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君たちはなぜイキるか-2回目に会った時に突如イキり出した地獄男についての考察

「人はなぜ生きるのか」は、文句なしに人類が抱える最も大きな哲学的命題と言っていい。

我々は無意味に耐えられない生き物である。「どうせ死んだら何も残らない」と考えてしまうと、生きる希望を失ってしまう。

それで、古来から数多の哲学者が「生きる意味は何か」という思索を繰り返してきた。哲学の歴史に大いに根を張っている問題だ。


例えば、ソクラテスの思想をまとめた「善く生きる」というフレーズは非常に有名である。彼は、アレテー(徳)によって「魂を善くすること」こそが人間の生きる目的であるとした。

この思想こそが彼の根幹であり、ソクラテスの思想をまとめた著書に繰り返し出てくる。

『ソクラテスの弁明』では、「金や名誉に執着して魂を磨かないの、ヤバくね?」とソクラテスがアテナイの人々を説得してまわったことが説明されている。


世にも優れた人よ。(中略)恥ずかしくないのですか。金銭ができるだけ多くなるようにと配慮し、評判や名誉に配慮しながら、思慮や真理や、魂というものができるだけ善くなるようにと配慮せず、考慮もしないとは

プラトン.ソクラテスの弁明(光文社古典新訳文庫)(Kindleの位置No.548-552).光文社.Kindle版.


このソクラテスの指摘は実に身につまされるものがある。何しろ僕は人の悪口を書いて生計を立てているので、「魂というものができるだけ善くなるようにと配慮」しているとはとても言えないからだ。

こういうソクラテスの指摘を読んでしまうと、「やめて!!そこ痛いところだから!!」という気持ちになる。「恥ずかしくないのですか。」とか言われたら「うん……そう言われると恥ずかしいかな……」という気持ちになる。僕も来世はもっと魂を善くするような職業に就きたい


ソクラテスの2500年未来に生き、本を読んでいるだけの僕ですらそんな気持ちになるのだから、同時代に直接指摘された人のダメージは計り知れない。

そういうワケで、ソクラテスはこういう指摘を色々なところで行った結果、多くの人を敵に回してしまう。

そして彼は異端の思想によって若者を堕落させたという罪に問われ、裁判にかけられてしまう。『ソクラテスの弁明』は、その裁判における彼の弁明を描いた著作だ。

ちなみに、当時の裁判には弁護士や検事は存在しない。被告は自力で弁明スピーチをするしかない。そして、民衆を納得させれば無罪、ダメなら死刑みたいなことになる。裁判を受ける人は誰でも、己のスピーチ力に命をかけなければならない。「喋れなければ生き残れない」なのだ。古代ギリシャは仮面ライダー龍騎みたいな世界観。


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そんな仮面ライダー龍騎裁判を生き残るべくソクラテスは堂々たる弁明スピーチをするのだが、努力も虚しく、結局判決は有罪。彼は死刑になってしまう。


ところで、先述の通り、ソクラテスの罪は「異端の教えを信じ、若者を堕落させたこと」である。

ソクラテスの告訴状の内容はこうだ。


ソクラテスは、ポリスの信ずる神々を信ぜず、別の新奇な神霊のようなものを導入することのゆえに、不正を犯している。また、若者を堕落させることのゆえに、不正を犯している

プラトン.ソクラテスの弁明(光文社古典新訳文庫)(Kindleの位置No.50-52).光文社.Kindle版.


確かに、プラトンをはじめとしてソクラテスには若者の弟子がたくさんいた。「私は彼らを堕落させてなどいない!」とソクラテスも立派に弁明したのだが、その弁明は民衆に受け入れられなかった。

実際、ソクラテスは若者を堕落させてなどおらず、むしろプラトン・アリストテレスへと続く偉大な知性の萌芽を支えたのだが、そのことは民衆に伝わらなかったらしい。非常に残念だ。


アテナイの民衆にはぜひ憶えておいて欲しい。「変な教えを広めて若者を堕落させる」とは、ソクラテスの教えではなく、こういうのを言うのだ。



このマガジンの読者からは「キングコング西野さんのサロン生を見ると笑ってしまうようになった」「しょうもない起業家志望を見るといつウーバーイーツを始めるか楽しみにするようになった」などの声が寄せられている。変な教えを広めてしまって申し訳ない。普通に営業妨害だ。

あと、購読を始めた人の多くは「なぜか悪口の語彙を増やすために課金してしまった…」と最初から後悔ムードである。本当に申し訳ない気持ちになる。大学生も結構たくさん購読してくれており、僕は若者を堕落させているような気がする

ソクラテスは「私は彼らを堕落させてなどいない!」と自信を持って断言していたが、僕は断言できない。ここが古代ギリシャじゃなくてよかった。断言していたソクラテスでさえ死刑になったのだから、僕もたぶん死刑になっただろう。


