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楽天カードは悲観カードであり、楽天にはきっと東条英機がいる。

「コノォ、カードはぁ、ツカエないみたいです」


かなり怪しい動きでレジを操作していたアジア人が、かなり怪しい日本語で言った。東京のコンビニはどこもちょっとした多国籍パーティみたいになっている。

外国人差別だと怒られそうなのだけれど、カードが使えないと告げられた僕は「この人がミスってるんだろうな」と強く思った。彼女はかなりおぼつかない手つきだったし、いかにもこの仕事を始めたばかりという感じだったから。

僕は彼女のミスを半ば確信しつつ、だからといって彼女のミスを追求する気も起こらず、しかたなく別の方法で払うことにした。いつだって真実はすごく儚いから、多くの人は追いかけるのをやめてしまう。少年が虹を追いかけるのをやめてしまうみたいに。やれやれ。


……と、村上春樹っぽい文章を書いてしまう程度には「やれやれ」と思いつつ、「あ、じゃあSuicaで払います」と会計を済ませて何事もなく店を出た。桜がまだ咲いている、気持ちのいい午後だった。


それから2週間ほどが経ち、コンビニでの小さな「やれやれ」を完全に忘れ去った後、1件のメールが来た。

「○○の自動更新に失敗しました」と題されたメールだ。愛用しているサブスクリプションサービスの月次決済ができなかったらしい。

どうしたんだろう?と一瞬考えた後、2週間前の光景がフラッシュバックした。「コノォ、カードはぁ、ツカエないみたいです」という片言の日本語。今になって思えば、彼女はミスってなどいなかったのだ。

クレジットカードが止まっている──?

異常事態である。僕は節税オタクでありお金の管理にうるさいので、「うっかり引き落としができなくてカードが止まった」とか「電気代を払っていなくて電気を止められた」みたいなズボラエピソードと無縁の生活をしている。引き落としできていないことなど絶対にありえない。


気持ち悪いのですぐにカード会社に連絡を取った。

ちなみにそのカードとは、楽天カードである。そう、「デートの時に出すとカッコ悪い」「使いすぎると陰で"楽天カードマン"って呼ばれそう」などの風評被害でおなじみの楽天カードだ。

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(画像引用元:楽天銀行


僕は楽天カードマンと呼ばれることを甘んじて受け入れることを決めた人間、いわば楽天カードマン受け入れマンなのでよく使っている。


楽天カードマン受け入れマンが公式サイトから連絡先を探すと、電話番号の掲示はなく、チャットサポートで連絡しろと書かれていた。いかにも今風のネット銀行という感じだ。

皆さんはチャットサポートについてどうお考えだろうか?僕は大賛成である。

なんと言っても、電話に比べて繋がりやすいのがいい。窓口に電話をかけてめちゃくちゃプルルル鳴らした挙げ句「たいへん混み合っておりますので、おかけ直しください」と言われるほど無意味な時間はない。

それに、チャットなら電話と違って、あまりリソースを取られないでやりとりができる。電話でよくある「担当者をたらい回しにされながら無限にメリーさんの羊を聞かされ続けてノイローゼになる」みたいなヤツがないのが最高だ。チャットサポート万歳。非同期コミュニケーション万歳。


そういうことで、「さすが楽天だぜ!チャットサポートに全力でリソースを投入するのはIT企業として完璧な判断だよね!」と思いながらボタンをクリックし、チャット画面を開いた。

すると、このメッセージが出た。


現在、たいへん混み合っております。恐れ入りますが時間をおいてまたアクセスしてください


せっかくの非同期コミュニケーションなのに繋がらないという残念感がすごい。僕は返信まで1時間待たされても別にいい(どうせPCの前にずっといる)からとりあえず繋いで欲しかったところだけれど、そんなに待たされると怒る人も多いと思うので、これはしかたない処置なのだろう。

ということで、10分後にもう一度アクセスしてみたが、同じメッセージが出た。

20分後、もう一度アクセスしてみたが、同じメッセージが出た。

30分後、もう一度アクセスしてみたが、同じメッセージが出た。


──チャットサポートなのに、繋がらない。


「チャットサポートは電話に比べて繋がりやすい」と見積もっていたせいで、全然繋がらないとめちゃくちゃ腹立たしく思える。期待値を下げておくのは重要である。楽天も「※このチャットサポートは思いのほか繋がりません!」と明記しておいて欲しかった。

