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0115 『直感と論理をつなぐ思考法』妄想を成果に変えてゆくため

【読書感想】★★★★☆
to “直感だけ”または”理論だけ”に頼りがちでそこを繋げたい-そのヒントがほしい方

タイトルに激しくひかれた。相反するように思える直感と論理。その間をどう埋めるのか?筆者の考えを丁寧にたどりたい。

「根拠のない妄想」を手な手なずけ、強烈なインパクトを生み出す、知的創造の新技法とは?「妄想→知覚→組替→表現」の4段階サイクルを回すだけで、プレゼン・意思決定・アイデア・説明…すべてがうまく回りだす。
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今、私たちは「自分がどう感じるか」よりも「どうすれば他人が満足するか」ばかりにとらわれてしまっています。そんな「他人モード」全盛の時代に「自分モード」を取り戻すには、何が必要なのでしょうか? そのヒントになりそうな一冊。
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タイトルと目次から-自身の課題をふまえた”読む前の期待”

まずタイトルに激しくひかれた。相反するように思える直感と論理。その間にある道筋。これを丁寧に、できれば定量的な根拠をもとにたどりたい。

特に気になるキーワードとして、余白、〇〇思考、手で考える、ムーンショット、妄想、など。自分の感情にどう気づくかの方法。また、あらゆる角度のテクニックをもちいて思考を深める術。そんなことが書かれているのではと思った。 

目次

はじめに”単なる妄想”と”価値あるアイデア”のあいだ 
序章 「直感と論理」をめぐる世界の地図
第1章 最も人間らしく考える 
第2章 すべては「妄想」からはじまる 
第3章 世界を複雑なまま「知覚」せよ 
第4章 凡庸さを克服する「組替」の技法 
第5章 「表現」しなきゃ思考じゃない! 
終章 「妄想」が世界を変える?
おわりに 夢が無形資産を動かす時代 

結論 - 妄想を信じる力とつなげる技 - 

❶ 4つの思考法の概念を知ることができた

❷ なんとなくいい、なんとなく違和感。その妄想をまずは大事にする

❸ 妄想をいだくために内省を重ね、知覚情報を新たな角度でとりいれ、組替表現することで、新たな価値が生まれることを信じる

❹ 特に”プロトタイプをより早く手を使ってつくること”, “メタファーのひらめきを育てる訓練をする”を実践

上記の結論にいたった。ひとつずつ紐解く。

❶ 4つの思考法の変遷を考える

まず4つの思考法を順番に説明する筆者。

本書より

カイゼン思考…PDCAサイクルを何度も回すことで、その世界の細かなルールを熟知しパフォーマンスをあげていく
戦略思考………自分が勝てる目標を設定し、資源を集中配分すること

この2つの思考方法。筆者のいう共通点は、1をふやしていくという点。0を1にすることはできない。VUCAの時代。変化が激しく、”答え”が自明ではない世の中において、上記のみの思考法には限界がある。

思考法はAかBかではない。もちろんPDCAをまわしたり、リソースを集中することは、否定されるべきではない。これらの考えに加え新しいものを生み出すための思考方法も必要になるということ。

デザイン思考…手を動かして、五感を活用し、思考内容を可視化しながらすすめる
ビジョン思考…直感と論理をつなぐ思考法。

この2つが、0から1、新たな価値を生み出す思考法。違いは、社会課題からスタートするか、自己の妄想からスタートするか。本書のタイトルとなっているのが、ビジョン思考を指す。

❷ 妄想を大切に-文字通り”自分を信じる”

自分の考えはとるにたりない、多くのありきたりな考えのうちのひとつにすぎない。これまでなら、ついそんなふうに考えてしまっていた。

筆者は、なんとなくいいとか、なんとなく感じる違和感とかを、まずは大事にすべきという。これは、なんだか勇気をもらえる。妄想の可能性を信じるということだ。

それがビジョン思考の具体的なメソッドに裏打ちされている。

❸ ビジョン思考とは?

図解を引用。

本書より

これまでなら、妄想は妄想のままで消えていった。ふと思った”何となくいい”、”なんとなく違和感”の多くはその場限りのものだった。

上記4ステップをふむことで、妄想は大きな可能性を秘めたまま論理に昇華する。意図的に、日常の延長にないアクションをする。予期せぬつながり”ひらめき”を発動しやすい脳内状態を作る。その訓練といってもいい。

なかでも、早速実践をしているのが、下記2つ。

❹ プロトタイプとメタファー

論理に結び付けるための手法として、もっとも腹落ちしたのは、手を動かしプロトタイプ作りをくりかえすこと。

小さな不完全を連続しつづけて、徐々に理想に近づける。手をつかうイメージ。それは両脳をフルで動かしながらつくっていくイメージ。そして、目に見える状態なので早めにフィードバックももらえる。

立体的な造形物が必要なように見えるがそうではない。概念的なプロジェクトの進捗や、パワーポイントの資料もあてはまると思う。仕事でやってみたこと。とあるフォーマット作成。作り上げる過程をなんども周囲や上司に見せて、知見を集め方向性を微調整した。スピードがあがり、コミュニケーションが増え信頼も生まれた。

もう一つがメタファー、つまり比喩について。比喩が生まれることで、脳内では2つ以上の事象をコネクトしていることになる。脳内で2つの類似事象をつなげる訓練は、そのまま、ひらめきの訓練になる。

また説得や説明をするときの、”わかりやすさ”を補填する強力な武器になる。さらに本書では、メタファーをとりいれて新たな価値をもつ製品が生まれる様子が描かれている。実利につながる。妄想だけで終わらせない価値創造となる。

