見出し画像

楽に生きるために利用できる「絶好のカモ」制度について【むしれるだけむしる…!】

「中国語の悪口おもしろいんですよ。親子ゲンカの途中、母親が子どもに”あんたを産むくらいならチャーシューでも産めばよかった”って言うらしいです」

脈絡なく、彼は言った。突然出てきた異国の悪口情報に、思わず笑ってしまった。


4日前、僕は大阪のフォロワーの家に泊めてもらった。特別広くも狭くもない1DKの部屋。旅行中に泊めてくれる人をTwitterで募集すると彼は「ウチに泊まってください」とすぐに連絡をくれたのだった。


知らない人と大量に会うと、知らない雑多な情報が大量に飛び込んでくるのが面白い。冒頭に挙げた「あんたを産むくらいならチャーシューでも産めばよかった」という語彙もその1つだ。

教えてくれた彼は中国人の女性と付き合っているらしい。こういう変な語彙を恋人を通していくつか身につけていて、僕に教えてくれた。普通に生活していても絶対に出会うことのない語彙であり、彼に泊めてもらってよかったなと思った。

そして、彼は「いずれは今の恋人と結婚したい」と言っていた。僕は「ということは、いずれはあなたの家庭でも”チャーシューでも産めばよかった”的な語彙が飛び交うんですね!?」と思った。(口に出そうかと思ったけど、彼が思いのほかマジメな顔をしていたのでやめた)


ランダムな出会いと、ランダムな人生相談

彼とは「中国語の悪口がすごい」みたいな無意味なおもしろ話ばかりしていたのだが、他のフォロワーとはそうでもなかった。割と人生相談みたいなものに乗ったりもした。

すごく印象的だったのが、「楽に生きたい」という相談をたくさん受けたことだ。


典型的だった男性の話をしよう。名古屋で泊めてくれた人は、「新卒3ヶ月で鬱になって会社を退職し、今は飲食のバイトをしながら暮らしている」だった。彼はしきりに「もう会社というものが嫌になった。何か新しい生活をするためのヒントが欲しい」と言っていた。

会社に所属せずに生きることの実感を得たかったのだろう、様々な質問をぶつけられた。「noteを書いて生活してるんですか?」「収入はどれくらいなんですか?」「noteの手数料ってどのくらい取られるんですか?」などなど。僕はお金の話をするのに全く抵抗がないので、何でも正直にサクサク答えた。


しばらく質問を続けた彼は、最後に「そういうことって、誰にでもできるものなんですかね?」と言った。僕は「ムリでしょうね」と即答した。彼は少しガッカリした顔をしていた。

「僕の生活のマネは不可能ですし、仮に一部をマネできたとしてもオススメしませんよ。それで不幸になった人をたくさん知っています。僕は今幸せなんですが、僕と同じ生活をして幸せな人はとても少ないようです」と答えた。本心だった。


憧れはするが、実践すると不幸になる

「人の悪口を有料マガジンで売って生活する方法」は、分からない。僕は今なぜか実現できてしまったけど、それを再現可能なノウハウに落とし込むことはできない。多分かなり運の要素も強いだろう。もう一度大学生に戻り、noteで食える状態を作り直せと言われたら、やれる自信がない。

それでも、僕は大学を卒業してから数年間、一度も就職せずにアレコレ試行錯誤してきて、「ここは誰でも再現できそうだ」という箇所をいくつか見つけた。

そして「これはノウハウとして素晴らしいぞ!」と考え、結構たくさんの人に教えて回った。僕はよかれと思って布教したのだけれど、あまり良い結果は生み出さなかった。僕のノウハウは万人受けしないどころか、むしろ多くの人にとっては「憧れはするが、実際にやってみると不幸になる」ものだったのだ。


