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人事が知っておくべき、パフォーマンスマネジメントに関する9つのデータ

人事担当者にとって、自社のパフォーマンスマネジメントが上手く機能しているのか、それとも改善の余地があるのかを知ることはなかなか難しいことです。

しかし、パフォーマンスマネジメントプロセスの有効性を評価するためのデータがあれば、それを参考にすることができます。

この記事では、主にパフォーマンスレビューを中心にパフォーマンスマネジメントに関する、統計データをまとめました。
貴社のパフォーマンスマネジメント・パフォーマンスレビューの現状と改善方法を理解するのに、ぜひお役立てください。

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パフォーマンスマネジメントとは

パフォーマンスマネジメントとは、会社のプロセスや環境、文化を通じて、従業員のパフォーマンスを最大化する仕組みのことです。
従業員の仕事の質に対する期待値を明確に設定し、仕事の生産性を向上させることで、従業員のパフォーマンスを管理します。

効果的なパフォーマンスマネジメントの利点として、人間関係の改善だけでなく、従業員のエンゲージメント・生産性・満足度の向上が挙げられ、これにより企業活動が大きく促進されるといったものがあります。

パフォーマンスマネジメントは、今の時代にあった新しい人材マネジメント手法として今注目されています。

パフォーマンスレビューとは

パフォーマンスレビューとは、個人や部門・部署単位において、企業の売上げや業績にどの程度貢献しているのかを査定する制度であり、「業績評価」とも呼ばれます。

パフォーマンスレビューという言葉自体は、特に外資系企業などでよく使われています。

近年ではこのパフォーマンスレビュー(業績評価)の意味も広がっており、単に数値的な利益だけではなく、プロセス的な貢献や工数削減・組織への影響力のような幅広い意味でも捉えられています。

パフォーマンス・レビューは、従業員がどのような仕事をしているのか、また、従業員が会社にもたらす全体的な価値について、組織に重要な指標を与えます。

人事が知っておくべき、パフォーマンスマネジメント・レビューに関する9つのデータ

ここからは本題の、人事が知っておくべきパフォーマンスマネジメント・レビューに関するデータをご紹介していきます。

データ①|一般的なレビューサイクルは1週間から3週間

一般的なレビューサイクルは1週間から3週間です。
レビューサイクルの期間の中央値は2週間弱、つまり12日です。

これを段階的に説明すると、同僚によるレビュー・自己レビュー・上司からのレビューのフィードバック収集に通常1〜2週間、サイクル終了からレビュー公開までに平均4日、必要な電子署名の収集にさらに5~6日かかります。

もちろんこのタイムラインには、レビューの準備にかかる数週間の人事管理およびトレーニングは含まれていませんが、自社のレビュープロセスの効率性を評価する指標として役立つでしょう。

データ②|従業員が自分を評価する同僚を指名することでレビューサイクルを短縮できる

パフォーマンスレビューサイクルの期間を短縮したい場合は、上司に任せるのではなく、評価される従業員自らにフィードバックしてもらいたい同僚を選んでもらうことを検討してみてください。

評価される従業員が自分で同僚を指名した場合、このプロセスは中央値で3日しかかかりません。
しかし管理職が同じことを行うと、完了までに平均4日かかります。

その1日分を節約することで物事を進め、プロセスを合理化することができるのです。

データ③|3分の1の企業が同僚によるレビューを利用している

あるツールでは、レビューシステムを利用している企業の41%が、従業員の評価プロセスに同僚によるレビューを取り入れました。
一方今年は、同僚によるレビューを利用することを決定した企業は32%しかありません。
なぜ急に減少したのでしょうか。

同僚によるレビューを採用する企業が最近減っているのは、ただでさえストレスの多い時期に従業員に負担をかけたくないと考えたか、コロナ禍のためにチームメンバーが同僚の素晴らしい仕事ぶりを知る機会が減っていると考えた結果なのかもしれません。
もうひとつの仮説は、継続的なフィードバックを行う企業が増えたため、レビュー中で正式に行われる形式の同僚によるレビューを省略することが可能になったというものです。 

今年の落ち込みを考慮しても、同僚によるレビューそのものの完了率は86%であり、これは前年と変わりません。

同僚によるレビューを導入(または維持)する場合は、期間を短くし、レビューを受ける人がレビューする人に及ぼした影響に焦点を当てることをお勧めします。

データ④|管理職は最も一般的な人事考課の情報源

これは驚くべきことではないかもしれませんが、最も一般的に従業員のパフォーマンスレビューの入力をしているのは管理職であることが確認されました。

興味深いことに、従業員のフィードバックの3分の1はチームメイトや部門横断的な同僚から、4分の1はクライアントや顧客からもたらされているとのことです。

上司のような1つのフィードバック源に過度に依存すると、パフォーマンスレビュープロセスに偏りが生じる可能性があります。
その代わりに、従業員の仕事ぶりについて参考にできる視点を増やすために、フィードバックソースのリストを広げることを検討してみてください。

データ⑤|パフォーマンスレビューの完了率の中央値は89%

自社のパフォーマンスレビューの完了率が他社と比較してどうなのか、気になりませんか。

ある企業の調査によると、パフォーマンスレビューの完了率の中央値は89%、つまり実施企業の半数は89%以上の完了率を記録していることがわかりました。

さらに、パフォーマンスレビューの完了率75%台は96%とのことでした。
これらの数字は、レビューの完了率を(ほぼ)完璧にすることが妥当であることを示唆しており、パフォーマンスレビューを進める励みになります。