結局、12回くらい挑戦した後でようやく繋がった。電話サポートでもこんなに繋がらないことはめったにない。「※このチャットサポートは一般的な電話サポートより繋がりません!」と明記しておいて欲しかった。なんなら、「※このチャットサポートの繋がらなさは人生ワーストかもしれません」と明記しておいて欲しかった。楽天関係者の方、読んでいたらご検討ください。


さて、チャットサポートが繋がった。担当者から「この情報を教えて下さい」と個人情報の提出を求められたので、8秒で全部提出した。自慢じゃないが僕はタイピングがかなり速い。「こちらは爆速で対応するから、これ以上待たせるなよ!」という無言のプレッシャーを与える作戦である。我ながら人間が小さい。

それから例のごとく「担当者に代わります」というメリーさんの羊タイムが始まったが、当然ながらメリーさんの羊は流れない。ここはやはりチャットサポートのありがたいところだ。


で、10分ぐらい待った後、こんなメッセージが来た。

お客様のカードが止められていることを確認しました。詳しい状況については担当者から後日、電話で連絡させていただきます


出た。入口だけチャットサポートで結局電話のパターン

「竜頭蛇尾」ならぬ「チャット頭電話尾(ちゃっととうでんわび)」である。


しかたないので電話を待つことにして、やり取りを終えてチャット画面を閉じようとした。「終了」ボタンを押す。

そして、僕は衝撃を受けた。


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何らかの確認フォームが出てきたのだが、全然読めない

まず小さいし、なぜか背景が真っ黒で文字が保護色なのである。何を聞かれてるのか全然分からない。恐らく「閉じてもいいですか?」的なことだと思うのだが、いかんせん自信がない。

というか、怪しすぎる。わざわざ黒い背景で文字を出すってことは、読まれたくないメッセージなんじゃないだろうか。読まれたくない文言はなるべく読みにくくしておくというのは、悪徳商法の基本テクニックである。

「読めないけど、どうせ終了確認だろう」と思って「確認」を押したら最後、90万円の羽毛布団とかが届く可能性がある。クーリングオフ制度が生まれる前に社会問題になったあの悪徳商法が現代でもまだあるのかもしれない。


「絶対読んでやろう」という強い意志で目を凝らして読んでみた。


楽天カードチャットトリミング済み

うん……頑張れば読めそうだな。

さらに念の為、マウスを操作し、ドラッグして文字列を選択してから読んでみた。


選択トリミング済み

おっ!読めた読めた。間違いない。

この「読めた喜び」を感じた瞬間、僕の脳内で20年以上前のとある経験がフラッシュバックした。


僕より歳下の人は絶対に知らないだろうが、古(いにしえ)のインターネットには、「HTMLだけで遊べるゲームサイト」というものが存在していた。

隠しボタンや隠しテキストを捜索し、隠されたリンクを発見してクリックできればクリア、というものである。「なんでそんなことするの?」と聞かないで欲しい。当時はjavascriptすら普及しておらず、「HTMLだけでゲームっぽいものが作れる」ということが重要だったのだ。当然ながらHTMLだけだとやれることが限られているので、「めちゃくちゃ小さい文字を出す」とか「背景色と同じ色の文字を出す」とかそういう隠し方が多用される。

したがって、文字を発見するためには「とりあえずドラッグして選択してみる」という手法が重要だったのだ。当時小学校低学年だった僕もこの手法をマスターし、選択することによって一見何もない空間に文字が見えて、「おっ!読めた読めた!」と嬉しくなったものである。


……という、20世紀末のインターネットを思い出した。令和3年の大手IT企業のサイトで。

楽天はもしかしたら古(いにしえ)のインターネット的喜びをユーザーに与えようとしているのかもしれない。古インターネット原理主義者なのかもしれない。だとしたら大いにチャレンジングな企業だと思うけれど、インターネット老人会にしか刺さらないのでやめた方がいいと思う。楽天関係者の方、読んでいたらご検討ください。


悲観カードか、コナンカードか。

後日、担当者から電話がかかってきた。

「堀元様のカードですが、3月○日に不正利用の疑いがあったので止まっています


衝撃の事実である。あのコンビニの日より更に前に不正利用の疑いがあって、それ以来カードはずっと止められていたらしい。

僕は面食らった。いや、ちょっと待って欲しい。普通こういう時って「不正利用かどうか」の確認があるもんじゃない?確認なしでいきなり止めちゃうの??

