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社会の答えを出す

感染症専門家である岩田健太郎さんが、ゼロコロナを提唱されています。

コロナも同じで、世界中からコロナをなくすことは数十年規模で取り組んでやっと実現できるか、それでも不可能かもしれません。ですが、日本という小さな島国でコロナをゼロにすることは、現実的なミッションだと思います。ときどき海外から持ち込まれても、さっと抑え込む。いまのニュージーランドのような状態にするのは、プランとしては可能だと思います

どうやってニュージーランドのような状態にするのか具体策に言及されていませんが、感染症専門家がゼロコロナは可能であると明言されているわけですからできるのでしょう。

疑問なのは、ここまで日本全土に広がった新型コロナウイルスをゼロにするコストはどの程度なのかわからないということです。ニュージーランドはパンデミック当初から一人でも感染者がでたらロックダウンをして、感染者を追跡して抑え込むことをしてきました。ゼロにするコストは短期間で終わります。

日本はロックダウンできる法律はありませんし、中央政府が強権を発動できる社会環境ではありません。「ロックダウンを検討する」ことを与野党問わず政治家からでてきていますし、国民からもロックダウンしかないという声も大きくなっていますが、ロックダウンをすぐにできる憲法・法体系にはなっておらず、そもそもロックダウンの中身すらまともに議論されていない中で今の感染をロックダウンにより抑えることは不可能であることは明白です。

もしニュージーランドのようなことができると仮定してみましょう。日本に住む全員がコロナがゼロになるまで家にいたとして、その期間社会をどのように維持していくのでしょうか。政府が財政出動して国民全員にお金を配ったとして経済的な問題は解決できるのかもしれませんが、精神面やDVなど一人ひとりが抱える生活は誰もコントロールできません。「1ヶ月すれば完全にコロナは消えてなくなり日常が戻る」ことがわかっているなら昨年4月の緊急事態宣言のようにほぼ全員が家にいることは可能でしょう。しかし、我慢してゼロにしたとしてもまたコロナ感染者が増加していくのはみんなわかっています。コロナウイルスが世界から消えることはありません。

今の日本では、ゼロにするコストとベネフィットを比較するとコストのほうが遥かに大きいです。経済的精神的にどれだけダメージが大きくてもゼロにするベネフィットがあるとは到底考えられません。

感染症の専門家の立場だけから考えるなら岩田健太郎さんの主張するようにゼロにするほうがベネフィットはあるのかもしれません。僕たちはコロナだけのリスクを抱えて生きているわけではありません。ロックダウンがメンタルに与える影響、緊急事態宣言が状態化していることによる若い世代への経済精神への影響、これ以上一人ひとりにコロナ対策を強いるのは現実的はないです。むしろ、コロナを抑えれば抑えるほど社会は壊れていっているのではないでしょうか。

対処療法でコロナを抑えることだけを考えるのではなく、我々の社会はコロナをどう位置づけるか答えを早急に出す段階にきています。僕は、ワクチン接種率が60%を超えた段階で、普通の生活に戻ればいいと考えています。規制するなら屋内でのマスク着用を義務付けることくらいでしょうか。

医療体制を大幅に拡充して感染者が増えても大丈夫なようにすること、副反応が出にくく効果的なワクチンと治療薬の開発を進めること、生活と事業を支えるためのお金を積極的に分配すること、そのためのお金は惜しまず財政出動することをコロナ禍が終わる見通しがつくまで続けることこれからやるべきだと思っています。

大手既成メディアが「気が抜けていた」「油断していた」からコロナに感染してしまったと記事にするようなことは非科学的です。生きていれば油断しようが何をしようが病気には誰でもなります。

冬がくるまでに我々の答えを出しましょう。あと1年もこの状態が続くようなら社会は社会でなくなります。


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