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ビルを買おうと思っている話


この世で一番バカげたことは「キレイな事業計画書を書くこと」だ。丁寧に練り上げて、10年後まで完璧に見据えた事業計画は、どうせ半年もすれば「何もかも予想外だ」という結論に達して変更を余儀なくされる。人生はいつだって見通しが立たないものである。僕の初めての起業は10年先を見据えていたが、1年で事実上倒産した。


倒産から4年半、最近はまたいっちょ前に経営者ぶっており、税理士との面談が一ヶ月に一回のルーチンで入ってきたりもしている。

面談では長期的な税務戦略を練るので、長期的な事業計画についての意見を求められる。「いつ、どの程度の利益が出て、どの程度の損失が出るのか」をざっくり見積もらないといけない。

「おおよそこんな感じですかねぇ」などと自分で言いつつ、「この見積もり、アテにならんなぁ~」と自分で思っている。自分で信じていない未来予知を、誰が信じるというのか。

話が分かる税理士さんなので、「まあ、あんまりアテにしないで聞いておきますわ(笑)」と返ってくる。彼は関西人特有の気軽さであけすけに本音を話してくれる。そういう士業の人は貴重なので、末永く付き合っていきたい。


税理士さんにアテにならない事業計画を話しながら、頭の中ではもっとアテにならない事業計画を考えている。「ビルが欲しいなぁ」と。

そう。僕はここ半年ぐらいずっと「ビルが欲しい」と思い続けている。寝ても覚めてもビルのことばかり考えてしまう。「誕生日に何か欲しいものありますか?」と聞かれると「ビル」と即答してしまう。言われた相手は困惑の表情を浮かべる。みんなを困らせてしまって本当に申し訳ない。


そんなワケで、今日は事業計画というか、「ビルを買おうと思っている」という話をする。生意気にも攻めの経営姿勢を取ろうとしている人間が何を考えているのか、興味がある人はぜひご覧ください。


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