警告なしでいきなり止めちゃうの、メンタル弱すぎない?「もうダメだ!これは不正利用に違いない!!」ってことでしょ?めちゃくちゃ悲観的だ。楽天カードなのに、ちっとも楽天的じゃない。

楽天カード、実は「悲観カード」なのかもしれない。

Tips:楽天カードは悲観カードかもしれない


まあ百歩譲って、悲観的にカードを止めたのはいいとしよう。不正利用だったら困るからね。念のために止めちゃうのはしょうがない気もする。

でも、なんで「止めました!」っていう連絡くれないの???なんで僕が自力で気づくの待ちなの???


「まあ、あいつは言わなくても分かるだろう」ってこと??

あっ、そこが楽天的ってこと???「カードを止める時は悲観的、連絡するのは楽天的」ってこと???「頭脳は大人、見た目は子ども」みたいなこと???コナンカード????

Tips:楽天カードはコナンカードかもしれない


乏しい手がかり。記憶を探って

コナンカード的なシステムにうろたえている僕に対して、担当者は続けた

「3月○日に110円の少額決済が1件あります。海外サイトですね。これはご自身で使いましたか?


逆に聞きたい。2週間以上前の110円の買い物について憶えているだろうか?僕は憶えていない。お金の管理は割としっかりしている方だと思うが、そんな細かい買い物についてはサスガに憶えていない。

「ちょっと憶えてないですね」

「そうですか。ではきっと不正利用ですね


いや待て待て待て悲観的すぎるって。「楽天」の名を関する関係者が取っていい立場じゃないって。「悲観(株)」とかの社員が出向してんの?もう少し粘ろうよ。決済の詳細教えてくれれば思い出せるからさ。

あまりにも悲観的な彼を励ますかのごとく、僕は続けた。


「その決済が行われたサイトの名前を教えてもらえますか?」


めちゃくちゃ妥当な質問だと思う。

2週間以上前の110円の決済を憶えているのはムリだが、僕は記憶力が悪い方ではないし、PCの前にいるので明細なども調べられる。どこのサイトか教えてもらえれば正確に判断できるはずだ。

Amazonなのか、Googleなのか、Netflixなのか、それとももっと怪しいサイトなのか、教えてもらおうと思った。


返ってきた答えが、こちら。



アメリカのサイトです」



だろうね!!!!!!!

そりゃそうだろうね!!!!!僕がお金を払う海外サイトってまず間違いなくアメリカのサイトだからね!!!!!AmazonもGoogleもNetflixもアメリカのサイトだもんね!!!さすが経済大国アメリカ!!!!世界のGDPの半分を占めてるだけあるぜ!!!!C'mon baby アメリカ!!ドリームの見方をinspired!!!


あまりの衝撃にU.S.A.を踊りだしそうになりつつ、グッと堪えて電話を続けた。「だけども僕らは地球人。おんなじ船の旅人さ」とDA PUMPも言っている。おんなじ船の旅人なんだから、きっと話せば分かる。


「アメリカのサイト、ということだけだとちょっと分からないですね…。どこのサイトか、分からないですか?」



「そうですねぇ……。分からないですね


分からないらしい。えっ、クレジットカード会社って決済されたら「こいつが決済したよ」っていう情報見れるもんじゃないの???そうじゃないと困るよね。匿名でこっそり決済するとかそういう機能ないよね???そんなことできたら皆やりたい放題だもんね。飲食店開業して、カード使った客全員に匿名で100万決済するスキームとかやりたい放題だもんね。


「分からないんですか…?」


「分からないですね」


現実が受け入れられなさすぎて同じ問答を2回繰り返してしまった。クレジットカード会社なのに決済元の企業がどこなのか分からない、そんなことがあるのか。僕の脳内の残留DA PUMPが「数十年でリレーションシップ だいぶ変化したようだ」と叫んだ。決済企業とカード会社のリレーションシップ、どうなってるんだ。


