米国株マーケット考察 2021.1.21

マーケットサマリー

米国株式相場は続伸。ダウ平均は257.86ドル高の31188.38ドル、ナスダックは260.07ポイント高の13457.25ポイントで取引を終了しました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比7935万株減の10億3995万株でした。

第46代大統領にバイデン氏が宣誓就任し、新政権への期待に寄り付きから上昇。1人当たり最大1400ドルの現金給付などを盛り込んだ1兆9000億ドル規模の追加経済対策案を発表済みで、積極財政への期待が高まっています。

それに関して議会を通過できるかは未知数の部分が大きいものの、株式市場はバイデン政権の経済運営に期待感を高めて新政権が始まりました。

また、赤字が見込まれていたネットフリックスは昨年第4・四半期の予想を大幅に上回る好決算を発表しており、有料会員数の伸びも851万人増と予想を大きく上回り会員数は累計で2億人を突破し、株式総合指数は史上最高値を更新しました。

市場はとりあえず、昨年の定番の組み合わせである、グロース株買い・低金利・ドル安のシナリオ復活を期待しているようです。

それ故に、昨年第4・四半期決算発表関連でも好決算でネットフリックスが大きく上昇する一方で、昨日までに出そろった米大手銀行4行やゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーのような投資銀行の決算が市場予想を上回ったにも拘らず金融セクターの反応は極めて鈍いのがそれを象徴しています。

そういう意味では、債券利回りと米ドルについては、まだ直近の高値圏にありますが、パウエルFRB議長が政策方針の中で、債券利回り上昇に対し、一定の上限を決めているのが株式相場に効いているようです。

今後予想されるマクロ指標悪化及び景気敏感銘柄の決算発表を通し、銀行、エネルギーやパンデミックで最も悪影響を受けたレジャーやホスピタリティ関連銘柄がどのような展開になるのかが今後の焦点となるでしょう。

相場には関係ありませんが、トランプ政権下での移民や気候問題などに関する政策の速やかな巻き戻しに着手、パリ協定への復帰や世界保健機構(WHO)との関係改善、メキシコとの国境の壁建設中断などに取り掛かると報じられています。

バイデン米大統領は「民主主義が勝利した」と発言しましたが、彼にとっての「民主主義」の定義は何なのかを尋ねてみたいと思っている米国民は億単位でいるのではないかと思います。

用語解説


-グロース株ーグロース株とは企業の売り上げや利益の成長率が高く、その優れた成長性ゆえに株価の上昇が期待できる株式のことで、「成長株」とも呼ばれます。

革新的な商品やサービスを通じて市場シェアを拡大し、増収増益を続けているような企業が多く、一般に投資家の人気が高いという特徴があります。ひところのIT株のように、ほんの数年で株価が数倍~数十倍に上昇するものも珍しくありません。

-景気敏感株ー景気動向によって、業績が大きく変動する銘柄のこと。「景気循環株」と呼ぶ場合もあります。鉄鋼、化学、紙パルプなどの素材産業や工作機械などの設備投資関連などの銘柄が該当します。

好況時にはモノが売れるため、多くの素材や設備、工場が必要になりますが、不況時には在庫調整で需要が低迷し、生産が落ち込むことなど、景気の波によって受注が大きく左右され、業績に直結する銘柄群のことです。


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立沢賢一とは


元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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