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【6】新しい本名は新しい成人に盛れ

メディアが我々に「キラキラネームってどうよ?」と問いかけるのは、万人が「誰しも出生時に保護者から名前を授かり、自分も名づけ親になれる」当事者だからだ。当然、さまざまな意見や感想があったりなかったりするのだが、私は出生名が固定される大前提を見直したい。

すなわち明治以来の出生名の一本化をあらため、「自分が出生時に授かる名前を幼名とし、一定の年齢で自ら成人名を名乗る」べく法改正することになる。江戸時代までの元服げんぷくは参考にしているが、あくまで今現在の価値観に則り、自分で自分の成人名を決断し表明する自己決定権としての改名だ。

キラキラネーム問題の現状

もちろんキラキラネーム問題は自作自演の乱痴気騒ぎなんかではなく、氏名の読み方を社会的に規制しようと真面目に検討されている。

政府はすべての戸籍の氏名に読み仮名をつける戸籍法の一部改正を閣議決定した。2024年度の施行を見通しており、成立した場合、戸籍上の氏名に読み仮名がついたり、新生児の名づけにおいて規定ができたりするなどの変化がある。全日本人が関わる「戸籍」の今について、知っておきたい10のことをまとめた。

キラキラネームは? 戸籍法改正について知っておきたい10のこと:日経ビジネス電子版

だが考えてみてほしい。

自分で自分の名前は決められず、名づけ親になったら自分の名前への願望を投影するなんて、そもそも何かがおかしい。自分がいいと思う名前なら、まずは自分の名前に反映するのが相応しい。

そもそも名づけ親たる人の命名権とは

ちなみに誰かが誰かの名づけ親になる人の命名権について。我々の生活習慣に基づき自分で自分の名前は決められないことになっているが、どうやら厳密には誰の権利かは定まっていない。ならば自分で自分の名前を決断し表明する、自己決定権を差し挟む余地はあるに決まっている。

この名前を付ける権利「命名権」は、法律上、誰の権利かまでは定められていません。 命名にあたって常用漢字を利用すること(戸籍法50条)と、命名権の濫用を防止するために、権利濫用の禁止(民法1条3項)という規定の適用があるに過ぎないのです。

法律コラム│人の命名権 │ LEGALUS(リーガラス)

キラキラネームを生きるという現実

実際問題、例えば「王子様おうじさま」というキラキラネームを授かった人生がどうなるかというと、我々が想像するよりは平穏な人間関係を過ごしたようで何よりである。はからずも私が主張する人の命名権に自己決定権を発揮している事例なのだが、やっぱり「自分の名前が公序良俗に引っ掛かるから自己決定権が発揮できる」より、「誰もが自己決定権を発揮できる」方が妥当性は高いだろう。

で、元・王子様の母上が自己決定権を発揮すると、まあその我が子が自身にとって王子様だから「私の名前は、おきさき様」という感じだろうか。

新成人という改名者の集い

というわけで、幼名から成人名に改名するべく法改正がなされた場合、改名の機会をどのように設けるべきだろうか。

真っ先に思いつくのは成人式である。まあ現在の成人式は、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年原文ママを祝いはげます」ための成人の日に則った式典だ。令和5年・2023年の今現在、成人年齢が二十歳から十八歳以上となり、成人式と二十歳の集いが混在するヘンテコな状況になっている。

だがそれは逆に一世一代の大チャンスかもしれない。

成人を幼名から成人名への改名者とあらためれば、成人式の景色は様変わりする。成人名となった改名者が、社会人であることを祝い励ます集いというわけだ。つまり、成人名は社会人への通行手形だ。社会人である以上、未成年・年少者雇用の労働者は当然、社会人として成人名を名乗る資格がある。

これから一生付き合う名前を自分一人で決め、大人として最初の責任を果たしてきたのだ。変わらないほうがどうかしている。

さて、どうでしょう?


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