を支えるためのリモートワークツール(VPNに始まり、Zoom・WebEXなどのビデオ会議、Slackなどのビジネスチャットなど)を導入するといった動きも加速化しています。

社員/従業員の皆さんの安全確保、健康・衛生管理が最優先事項となっており、人事異動、採用、研修などが中断・延期しているのがほとんどではないかと思います。一方でリモートワークがすでに根付いて企業の皆さまは粛々と計画されていた人事施策を検討し、そのままプロジェクトを進めていらっしゃる企業の方々がいらっしゃることも事実です。定常時にいかに筋肉質な体質を作っておけるかがサステイナブルの鍵であることを、危機の時代の今だからこそ痛切に感じています。

早くこの新型コロナが収束し、安穏の生活・仕事に戻ることを切に願っておりますが、今流行り言葉である「New Normal」になったときに人事側面では何を検討していなくていけないのか。

まずは真の働き方改革が進むということです。ここ最近も様々な調査でこの在宅勤務が当たり前になるという結果(要望)が出ています。

<参考>
在宅勤務「定着する」8割強、一般化で副業や地方在住の増加が予想
https://www.bcnretail.com/market/detail/20200508_171669.html

在宅勤務にあたってはツールの整備はさることながら、制度設計や例えば評価をどうしていくかなど移行するには様々な検討課題があります。
一方でリモートワークというのは海外では当たり前の制度であり、私が勤めている外資系企業でも昔から当たり前となっている働き方でした。よってその功罪というのもある程度わかっています。

3年前の記事になりますがIBMではテレワークのデメリットが大きく在宅勤務者をオフィスに戻す施策をとったこともありました。

<参考>
IBMが遠隔勤務制度をやめた理由https://forbesjapan.com/articles/detail/18195

真の働き方改革=在宅勤務の推奨ではなく、多様な働き方を受容する人事制度設計とする必要があると思います。

もう一つは人事DX一辺倒だった流れも潮目が変わるでしょう。今回の新型コロナは経済へのインパクトがかなり大きく、多くの企業は減収・減益見込み。経営戦略・事業戦略も大幅に見直され、組織・人事戦略に大きく影響することは想像に難くないかと思います。人事脈絡のデジタルトランスフォーメーション(=人事DX)に関してもこれまで以上にROIが重視され、DX領域と非DX領域の選別が行われると思います。ただ業務上の非効率な部分はアウトソーシングやオートメーションなどのコスト削減に向かう可能性も多くあり、そこで生んだキャッシュを新たな人事施策に向けられれば、前述した真の働き方改革に向かういい機会になると私は考えています。

VUCAの時代にあって、何かが起きたときにいつでもどこでも対処ができる「予防」と、この時代だからこそイノベーションや新しい組織文化を醸成できる「挑戦」のための人事アジェンダを設定すべきというのが私の意見です。

そのための機軸となる2本柱が、

1. 個人”を守る予防の仕組みの整備

2.   挑戦のための“組織・個”の強化

です。後半で詳しく論じていきたいと思います。

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