株価と金利について
ある程度株式投資の勉強をしていれば
金利が上がれば、株価が下がる
金利が下がれば、株価が上がる
といった話を聞いたことがあるかと思います。
今回は、この話の理論の部分について、書いていきます。
あくまで定性的な話ですので、具体的に何円になるかなどは予想出来ません。
マーケット全体の動きを理解するための概念的なものだとお考えください。
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本題に入る前に、EPS(Earnings Per Share)とPER(Price Earnings Ratio)について説明します。
まず、EPSは、その期の純利益を発行株式数で割ったものです。
健全な企業の場合、配当金は純利益の中から支払われます。
つまり、純利益の大きさが配当金にも影響があるということです。
次に、PERは、株価を一株当たりの当期純利益(EPS)で割ったものです。
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それでは、株価について考えていきます。
EPSとPERを用いると、株価は以下の式で表されます。
この式を、(A)式 とします。
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次に、割引配当モデルという考え方について説明します。
割引配当モデルというのは、簡単に言うと、
「株を所有し続け、株の価格変動がなく、配当金のみが投資家の利益となる」
という考え方です。
この考え方を用いると、配当金を出し、その配当金が定率で成長を続ける企業の株価は以下の式で表されます。
ここでいう割引率というのは、リスクがなく、ほぼ必ず返ってくる利率(銀行の利息など)です。
国債の金利もほ確実に返ってくるので、株価を考える上で、割引率は「国債の金利」と考えて問題ありません。
国債の中でも、米国債10年利回りが景気の判断をする上で用いられます。
さらに、株価を考える上では、お金の供給量という意味でも、FRBの定める政策金利(Federal Funds Rate: FFR)も加味して考慮する必要があります。
今回、米国債10年利回りとFFRを合わせたものを長期金利として、考えます。
また、EPSで説明した通り、配当は純利益が原資になるので、割引配当モデルの配当と配当成長率は、EPSとEPS成長率に置き換えて考えることが出来ます。
これらを考慮して、割引配当モデルを書き直すと、
このように書き直すことができます。
この式を少し整理すると
となり、この式を (B)式 とします。
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先程の (A)式と (B)式を比較すると、
と考えることが出来ます。
この式が、長期金利が低い時に、EPS成長率の高いグロース株などが、高PERでも関係なく買われる理由です。
逆に、長期金利が上がると、高PERの株ほど売られやすくなります。
また、長期金利が低いときというのは、景気が悪いときですので、「金融相場と業績相場」でお話しした通り、長期金利が上昇する局面では、オールドエコノミーが買われやすい相場環境になります。
以上のことから、米国債10年利回りとFRRの重要性が理解出来たと思います。
これらの金利は、日々チェックするようにし、相場環境の変化にいち早く気付けるようになりましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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