米国株マーケット考察 2021.2.19

マーケットサマリー

米国株式市場は4日ぶりの下落。ダウ平均は119.68ドル安の31493.34ドル、ナスダックは100.14ポイント安の13865.36で取引を終了しました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比2926万株減の9億8544万株。

ダウ平均が前日、3営業日連続で史上最高値を更新して引けたことを受け、昨日は当面の利益を確定するための売りが広がった模様です。

米新規失業保険申請件数( 予想:77万3000件 ) は86万1000件で、悪化については世界的な半導体不足で自動車工場が一時閉鎖に陥っていることが要因と言えます。これは労働市場の回復の鈍さを示唆しています。

一方、市場ではインフレ期待が高まっており、長期金利が急速に上昇していることも相場の重しとなり、上値追いを躊躇させています。

これまでは、低金利を前提にITやハイテク株の高い予想PER(株価収益率)が容認されて来ましたが、金利が急上昇しますと、割高感の強い株価の前提が急に崩れて波乱が起こる可能性があります。

実際に、此許の金利上昇基調を受けて、PBR(株価純資産倍率)が高いIT株には売りが出ています。象徴的なのは、時価総額最大のアップルは0.86%安と3日続落し、週初来では4.18%安となったことです。

とは言え、今起きている現象は、大きなトレンドの転換期とまでにはならず、引き続き、安値圏では押し目買いの意欲は強いのが現状です。

マクロ経済データに関しては、強弱まちまちの展開が続いていますが、第1・四半期はこれで良しとする雰囲気が濃厚です。全体的には十分健闘している感がありますので、ビッグ・サプライズがなければ3月も今月と類似したマーケットの展開になる可能性が高いです。

用語解説


-新規失業保険申請件数ー失業者が失業保険給付を始めて申請した件数を集計し、季節調整を加え発表するもの。

本指標は景気の動向に敏感に反応するといわれており、景気先行指数として用いられています。米労働省雇用統計局が毎週集計し、集計期間の翌木曜日に発表。米雇用統計の基準日である12日を含む週の結果は、それ以外の期間よりも注目度が高いです。

-PER(株価収益率)ーPrice Earnings Ratioの略称で和訳は株価収益率。株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する際に利用される尺度です。時価総額÷純利益、もしくは、株価÷一株当たり利益(EPS)で算出されます。例えば、株価が500円で、一株当たり利益が50円ならば、PERは10倍です。

一般的には、市場平均との比較や、その会社の過去のレンジとの比較で割高・割安を判断する場合が多いです。どのくらいのPERが適当かについての基準はなく、国際比較をする場合には、マクロ的な金利水準は基より、各国の税制、企業会計の慣行などを考慮する必要があります。

なお、一株当たり利益(EPS)は純利益(単独決算は税引き利益)を発行済株式数で割って求めます。以前は「自社株を含めた発行済株式数」で計算していましたが、「自社株を除く発行済株式数」で計算する方法が主流になりつつあります。企業の株主還元策として自社株を買い消却する動きが拡大しており、より実態に近い投資指標にするための措置です。

-PBRーPBRとはPrice Book-value Ratioの略で、株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。

現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PBRの数値は、低いほうが割安と判断されます。

なお、PBR=1倍が株価の底値のひとつの目安(株価と資産価値が同じ)とされてきましたが、近年は長い間1倍を下回ったままの銘柄も多くなり、必ずしもPBRの1倍割れだけを底値の判断基準とすることはできなくなっています。

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