家賃をゼロにし、月10万で生活するメソッド

「好きなことだけで十分な収入を得る方法」は分からない。それは個々人が大量の試行錯誤の末にたどり着いた個別最適であり、一般論にはできないと思う。

一般論にできそうなのはむしろ、もっとセコい話だ。「月10万円で生活するメソッド」である。これならある程度普遍的な話ができて、十分に高い再現性を持たせられる。

僕は大学四年生の時、「家賃をゼロにしたい」と考えた。目についたシェアハウス中小企業の経営者に「慶應義塾大学理工学部四年生の堀元と申します。御社のビジョンに共感致しまして、ぜひ○○様にお話を伺いたいと考えました…」とたくさんメッセージを送った。僕は会社のビジョンには何も興味がなく単に家賃をゼロにしたかっただけだが、大学生という肩書きは便利である。それらしい口実をつけておけば、小さな会社の経営者は大体会ってくれるものだ。

そんなことをしている内に知り合ったシェアハウスの経営者と意気投合し、「家賃ゼロでどこか住めないですか?」とメチャクチャ図々しい要求をした。彼は「物置ならいいよ」と言って僕に物置を与えてくれた。

物置に住み始めた僕は、シェアハウスの他の住民から「ドビー」と呼ばれることになった。しもべ妖精が現代日本に誕生した瞬間である。


与えられた物置は「一畳半・冷暖房なし」というかなり迫力のある環境だったが、住めば都とはよく言ったものである。一週間ですっかり慣れてしまい、とても快適に過ごすことができた。

そのあたりについては昔ブログも書いたことがある。興味のある方は参照されたい。縦幅が170cmしかない部屋で快適に寝るための、幾何学を活かしたライフハックも書いてある。物置に住む予定がある方には特にオススメ。


家賃がゼロにさえなれば、一ヶ月10万円以内で生活するのは超イージーなゲームである。現代はあらゆるものが安い。「限界費用ゼロ社会」なんて言葉が持て囃されてからもう数年経つが、本当にあらゆる商品やサービスがタダみたいな値段で手に入るようになっている。Netflixに月額1000円払えば、一ヶ月の娯楽がそれだけでまかなえてしまう。

「人と会いまくってたくさん遊びたいぞ!」みたいな人は交際費にたくさんのお金が必要かもしれないが、僕は「人と会うのはそれほど好きではなく、本を読んで暮らしたい」と思っていたので、お金はあまり要らない。月に10万円もあれば十分すぎた。

この時期、僕は特に過度な節約をすることもなく、好きなタイミングで本を買ったり外食したりしながら幸せに生活していたが、月の出費が10万円を越えたことはほとんどなかった。


その割に、月に10万円を稼ぐのは結構たやすい。「好きなことを仕事にする」も、月に10万円ならなんとか実現できそうだし、足りない分はバイトでもすればいい。

僕は実際にこの時期、イベント業や面白系記事の執筆といった「好きな仕事」をチョコチョコやりながら、月10万円くらいの収入を得ていた。バイトはしなくてもよかった。この上なく地味な形の「好きなことで、生きていく」だ


家賃をゼロにするのは割と誰でも再現可能

このメソッドの素晴らしいところは、再現可能性の高さにある。僕は「有料noteで食えるようにする」はもう一度やる自信はないが、「家賃をゼロにする」は何回でもやれる自信がある

家は結構余っている。地方はもちろん、都心にも「人が一人生活できそうな空間の余剰」はいくらでも存在する。(僕が物置を借りていた家は渋谷まで3駅の駅チカ物件だった)

そしてどうせ余っているスペースなので、「こいつ面白いな」とか「こいつは近くに置いておけば役に立ちそうだ」と思われることさえできれば、あっさりタダで貸してもらえる。必要なのは少しのコミュニケーション能力だけだ。


ということで、僕はこれをノウハウとして捉え、割と多くの大学生や若手社会人に紹介していた。月10万円で生活するメソッドをやりながら、好きなことを気ままにやる毎日を送ればいい、と。

