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0373 “選択的シングルの時代”の視点

読書感想文。”「選択的シングル」の時代”、これだ。

所感★★★☆☆


シングルライフの幸福を論じる本。バツイチ子供なしアラフォーの自分。タイトルを目にしたときは”どこまで自分の気持ちと重なるか”, ”今後の人生に影響を与える考え方と出会えるのか”と期待を大きくしたり小さくしたりしながら読んでみた。読後の所感は、星3つ。理由は以下に。

読後の所感は、星3つ。これは、個人のおかれている立場や、知らず知らずに形成されている主義や思想からも、評価が別れるところ。

各論のポイントポイントは強く同意できる箇所や、言い得て妙な箇所が多々あり。これは収穫。

腹落ち部分-認知科学をぶちやぶる-

たとえば、”脱伝統的な親密さの時代”への変化という文脈。友情をベースにした人間関係を人生の中心におくという考え方。親子、夫婦、結婚を否定するもなではないが、社会システムの制度疲労もある。なら、いっそ、常識を疑い、ゼロベースで少し違うアプローチをしてみる。価値観の多様性をうたっていることには賛成。

各論への違和感-弱者はどうすべきか

各論の部分で、違和感のある文脈もある。ウェルビーイングの向上が、社交性ありきであること。

シングルの人たちがどうすれば幸せな人生を送れるか。その点を、あらゆるデータとインタビューを通じて論じている。理解できる。

だが、いくつか条件がある。そのひとつが他社とコミュニティが作れる社交性。それができない人もいるから、人間関係は難しい。その点があまり触れられていないようで、違和感があり、物足りなかった。

人類の話-子供を産み育てる前提を


最後に、総論で欠けていると思えたこと。この本はシングル個人に焦点を絞りに絞っている。ゆえに、結婚は否定せずとも、どうやって子供を産み育てる社会にしていくか、という視点がない。

少子化や平均年齢の上昇という社会課題。どうやって社会全体で子供を増やせるか、少なくとも人口を維持できるかという視点を、深掘ってほしい。著者の筆致からすると、考えていないわけがない。もし、その点も、ファクトを元に論じられている著書があるなら、読んでみたい。

少し脱線。“進撃の巨人”において、ジークイェーガーがファイナルシーズンで言ったセリフを思い出す。“生きる目的とは、「増える」ことだ”と。ここから先は、哲学。なのでこれはまた別の機会に。

最後にありがとう

いろいろ書いたが、総じて、著者にはありがとうと言いたい。”こういう考え方や生き方について書かれた本がある”というだけで、新たな視点をもらえた気がする。

この先、どんな他者との関係性の拡がり・深まりがあるかはわからないけど、そこそこ貢献して、笑って死ねる人生にしたい。おわり。

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