こうなってしまった以上、手詰まりである。明細を調べようにもアメリカのサイトであるということしか分からないので、どこを調べればいいのか分からない。


「じゃあちょっと思い出せないですね」


「そうですか。ではきっと不正利用ですね


と、最初のやり取りに戻った。今度は僕も抗えず、「はい…」と答えるしかない。担当者の悲観的な発想に飲み込まれた形だ。ダークサイドに堕ちるってこんな感じかもしれない、と思った。


「ではこの後、カードを正式に無効にします。もう一度新しいものを発行していただく形になるので、お手数ですが処理が済んだ4日後くらいに改めてお申し込みをお願いします」


「はい…」


ダークサイドに堕ちた僕はもう力なく返事をするだけだった。めちゃくちゃめんどくさい。まあでも、本当に不正利用されてるんだとしたら大変だし、これはしょうがないことなのかもしれない。最悪のケースを想定して動くのが大人だ。大人にとって、楽天的に考えることは美徳ではないのだ。たとえ楽天カードのスタッフだったとしても。



電話を切る。カードの再発行もめんどくさいし、カード番号が変わったことによる各種支払いを変更する手続きもめんどくさい。陰鬱な気分で、通話終了のボタンを押した。

その瞬間、ふと思い立った。「そういえば、日記を読み返せばヒントがあるかもしれない」と。

僕は結構マメに日記をつけているので、日記を読めば、その日何をしていたか分かる。とはいえ110円の決済についてわざわざ記録しているとは思えないので望み薄だが…と日記を一応読み返すと、思いっきり書いてあった。該当部分を抜き出す。


Facebookから「広告を出しませんか?クーポンが発行されます」という通知が来ていた。期間内に広告を出すと、2000円ぶんの広告クーポンがもらえるらしい。

どうやら広告は100円から出せるようなので、110円払えば2110円ぶんの広告を出せるようだ。お得っぽい。面白半分でゆる言語学ラジオの広告を出してみた。どのくらい広告効果あるかなぁ。


あぁ~、そういえばFacebook広告出したなぁ。完全にこれだ。記憶が鮮やかに蘇る。

同時に、「もっと早く連絡をくれればすぐ思い出せたのに」と思った。

カードを止めた当日とは言わないまでも、せめて数日のうちに連絡をくれていれば、「あっ、Facebook広告だ」と分かったのは間違いない。

何しろ、広告を出してから2~3日は「広告アナリティクス」みたいな画面にテンション上がってよく見ていたのだから。

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(広告を出すとこういう画面が見られる。「へえ~!こんな使いやすいアナリティクスがあるんだ!」と数日間テンションが上がっていた)


しかし、2週間以上も経つと忘却の彼方である。せめて「Facebook」と言ってくれれば思い出せただろうけれど、「アメリカのサイト」という粗い情報からはムリだった。


さて、電話を切って1分でこの真相にたどり着いた僕は、すぐ電話をかけ直した。「不正利用じゃありませんでした!!!カード無効にしないで!お願い!!」と伝えるためである。恐らく、カードを無効にするためには幾ばくかの操作が必要だろう。今すぐ伝えれば中断してもらえるかもしれない。ひいては、再発行という面倒なイベントを回避できるかもしれない。

そして、勝算もあった。この電話番号は世間に公開されていない番号だ。WEBサイトにはチャットサポートの情報しか掲示されていない。つまり窓口になってない番号であり、かけ直せば繋がりやすいはずだ。担当部署に直通なのも間違いないだろうし、今すぐかけ直せばすぐ繋がって、すぐ対応してもらえるだろう。

チャットサポートは全然繋がらなかったが、チャットサポートに負荷を集中させていたのはきっとこういう時のためなのだ!腑に落ちた気がした。こういう緊急時の電話に対応するために、チャットサポートは12回連続繋がらないほどの負荷を負っているのだ。「肉を斬らせて骨を断つ」ならぬ、「チャットを斬らせて電話を繋ぐ」なのだ。素晴らしい戦略だ。サスガ楽天である。

僕はこの戦略に感心しつつ、素早くスマートフォンを操作してリダイレクトを行う。乾いた呼び出し音が響く。


プルルル……


プルルル……


プルルル……


「ただいま、たいへん混み合っております。恐れ入りますが、時間をおいて……」


ちくしょう!!!!!