このノウハウは割と多くの人にウケたのだが、実践して幸せになれる人は少なかった。いわばこれは邪教の伝道だった。ソクラテスはかつて「異端の教えを広め、青年たちを堕落させた罪」に問われて処刑されたが、僕もその罪を負ってしまった。


ほとんどの人は”異常”に耐えられない

「月10万円で生活するメソッド」は、論理的には正しい。楽に生きるためにかなり有力な選択肢になりうると思う。

しかし、このメソッドに多くの人は耐えられないようだ。大体の場合「周囲から白い目で見られるのが嫌だ」とか「彼女より稼いでないなんてみっともない」とか僕にはよく分からない非合理的な理由で離脱していく。彼らは正常な人間でいたいらしく、”異常”に耐えられないのだ。


最初はそういう人を見る度に「非合理的でバカだな~」とか「だったら最初から普通にサラリーマンやってろよ」とか思っていたのだが、しばらく彼らを観察している内に1つの結論に思い至った。

僕のノウハウは人間の性質を考慮していないことに問題があるのだ。

人間が完全に合理的な生き物であれば僕のノウハウは正しかった。だが、そうではない。人間は「見栄を張りたい」とか「社会に受け入れられる実感が欲しい」とか、あまり合理的でない欲求を抱えている。僕のノウハウはそこをケアできていなかった。

「0円で物置に住みながら最小コストで暮らす」は、多くの人の性質にマッチしていない。論理的には再現可能であっても、人間的には再現不可能なのだ。

したがって、「物置で生活しながら月10万円で生活するノウハウ」を積極的に喋るのをやめた。これは布教してもあまり幸せな人を増やさない。本とインスタントコーヒーさえあればそれで幸福という人は人口の1%未満らしい


ノウハウをアップデートした結果

物置ノウハウを積極的に布教しなくなってから2年ほどが経つ。

それからも、やはり相変わらず「テキトウに楽に生きるためのノウハウ」を聞かれることが多かった。今回の旅行に限らず、何度も聞かれてきた。

だから、その都度「なるべく再現性が高くなるように」と新しいノウハウを考えることになった。論理的に正しいだけではなく、人間的にも正しいノウハウを生み出せないかと考えてきた。


で、一応最近は結論が出ているので、そのことについて今日は書いてみようと思う。楽に生きるノウハウ Vol.2である。

このノウハウの策定にあたっては、非合理性という名の人間性も考慮した。物置ノウハウで幸福になれる人は1%未満だが、Vol.2では10%くらいの人がそれなりに幸せになれると思う。ずいぶん改善されたといえるだろう。

以下、そのことについて書いてみたい。とある制度の制度上のバグを突いて楽に生きる方法を紹介する。物置ノウハウは「自分の家を物置にする」という生活ハックだったが、Vol.2は制度ハックである。

この制度ハックを使えば、一応「世間体」みたいなものも十分に担保されるし、収入もそれなりに確保できる。”人間性”をお持ちの方もまあ満足できるのではないかと思う。そして、生活は極めて楽である。ほとんど働かないことも可能だ。

つまり、この制度はアカギの前に現れたヤクザ並に「絶好のカモ」なので「むしれるだけむしる……!」のがいい。


画像2

『アカギ』2巻より引用)


実際、僕の知人には何名か「むしれるだけむしる……!」に成功しており、その事例も織り交ぜて書いていきたい。

なお、普通に書くと制度の関係者から猛烈に怒られる内容なので以下有料になる。絶対に無料では書けない。気になる方は課金して読んで欲しい。

単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がオススメだ。今月更新される4本の記事が全て読める。2本以上読めば元が取れるのでぜひ定期購読をオススメしたい。ちなみに、9月中に更新される予定の目玉記事は「【実名告発】この人、現役でバリバリ起業家やってるけど実は詐欺師です」である。これが気になる人はぜひ、定期購読を検討されたい。


ここから先は

5,249字 / 4画像
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?