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男子日本バスケに思う雑感~2020を終えて~

Kenです。
世界選手権での金メダル、欧州王者、世界選手権での銀メダルと相手は強豪ばかりとはいえ、東京五輪での日本代表の試合は3連敗で終わってしまいました。
それを見て色んなことを思う人もいるでしょうけど、戦術などは全くの素人且つ詳しい内容は別の方が書いているので僕は雑感を。

①男子バレーボールのポーランド代表は参考になりそうなキーポイントが沢山あると思う。

そもそも彼らに何故興味を持ったかというと、競技の畑は全く異なれど世界で勝てない厳しい時期を経験しているから。
ポーランドの男子代表はバレーボールの世界では東欧の古豪として知られた国で、1970年から1980年代にかけて当時のソ連と2強体制を作り世界の頂点に立った経験がある。その世界で勝てない時期に何をしたかというと、世界では当たり前となっているジュニア世代からの強化。その成果が実ったのは1997年のU-21大会。そのU-21大会で王者に輝くと、その主力選手だったセバスチャン・シフィデフスキー選手やパベウ・ザグムニ選手などを正代表に引き入れて強化を積み重ね、2000年にプロリーグ化。すると元々の強化に加えてチームの質が向上してあれよあれよという間に世界で勝ち始めて2006年の世界選手権で32年ぶりの銀メダル。多少低迷する時期はあったものの、2014年にポーランドで開催された世界選手権でその苦労を実らせることに成功して今日に至っています。(2018年の世界選手権も連覇)
このチームを良いなと感じた部分は、上背はそんなに高くないけど長年一緒に高い質でプレイしているから動きに無駄がなく組織で戦うのが徹底されている点です。世界のバスケやバレーボールはジュニア世代から一緒にプレイする機会があるけど日本のバスケやバレーボールは『学校』単位で指導するから相性の良い悪いを見極めにくいのは大きいかと思いますが日本もLeBronやKobeのように個人技で攻めるより5人で対抗するやり方が現実的ではないかと思うところも男子バレーボールのポーランド代表が参考になると考えた理由です。また、クレク選手が男子バレーボールの日本代表を評価する発言をした際の記事の中身を総合的に見て、競技の畑は全く異なるけれども『組織も世界基準にする観点』を考えると彼らに学ぶことが多いと感じます。

②基礎体力の必要性や個人能力の向上に拘る必要性はアメフトともそっくり

男子バスケ日本代表の低迷期だった2003年にジェリコ・パブリセビッチさんが代表監督に就任し、2006年に解任されたことを覚えているバスケファンの方はどれだけいらっしゃるのだろうか?
実は彼は母国の大学に日本代表選手たちの基礎体力を調べてもらったところ基礎体力がないことに気付いたそう。それが理由で基礎体力を付けるメソッドの一つとして山を走らせることをしていました。五十嵐選手、竹内兄弟が主軸だった頃です。
その頃の日本代表は2006年の日本での世界選手権で予選リーグで1勝しか出来ずに敗退したのですが2006年以降のビジョンまで描かれたパブリセヴィッチさんを解任する理由は解せないもので、2014年には国際大会出場停止を課される制裁処分に至った。その後川淵三郎さんの手腕で解いて貰ったが2016年まで低迷することに。それで2017年にアルゼンチン人のフリオラマス監督を招聘するに至りました。
でも五輪の試合を見た限りの僕の雑感としては基礎技術は勿論『基礎体力がない』
何故そう感じたかというと、予選リーグ第2戦のスロベニア戦と第3戦のアルゼンチン戦に理由があります。
スロベニアはドンチッチを25点に抑えたもののリバウンドやセカンドチャンスなど明らかにeffortの部分で負けていた。
アルゼンチンは最初の試合でドンチッチに48点を許して大敗を喫し、スペインにも10点差負け。彼らも日本同様に後がない状況でした。
蓋を開けるとアルゼンチンがリバウンドを粘り強く確保し外からの3Pも確実に沈めていた。

そこまでは想定内だったのですが、僕が驚いたのはルーズボールの場面でした。

大量リードを奪っていたアルゼンチンの41歳のベテラン選手のスコラ選手がボールに必死にダイブしていたのに日本は全員見つめるだけだったんです。

これを観て『基礎体力が18年前から向上していない、基礎技術で負けている点もアメフトと似ている』と感じました。因みにトライアウト受験者の準備の問題から基礎中の基礎の大切さをお話されているのは中村多聞さんというアメフト界では名前の知れた方なのですが彼の記事を読んでハッとさせられました。『だから日本は世界で勝てない』と。

③2030年に世界を脅かせることは出来るのか?

結論から言うと今のままでは無理ではないかと思います。
何故かというと、八村選手や渡邊選手以外の国内組の底上げが十分でなくPGやCの育成が急がれているから。
因みに2030年は引き合いに出した男子バレーボールのポーランドリーグにあたるBリーグが開幕して14年目を迎える年で渡邊選手が36歳、八村選手は32歳。今の日本代表が世代交代というか過渡期に当たる時期なので八村選手や渡邊選手に続く海外に進出する選手の育成も求められる。
また、今から2年という短い準備期間だとW杯までに選手を替えることが想定されるし、そこで連携を高めるのは厳しい。更にBリーグ側も運営やファンサービス面などで課題が多いことはSNSでも指摘されているので9年でそれが向上するのか?アジアで当たり前に勝てるのか?と考えると日本にはとても難しいと感じます。

最後に

好き勝手な雑感を纏めさせていただきましたが、日本代表は今回の五輪で世界に近づく兆しは見せたように思います。ですが日本だけでなく世界も進歩を続けている事実からも自分を含めて代表を観る目を養い続ける必要性を感じます。代表の試合が純粋に楽しみであり勝ちが見たいという思いがあるからこそ。
②で紹介した記事で

「ここにいる日本トップの皆さんが上に行かないと、日本のレベルが上がらないんですよ」

とアメフト日本代表の藤田HCが述べていましたが本当にその通りだと思いました。個人の向上努力を惜しまない。
もう一つだけ、ルイススコラ選手の言葉を置いてこの記事を締めようと思います。

(日本は)あと一山を越える必要がある。そのためには、自分たちは出来るんだと信じる力が必要だ。間違いなくタレントは揃っており、ポテンシャルはあるんだ。世界レベルで成功してきた歴史は少ないのかもしれないが、それを気にせず、自分たちの強さを信じて突き進んで欲しい。

日本男子バスケにサクラが咲く日が訪れますよう。

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