米国株マーケット考察 2021.3.2

マーケットサマリー

米国株式相場は、3営業日ぶりに大幅反発。ダウ工業株30種平均は前週末終値比603.14ドル高の3万1535.51ドルで終了し、上げ幅は昨年11月上旬以来、約4カ月ぶりの大きさとなりました。ナスダック総合指数は396.49ポイント高の1万3588.83で引けました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前週末比6億1970万株減の11億3247万株。

相場上昇要因は:
(1) 調整局面中のダウ平均が前営業日までの2日間で計1000ドル超下落していたため、安値拾いの買いが入ったこと。

(2) バイデン米大統領が成立を目指す1兆9000億ドル(約200兆円)の追加経済対策法案が前週末に議会下院で可決されたこと。法案には1人最大1400ドルの現金給付などが盛り込まれ、バイデン政権と与党民主党は、上院の可決を経た後、3月中旬までの成立を目指しています。

(3) 米当局は前週末、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンに緊急使用許可を出したこと。米国で使用が認められたコロナワクチンは3つ目ですが、1回接種で済み、冷蔵庫で3カ月間保存が可能なのはJ&J製が初めてで、接種加速への期待が広がりました。

(4) 先週は米国債市場で #10年債利回り が1.61%台に上昇し、長期金利の急上昇が株式市場を圧迫していましたが、昨日は1.41%まで下落しましたので長期金利市場に一服感が出始めていること。

(5) #米サプライ管理協会 (ISM)が発表した2月の米製造業購買担当者景況指数(PMI)は60.8( 予想:58.8 )と、前月の58.7から上昇したこと。構成指数別では、新規受注が64.8、生産は63.2、雇用は54.4、製品納入は72.0といずれも前月から上昇しました。

市場関係者の一部では現在の株価が金利上昇懸念を織り込んでいるレベルであると強気なコメントを出していますが、大方は景気回復と金利上昇の綱引きが暫くは続くのではないかという見解です。

今後の焦点としては、金利の手綱を握っているFRB( 米国連邦準備銀行 )がどのように動くのかであり、それが確定するまでは相場の上下動は継続すると予想されます。

用語解説

-#米製造業購買担当者景況指数(PMI)ー企業の購買担当者らの景況感を集計した景気指標のひとつです。国別や、製造業、サービス業ごとの集計も行われており、米ISM(Institute for Supply Management)やIHS Markit社が公表しているものが有名です。

一般的に鉱工業生産や雇用統計などの統計よりも景気先行性があるとされ、株式等の運用担当者の注目度が高い指標のひとつと言えます。景気判断の方法としては、一般に、PMIの数値が50を上回ると改善、50を下回ると悪化と判断されます。

-#FRB ーFRB(The Federal Reserve Boardの略)は、日本における日銀と同じ、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関で、日本語で「連邦準備理事会」とも呼ばれます。連邦準備理事会は、7名の理事から構成されています。

FRBが開く金融政策の最高意思決定機関に連邦公開市場委員会(FOMC)があり、FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行(FRB)総裁5名で構成されていて、アメリカの金融政策やFFレートの金利誘導目標を決定しています。


立沢賢一とは


元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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