全然「チャットを斬らせて電話を繋ぐ」じゃなかった。両方ともぶった切られていた。「快刀乱麻を断つ」ならぬ、「楽天連絡を断つ」である。どこに行っても繋がらない。


4回かけ直してやっと繋がった時には、既に10分が経過していた。もう手遅れっぽい雰囲気である。

しかし、せっかく繋がったからにはやることはやっておこう。先ほどの担当者とは異なる人が電話に出たので、事情を説明する。


「こういう事情でカードを無効にするということになったんですが、電話を切った後に確認したらその110円の決済は僕が使ったものだったので、無効にする必要はありません」


「かしこまりました。状況を確認しますのでお名前と電話番号を伺ってもよろしいですか?」

いかにも顧客対応部門といった感じの女性だ。とても丁寧で整然とした言葉だが、その声は妙に無機質に響いた。


僕が名前と電話番号を告げると、

「お調べしますので少々お待ち下さい」

と言われた。キーボードを高速で叩く音がする。多分彼女は仕事ができるんだろうな、と思った。


待ち時間はほんの一瞬で、彼女はすぐに状況を把握したようだった。


「堀元様、お待たせしました。確認が取れました」


感情を読み取らせない彼女の声からは、どちらなのかさっぱり分からなかった。「もう無効にしちゃったので再発行は不可避」なのか、「無効にする前なのでセーフ!」なのか、どっちなのだろう。


その答えを求めていた僕に、降ってきた言葉は、意外なものだった。



「では、こちらのFacebookの110円の決済はご本人の利用ということですね?」



…………?????

……あなたはなぜそれを知っているんですか?僕は110円の決済としか言っていませんが……。

この感じ、何かに似ていると思ったらアレだ。「犯人しか知り得ない情報をあえて隠したまま推理を披露し、焦った犯人に喋らせる」ヤツだ。「そんな方法で凶器の灰皿を隠せるワケがない!!」「あなたはなぜ凶器が灰皿だと知っているんですか?僕は鈍器としか言っていませんが…」だ。探偵もので見たことある。さっきは相手がコナンだったが、今度は僕にコナンの役回りが巡ってきた


「あ、それ分かるもんなんですか?さっき電話くださった方は"アメリカのサイト"ということしか分からない、と言ってたんですが…」


「……?……分かりますよ……?決済業者はこちらで確認できますので……」


だよね~~~~!!!!そりゃそうだよね!!!!!僕もそう思ってたもん!!!!!さっきのヤツがあまりに自信満々に「分かりません」っていうから、分からないのかと思っちゃった!!そんなワケないもんね!!

っていうか、なんだよアメリカのサイトって。改めて考えると、バカの文字列じゃん。バカしか言わないよ、「アメリカのサイト」。小学生っぽい。こんなバカそうな単語久しぶりに見た。「鼻毛真拳」以来10年ぶりだわ。


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(画像出典:『ボボボーボ・ボーボボ』


脳内を暴れる鼻毛を抑えつつ、「あ、そのFacebookのヤツです。僕が自分で決済してました」と答えると、またしばらくやり取りがあり、結局「カードを無効にする処理が既に入ってしまってるので再発行するしかない」ということになった。残念。間に合わなかったようだ。


「アメリカのサイト」事件の究明

しかたなく電話を切った。間に合わなかった悲しさ以上に、「アメリカのサイト」事件は何だったんだという疑問が頭に残った。

まさかとは思うが、「Facebook」という文字列を見て「あっ、なんかアルファベットが並んでる!アメリカのサイトだ!」って思ったのだろうか。そいつバカすぎん????


「それはサスガにバカすぎるだろう…もうちょっと何か理由があるに違いないと…」となんとか仮説を立てようとした時、以前読んだ一冊の本が脳裏をよぎった。

『英語と日本軍 知られざる外国語教育史』である。

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