資本主義の社会

今回は、現代の経済の根底にある資本主義について解説します。前半では資本主義の歴史を、後半では資本主義のその後について書いていきます。

経済学は、イギリスの産業革命の頃から頻繁に扱われるようにな った分野です。初期には、 「神の見えざる手」でおなじみのアダム・スミスが中心となった 学派、古典派経済学が主流でした。 「政府の介入なしに、すべてを市場の取引に任せておけ ば売れ残りなんて出ないし、価格も自然に決まるでしょ」という考えです。また、労働市場 においては、実質賃金(名目賃金に対し物価水準を考慮して計算された賃金)を軸に考えていました。

 おかしな話ですね。市場において売れ残りは必ず発生するし、あらゆる財の物価について 逐一反応する人はいません。実は、古典派経済学は「長期的」な経済状態を表す理論体系な のです。ここでいう長期とは、何十年何百年といった期間です。 (少し経済学を勉強する人 は、固定費用が可変費用と見なしうる期間という表現も知っておくと良いかもしれません。)
何はともあれ、これを信奉していても目の前の経済状況は良くなりません。1929 年の世 界恐慌が最たる例です。人々は、もっと「短期的」な経済状態を表し、現実に即した理論体 系を求めました。

そこで出てくるのがケインズ学派です。ケインズは、経済の回復には政府 の介入が必要であるとし、労働市場においては名目賃金(額面通りの賃金)や最低賃金の考え方を取り入れました。今でもこの学派の影響は強く、授業でも頻繁に取り上げられています。 


さて、今後資本主義経済は世界の中心にあり続けるのでしょうか?個人的には、まだまだ 続くと考えています。それは、資本主義によって得られる効用(社会の満足感)がとても大 きいからです。今や、価格競争により企業は製品の量・質ともに高め合い、産業の細分化に よって画期的な財やサービスが生まれ、貿易の活性化により世界中が経済を「共有」してい ます。ある種「自由」を手に入れているのです。

これがいきなり、共産主義になったらどう でしょう?大企業は国営になり、賃金水準も一定、働かなくてもお金が手に入ります。人間にとって、自由を奪われるというのは激しい抵抗感が伴うもので、今からソ連時代に戻るこ とは不可能に感じます。 お金が、人類の創造の産物であるように、資本主義も一種の宗教です。いろんな考えがあり、欠点も多くあります。今いる資本主義社会 の中で、自分の生かせる能力を財やサービスに変換してその欠点を減らすことが一番現実 的な道かもしれません。

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