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「大人のバックレ」考-仕事を頼んだ人がバックレてしまった事例を詳細に。


「あいつ、シフト入ってるのに来てないぞ!?」

「こりゃバックレだな。昨日店長にめっちゃ怒られてたし」


今日も日本中のファミレスでこんな会話が繰り広げられている。

大学生というのはとにかく無責任なもので、割と簡単にバイト先をバックレる傾向にある。同僚がバックレたせいで同じシフトに入っていた自分の仕事量が倍増したという経験をお持ちの方も少なくないだろう。

僕は長いこと塾講師のアルバイトをしていたのだが、塾講師業においてもバックレは発生する。4年ほどの勤務の中で同僚がバックレた!ということも何度かあった。

最初の頃はバックレが発生して社員が大慌ての時も「さあて、自分の授業してこよう!忙しい忙しい!」と対岸の火事として無視することができたのだが、4年目ともなってくるとそうはいかなくなった。僕はバイトリーダー的なポジションになってしまい管理業務にも携わっていたので、もはや対岸の火事ではすまなくなってしまったのだ。僕自身が大慌てで火消しに奔走することになった。


火消しのための最終手段が「分裂」と呼ばれる技術だった。「Aの教室で小5に算数を教えながら、Bの教室で中3に理科を教える」といった離れ業である。

当然ながら我々はアメーバではないしシュレディンガーの猫でもないので、同時に2教室に存在することはできない。基本的な方針として「一方で問題を解かせている間に、もう一方で授業をする」ということになる。

分裂授業の図解_アートボード 1


こうすることによって、僕は2つの教室を移動しながら同時に2つの授業ができる。

分裂授業の図解2_アートボード 1


こうやって説明すると簡単そうに聞こえるが、実際には困難を極める。想定の授業時間を僅かでもオーバーすると問題を解かせている制限時間と噛み合わなくなるので、秒単位の時間制御が必要だ。

だが、自分の話す時間だけならともかく、生徒の挙動は制御できない。質問が出ると対処しなければいけないので想定時刻が狂う。

したがって、常に正確に時刻を把握しながら、しかも状況に応じてリアルタイムにスケジュールを変化させていく必要がある。とんでもないアドリブ力を必要とされるのだ。「一瞬だけ向こうの教室に行きたい」という時には「ではなぜこの物質は身の周りで使われていないのか、隣の人と1分話し合って考えてみよう!」などの小技を活用した。

大局的な戦略を常に頭に入れながら、時々刻々変わる状況に対応して修正していく……「分裂」はマルチタスク能力と大局観とアドリブ力を問われるゲームであり、最も熱い知的ゲームといえるかもしれない。RTS(リアルタイムストラテジー)というゲームジャンルがあるが、それに近い。

僕は分裂RTSを必死でプレイしながら、「大学生をマネジメントする職場には決して就職しないでおこう」と強く誓った。毎日がRTSの暮らしを送りたくはないからだ。バックレの煽りを食らうのは懲り懲りだ。


「大人もバックレるんだ」

分裂RTSをやっていた時期から5年ほど経過した。僕は当時の誓いを守って大学生を管理する必要があるような企業には就職しなかったし、何ならあらゆる企業に就職しなかった。インターネットで細々とコンテンツを作る自営業者として身を立てるようになった。

最初は人間関係を広げるために色々な場所に顔を出したので、たくさんの業界関係者と知り合いになった。「WEBライター」「WEBメディア編集者」「WEBディレクター」「WEBデザイナー」……2016年は肩書きに”WEB”とつけておけばいいみたいな空気があった。当時かき集めた名刺にはあの頃の空気がそのまま印字されている。

そういう関係者の飲み会に出てアレコレ聞いている内に、分かったことがある。大人も結構バックレるということだ。「ライターの○○くんにこの仕事お願いしてたのにバックレちゃったよ」などという話を聞くのは日常茶飯事だった。

大学を卒業したばかりの僕は、衝撃を隠しきれなかった。「バックレるのは大学生の専売特許」だと認識していたからだ。幼い頃から身の周りにいた大人はちゃんと毎日出勤していたし、責任感を持って仕事に臨んでいるように見えた。ましてやバックレるなんて想像もできない。

今この記事を読んでいるあなたも、もしかしたら想像しにくいかもしれない。あなたの職場がきちんとした企業ならば、同僚の皆さんもきちんとした人だろう。いつでも常識をわきまえた行動ができる優秀な人たちだから、あなたの同僚は決してバックレないだろう。だけど、あなたの同僚は社会の上澄みにすぎない。少し潜ってみれば、深いところには社会の汚泥が沈んでいる。

「WEBライター」みたいな肩書きをぶら下げている人の多くは社会の汚泥なので、にわかに信じがたいアバンギャルドな行動を取ることが頻繁にある。その典型的な例がバックレである。


僕もたくさんのバックレ事例を目にしてきたし、僕が仕事を発注していた人がバックレたことも度々ある。というか、先月も一人バックレたばかりだ。

だけど僕は全く動じないし、何なら「こいつ、近々バックレそうだな~」と思いながら仕事を発注していた

そしたら案の定バックレたので、「お、やっぱりな!」という快感すらあった。想像の力はすごい。人間は想像していなかったできごとに対しては落ち込むものだが、「こいつはバックレそうだ」と思っていれば問題なく対処できる。ハンター試験は正しい

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『HUNTER×HUNTER』1巻 Kindle位置82 より引用)


僕はハンターの皆さんほど極限状態で生活していないので「あらゆる残酷な空想に耐え」るところまではやっていないが、仕事をお願いする人のバックレそうな要素を発見したら「バックレそうだな~」と想像しておくことは欠かさない。現実は突然無慈悲になるものだからな


バックレ考-バックレ事例と特徴の分析

ということで、今日のテーマは「バックレ考」である。

先月僕の元からバックレてしまった人の実名や行動パターンも出しながら、事例として皆さんに提供したい。この事例から「バックレるヤツにはどういう特徴があるのか」がよく分かると思う。皆さんもこのケーススタディを通してバックレを予想できるようになるはずだ。

以下、実名が出るので有料になる。単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がオススメだ。いつ購読を始めても今月書かれた記事は全部読める。1月は4本更新なので、単品購入の2.4倍オトク。

「バックレを予想できるようになりたい」という方は、ぜひ課金して読んで欲しい。突然無慈悲になる現実に翻弄されないようにしよう。


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