【マーケット考察】2022.11.12


米国株式相場は小幅続伸。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比32.49ドル高の3万3747.86ドルで終了。ハイテク株中心のナスダック総合指数は209.18ポイント高の1万1323.33で引けました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比9935万株減の11億7471万株。
 
10月の #米消費者物価指数#CP I)の伸びが市場予想を下回り、物価高抑制のためにFRBが進めている利上げのペースが鈍化するとの期待から、前日のダウ平均は約1200ドル上昇しました。

昨日は前日の反動で、ダウ平均は一時114ドルマイナスになる場面もあり、取引時間の大半をマイナス圏で動いていました。また、ベテランズデー(退役軍人の日)で債券、為替市場は休場。休日ムードが広がる中、株式市場もやや方向感がない動きに始終しました。

経済指標に関して、11月 #ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 は54.7と、10月59.9から予想以上に低下し7月来で最低。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ期待指数として注視している同指数の1年期待インフレ率速報値は5.1%と、予想通り10月5.0%から上昇。5-10年期待インフレ率速報値は3.0%と、予想外に10月2.9%から上昇し6月来で最高となり、高インフレが引き続き押さえきれていない証左となりました。

それにも拘らず、利上げ鈍化への期待や米長期金利の低下に好感し、ハイテク株や成長株は上昇。これらの銘柄に支えられてナスダックは上昇したほか、ダウ平均も終盤にプラス圏に浮上しました。
 
また、中国当局が新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ政策」の実質的な緩和を発表。以前の私の【マーケット考察】で習近平政権が第3期突入に成功すれば、押さえつけてきた中国経済を成長に向けて方向転換すると予想しましたが、やはりその様に向かうのかも知れません。

その根拠は以下の通りです。習近平は第3期目に入るために、昨年から経済力を背景に勢力を構築していた江沢民派の力を削ぐことに重点を置いてました。習近平と対立している共青団は江沢民派とは思想こそ異なりますが、習近平の引き摺り落とし作戦?に関しては江沢民派と手を組んでいました。

先月に習近平新体制での人事が決定し、習近平は共青団や江沢民派を完全排除に成功しましたので、今後は経済成長を押さえるような政策を実行する必要性がなくなりました。寧ろ、人民の不満を解消するためにも、中国が再びある程度経済成長するような政策が施される可能性はあると思われます。

外国為替市場では、ドル円が138円台に突入。日米金利差にドル円は高い相関性を持っていますが、今週のCPIの数字を受けて、拡大していた日米金利差の拡大スピードが緩和する期待感にドル円相場は反応しました。

株式・債券市場の変動幅から考えて140円割れは一時的かと思われましたが、依然としてロングの投げが続いている雰囲気です。難しい今年の相場環境において、ドル円ロングは数少ない鉄板トレードで簡単に儲けられるポジションだっただけに、根っこのロングポジションは相当あり、その積み上がりも半端ではないものと思われます。

以前私が書いた【マーケット考察】ではそのような場合に、ドル円は10円程円高 ( 当時ドル円は147円でした )に振れ、137円台まで円が買われることを予想していましたが、(自分で言うのもなんですが、)見事に的中しました。😃

これを受け、多くの方々からDMで次のドル円相場展開を教えてくれとの照会が多々きてますが、私は相場の神様ではないのでわかりません!

今週は、長らく待ち望んだインフレ指標の鈍化がやっと来たので、『来た〜!!!』とばかりに飛びつきたい気持ちはわからないでもないですが、冷静に見れば、今週のCPIの数字はあくまでも単月のデータであり、はしゃぎ過ぎはまたお灸を据えられるリスクもあります。イエレン財務長官もその辺をすかさず指摘しているのが特徴的でした。

本日のチャート:米ドルインデックス weekly Chart( 添付チャート参照)
ポイント

  • ドル円もそうですだが、ドルインデックスの下落も相当なもの。ドル円は9月初旬の水準ですが、ドルインデックスはそれを下回って8月中盤の水準まで下落しています。対円よりもその他通貨でオーバーソールドの通貨の買い戻しが入った模様です。

用語解説

  • #消費者物価指数 ( #CPI ) ー米労働省労働統計局(BLS)が、都市部の消費者が購入する商品やサービスの価格の変化を調査して指数化したもの。変動が激しい食品とエネルギー価格を除いたコア部分の指数も同時に発表されます。米国のインフレターゲットの対象は個人消費支出(PCE)デフレータであり、日本を含め多くの国でインフレターゲットの対象とされているCPIではないです。しかし、発表時期が対象月の翌月15日前後と、対象月の翌月末もしくは翌々月初めとなるPCEデフレータに比べて2週間程度早く、変化の傾向が似ているため、市場の注目度は物価関連指標の中で最も高いです。その物価の変動がわかる消費者物価指数は「経済の体温計」とも呼ばれていて、さまざまな国内の経済政策を決める上で、非常に重要な指数として使われています。

-ミシガン大学消費者景況感指数ー米国の消費者マインドを示す指標。ミシガン大学の調査研究センターがアンケート調査を実施し、毎月300人を対象とした速報値、500人を対象とした確報値を発表しています。現在の景況感を示す現状指数(約40%)と先行きを示す期待指数(約60%)で構成されています。調査会社コンファレンス・ボード(CB)の消費者信頼感指数に先行して発表されるため、市場関係者の注目度が高い指数とされています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?