データ⑥|人事考課の質問の60%以上が5段階評価を使用

人事考課の質問の60%以上が、次のような5段階評価を採用していることがわかりました。

・期待通りではなかった
・やや期待通りではなかった
・一貫して期待通りだった
・期待以上であった
・期待を大きく上回った

5項目からなる数値のない尺度が圧倒的に多く、4項目からなる尺度を採用している質問は21%にとどまりました。
さらに他の評価尺度は、10%にも達していません。

しかしどの評価尺度を用いた場合でも、低評価がつけられることは非常にまれです。
すべての評価スケールを平均すると、最低評価をつける人はごくわずかで、数値評価(例:「1」)の場合はわずか1.3%、記述評価(例:「要改善」)の場合は10%にとどまります。

このように、一般に最低点をつける人は少ないので、レビュアーが必要だと思うより1つ多く選択肢を付け加えることをお勧めします。
例えば、評価の選択肢を3つ以下にする代わりに5段階評価や4段階評価を選ぶと、よりニュアンスの異なる、柔軟な従業員のフィードバックを収集することができます。

データ⑦|数値による評価では評価者は最低点をつけない傾向がある

どの評価スケールを使ったとしても、低評価は不釣り合いなほど少ないものです。

数値で評価することを求められた評価者は、最も低い選択肢と最も高い選択肢のどちらも評価する確率が低いことがデータからわかります。
数値評価で平均すると、最低評価をつける評価者は1.3%とごくわずかな割合にとどまります。

しかし、記述的尺度ではこの数字は10%に跳ね上がり、数値以外の選択肢では評価がより均等に分布することが示唆されます。
また、ピープルチームもこの意見に賛同しており、数値以外の尺度がよりニュアンスのある幅広い回答につながっていることがわかります。

評価質問を決める際には、数字と言葉の影響は人それぞれであることを念頭に置いてください。
尺度を最大限に活用し、評価者に提供した選択肢をフルに使ってもらうためには、数値ではなく、説明的な評価を選ぶことをお勧めします。

データ⑧|従業員エンゲージメントはパフォーマンスレビューの頻度と強い相関がある

従業員エンゲージメントはレビューサイクルの頻度と強い相関関係があることが分かっています。

パフォーマンスレビューを頻繁に行う企業は、従来の年次評価に固執する企業よりも従業員のエンゲージメントが高い傾向にあります。
四半期ごとのレビューは、半年ごとあるいは年次レベルで実施されるレビューよりも従業員エンゲージメントが高いことが証明されました。
一方でレビューの頻度が高くなると、管理職の業務に支障が出ることに注意する必要があります。

従って、ビジネス力学が許す限り、パフォーマンス・レビューを頻繁に行う必要があります。
四半期ごとのレビューが可能であれば、それは素晴らしいことです。
しかしレビューの量が多く、人事担当者の頭痛の種になるようであれば、半期ごとのレビューサイクルを選択することを検討してください。

継続的なフィードバックを重視する文化を作ることで、管理職は従業員が取り組んでいること、健康状態、キャリアの方向性などをよりよく把握することができます。

ただし、フィードバックには2つの側面があります。
従業員の立場からは、上司と定期的にフィードバックを共有し、ワークライフバランスについて話し合い、目標を確認し、社員育成やキャリア志向について話し合うために、こうした個人面談を利用することもできます。

データ⑨|業績に連動した報酬を受けた従業員はそれが公正であると認識する

少なくとも年に1回報酬が見直されることを知っている従業員は、よりエンゲージメントが高いことがわかりました。
また、報酬が業績に連動している従業員は、報酬が業績に影響されない従業員よりも、自分の報酬が公正であると考える傾向があることもわかりました。

すべての従業員がボーナスや歩合給を自分の仕事の成果に結びつけて受け取ることができるわけではありませんが、パフォーマンスレビューの際に業績と報酬を関連付けることは可能です。
パフォーマンスレビューが毎年の昇給や昇進の資格にどのように影響するかについて、従業員に(頻繁に)説明することで、従業員がベストを尽くし、評価を真剣に受け止める動機づけにつながります。

ただし、パフォーマンスレビューの最中に報酬について話し合ったからといって、別途、正式な報酬レビューの必要性がなくなるわけではないことを覚えておきましょう。

ここでは、この2つのプロセスに個別に時間をかけることをお勧めします。 
従業員が昇給の有無を気にして年次評価を待っていると、上司が伝えようとする建設的なフィードバックに対する注意力や受容力が低下する可能性があります。
直属の上司がレビューにしっかりと参加できるようにするためには、2つのマイルストーンに分けるのがベストです。

  • まとめ

企業はそれぞれ異なるため、ある企業でうまくいっているパフォーマンスレビュープロセスが、他の企業でもうまくいくとは限りません。
しかし幸いなことに、データや洞察力そしてちょっとした手助けがあれば、人事チームは従業員と組織にとって最適なプロセスの構築に取り組むことができます。

本記事で紹介したデータが、少しでも皆様の参考になっておりますと幸いです。

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