人はなぜイキるのか

ソクラテスは「人はなぜ生きるのか」の答えを「魂を善くするため」とした。他の多くの哲学者や宗教もまた、それぞれに「人はなぜ生きるのか」という問いに向き合っている。

しかし、「人はなぜイキるのか」という問いについては、人類はあまり向き合っていないように思われる。



……


いや、「思われる」っていうか、そりゃそうだろ。あえて問題提起するほどの話ではない。「人はなぜ生きるのか」に比べて「人はなぜイキるのか」という問題は実に些末で、どうでもいいことだからだ。

ところが、僕にとっては結構重要な問題である。僕はイキる人がとにかく嫌いなので、イキる人を見かける度にバカにしたい気持ちに駆られる。その気持ちをどうにか創作に昇華しようと試行錯誤した結果生まれたのがこの有料マガジンなのだ。イキる人がいるからこのマガジンを書いている。

そう、僕の魂が善くならないのは、イキる人がいるせいなのだ。

いわば、ソクラテスの指摘する「人はなぜ生きるのか」を僕が実践できなくなっている理由が、「人はなぜイキるのか」の中にあるのだ。そうだとすれば、僕にとって「人はなぜイキるのか」は非常に大事な問題だ。それを理解して、イキる人に腹が立たなくなれば、魂を善くできるかもしれないのだから。

例えば、「人はなぜイキるのか」の答えが「先天的な病気だから」だとしたら、僕はもうあまり腹が立たなくなるだろう。先天的な病気なのだとしたらそれは本人のせいではない。イキる人への苛立ちはなくなり、こんなnoteは書かなくてよくなる。魂が善くなる

今生では諦めかけていたが、もしかしたらソクラテスの教えを実践できるかもしれない。


しかし残念ながら、人がイキる理由についてはあまりGoogleが当てにならないようであった。

コメント 2020-07-22 175057


トップに出てくるブログは完膚なきまでのゴミ記事である。


「考察」とは名ばかりで、よく分からない偏見がぶちまけられているだけの記事だ。

ピチピチのシャツを着てる人には要注意!接触しただけでキレられます!」とか書いてあった。そのめちゃくちゃな情報何???そういうこと書いてるからキレられるんじゃないの???

こういうゴミ記事を書くヤツ、ぜひピチピチのシャツを着た武井壮に倒されて欲しい。

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(画像引用元:PR TIMES



ともあれそういうワケで、Googleではいくら検索しても武井壮に怒られる情報しか出てこなかった。Googleのアルゴリズムは日々進化しているとはいえ、まだまだ万能ではないのだ。こういうゴミブログはアルゴリズムの進化によって駆逐されるのが先か、武井壮に倒されるのが先か、神のみぞ知るといったところだろう。

結局答えは得られず、これは僕の魂が善くなる日は遠いな……と思っていたのだが、そんな折、読んでいた本に突然その答えが出てきた。古今東西、問題の答えというのはひょんなことから出会えるものである。



ということで、今日は無事に出会うことができた「人がイキる理由」について説明する。

もちろんそれだけではない。そのイキる理由に最も典型的に当てはまっていた僕のしょうもない知り合いについて実名で書こうと思う。

僕は、その男と2度、会ったことがある。1度目に会った時は実に腰の低い男だった。頭はめちゃくちゃ悪かったが、腰が低かったので印象はそんなに悪くなかった。

だが2度目に会った時は急にイキリ始めて、大変不愉快な気持ちになった。第一印象が怖そうな人が実は優しかったらすごくいい人に見える、みたいな現象があるが、彼の場合はその逆だった。第一印象が腰の低い男だったのに突然イキり始めたので、最悪の印象になった。劇場版ジャイアンの逆


これを読んでも魂は善くなりません

ちなみに一つ前置きしておこう。当初の目論見は「理由を知れば、イキる人に腹が立たなくなるかもしれない」ということだったが、全然そうならなかった

むしろ、理由を知れば知るほど「なるほど~、イキるヤツってそういう理由でイキってたのか……余計腹が立つな…」ってなった。

ということで、僕は今後もこのマガジンを書き続けるし、魂が善くなる日は来ないようだ。やっぱり来世にかけるしかない。来世のおいらに期待大。そういうRADWIMPSばりの気持ちで生きていくしかない。


そういうことで、ここから先は人がイキる理由を説明し、実名を挙げながらバカにしていく。当然有料になるが、読んでも特に魂は善くならない。どちらかというと悪くなる

しかしその代わりに、次にイキっている人を見た時に豊富な語彙と理論でバカにできるようになる。イキっている人が嫌いでたまらないあなたはぜひ、課金して読んで欲しい。

単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がオススメだ。いつ始めても今月書かれた記事は全部読める。7月は4本更新なので、1200円分の記事が読めて大変オトクである。ぜひ定期購読を検討して欲しい。


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