まとめ - 職場で実践 - 

これまで読んだビジネス本と一線を画す。1回読んで掴みにくかった箇所は、1.5回読むことで解消。仕事のうえのあらゆるシーンですぐに応用できることも多いと感じた。

現在、本書のエクササイズと、『0秒思考』のA4メモを続けている。思考の流れがよくなっているのを感じる。つづけていきたい。

参考。目次詳細(自分用)

はじめに 「単なる妄想」と「価値あるアイデア」のあいだ ── Between Vision and Strategy

「他人モード」にハイジャックされた脳/人も組織も「これがやりたい!」があると強い/あえて論理・戦略からはじめない/ただの直感・妄想で終わらない/すべては「余白のデザイン」しだい

序章 「直感と論理」をめぐる世界の地図 ── Wander to Wonder

PDCAが支配する「カイゼンの農地」
「カイゼンの民」に迫りくる自動化とVUCAの脅威
「論理」を手に領土拡大を目指す「戦略の荒野」
どれだけ戦っても得られないもの
目的の難民たちの新天地「デザインの平原」
デザイン思考の3つのシンプルな本質
「有用性」から解放された「人生芸術の山脈」
4つの思考サイクルの違い

第1章 最も人間らしく考える ── Think Humanly

変わるための“まわり道” ── トランジション理論
穴に落ちること。すべてはそこから
人が「自分らしい思考」を喪失する4つの原因
ビジョン思考を身につける2つの条件
「余白づくり」がすべての起点になる
現代人はむしろ「右脳」を育てやすい
「頭」で考えていては淘汰される。「手」で考えるには?

第2章 すべては「妄想」からはじまる ── Drive Your Vision

本当に価値あるものは「絵空事」からしか生まれない
根拠なき大風呂敷を嫌う「前年比至上主義」 ── イシューとビジョン
「実現しようがない目標」はナンセンスなのか?
「10%成長」よりも「10倍成長」を考える ── ムーンショット
ビジョン・ドリブン化する組織マネジメント
 CLUE 「紙×手書き」が基本
 CLUE 「感情アウトプット」を練習する ── モーニング・ジャーナリング
 CLUE 「何もしない時間」をスケジュール予約する
 CLUE 質問もまた「余白」である ── 妄想クエスチョン
 CLUE 思考の「錨」を下ろす ── 偏愛コラージュ
 CLUE 「考える→手が動く」を“逆転”する ── ひみつ道具プロトタイプ
 CLUE 創造の「テンション」を引き出す ── 魔法の問いかけ

第3章 世界を複雑なまま「知覚」せよ ── Input As It Is

「シンプルでわかりやすい世界」の何が問題なのか
知覚力を磨くには? ── 頭を「タコツボ化」させない方法
「手さぐり上手」が生き残る ── センス・メイキング理論
センス・メイキングの3プロセス
言語モードをオフにして、ありのままによく見る ── ①感知
 CLUE 「ペットボトルスケッチ」でモードの切り替わりを体感
 CLUE 言語脳を遮断する「逆さまスケッチ」
 CLUE 1日をイメージ脳で過ごす「カラーハント」
「箇条書き」ではなく、「絵」にして考える ── ②解釈
 CLUE 妄想を1枚の絵にする「ビジョン・スケッチ」
 CLUE 「1単語・1イラスト」の視覚化トレーニング
2つのモードを往復し、「意味」をつくる ── ③意味づけ
 CLUE モード切り替え力を高める「クラウドハント」
 CLUE 知覚力を磨く「ムードボード」

第4章 凡庸さを克服する「組替」の技法 ── Jump Over Yourself

最初は「つまらない妄想」からはじめたほうがいい
いいね!に安住しない「ひと手間」が差を生む
De - Sign=概念を壊してつくり直すこと
「箇条書き」はアイデアを固定してしまう ── 分解のステップ①
 CLUE 「組替力」を飛躍的に高める「可動式メモ術」
違和感に正直になる ── 分解のステップ②
 CLUE 「ツッコミ」のアンテナを鍛える「違和感ジャーナル」
「あたりまえ」を裏返す ── 分解のステップ③
 CLUE あまのじゃくキャンバス
発想に「ゆらぎ」を与えるアナロジー思考 ── 再構築のステップ①
「アナロジー的な認知」を促す3つのチェックポイント ── 再構築のステップ②
 CLUE アナロジー式「アイデア・スケッチ」
「制限」があるほうがまとまる ── 再構築のステップ③
 CLUE 一気にアイデアをまとめ上げる「セルフ無茶ぶり」の諸技法

第5章 「表現」しなきゃ思考じゃない! ── Output First

「私の仕事は『表現』じゃない」それは本当ですか?
イタレーション(反復)が「手で考える」のカギ
早めの失敗は儲けもの ── 「鳥の目」と「虫の目」
「速さ」こそが「質」を高める
「手で考える」を邪魔するもの ── 表現の余白づくり①
 CLUE ビジョン・アートの作品展示会
意見をもらうための「伝わりやすさ」 ── 表現の余白づくり②
 CLUE 記憶力と創造性が高まる「ビジュアルメモ」
 CLUE 「類推」を促す「ビジョン・ポスター」
「人を動かす表現」には「ストーリー」がある ── 表現の余白づくり③
 CLUE 人の心を力強く動かす「英雄の旅」フレーム

終章 「妄想」が世界を変える? ── Truth, Beauty, and Goodness

改めて問う、なぜ「自分モード」からはじめるのか?
アーティストの成長に見る「妄想を具体化する技術」の磨き方
妄想を「社会の文脈」から問い直してみる ── 真・善・美

おわりに 夢が無形資産を動かす時代 ── Business, Education, and Life

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