うがい薬で知っておくべき3つの成分の特徴と使い分け
うがい薬にもいろいろと種類がありますが、それぞれの違いを説明できますか?
喉の症状だけではなく、他の症状にも使えるのを知ってましたか?
今回は、ドラッグストアなどに売っているうがい薬をお客さんに適切に販売できるように、そして購入する側も目的に合わせて選べるようになるために詳しく解説します。
市販のうがい薬の種類
市販のうがい薬の成分は3種類あり、以下のように分類されます。
★市販のうがい薬の成分★
炎症を抑える・・・アズレン
殺菌/消毒・・・ポビドンヨード、セチルピリジニウム
このように成分によって作用が異なるので、目的に応じて使い分けられるように各成分を詳しくみていきましょう。
★余談★
それぞれの成分は色でなんとなく見分けがつきます。
・茶色→ポビドンヨード
・紫→アズレン
・透明→セチルピリジニウム
ぱっと見で判断する必要はありませんが、アズレンのうがい薬はどれかな~と探す時などに役に立てば幸いです(笑)
アズレン
アズレンの商品例は以下の通りです。
★アズレンのうがい薬の商品例★
・パブロンうがい薬AZ(大正製薬)
・浅田飴AZうがい薬(株式会社浅田飴)
・浅田飴うがい薬W(株式会社浅田飴)
浅田飴うがい薬Wは後で説明するセチルピリジニウムとアズレンが入ったうがい薬です。
パブロンうがい薬AZと浅田飴AZうがい薬はアズレンのみのうがい薬となっていて、3種類全て同じ濃度となっています。(0.5%)
アズレンのうがい薬は炎症を抑える作用があるので、喉の痛みがあるときに使うことが多い成分です。しかし、のどの痛みを直接とるというデータはほとんどありません。
喉の炎症を抑えるので風邪でのどが腫れてしまったときには腫れをひかせる目的として使えますし、口内炎の痛みや潰瘍の数を減らす効果も期待できます。
★アズレンの特徴★
・抗炎症作用で口内炎や喉の腫れを抑える
・殺菌・消毒効果はない
★補足★
炎症を抑える事と痛みを抑える事は別なので注意しましょう。痛みがつらい場合には痛み止めの飲み薬を使用してアズレンは補助として考えるのが良いです。
ポビドンヨード
ポビドンヨードの商品例は以下の通りです。
★ポビドンヨードの商品例★
・イソジンうがい薬(ムンディファーマ)
・明治うがい薬(明治)
うがい薬といえばイソジンが有名かと思いますが、その成分の本体はポビドンヨードというヨウ素を主体としたものになります。
★ポビドンヨードの特徴★
殺菌・消毒作用(抗ウイルス作用も)
喉の痛みや腫れを抑える抗炎症効果はない
殺菌や消毒作用があるので、口腔内の洗浄などに使用します。
ポビドンヨードのうがいによる効果は諸説ありますが、否定的な意見が多いです。
水道水でのうがいのほうが感染予防効果が高いというデータもあります。
ポビドンヨードでのうがいと水道水でのうがいで感染予防効果を比べたところ、水道水でのうがいのほうが感染予防効果が高かった
(Am J Prev Med. 2005 Nov;29(4):302-7.)
しかし、他の論文ではポビドンヨードのほうが高かったというデータもあるので、ハッキリと効果なし!効果あり!ということは言えない状況です。
殺菌・消毒効果があるのになんで効果が無いの?という疑問がありますが、アズレンでも説明したように薬理効果(殺菌・消毒効果)と臨床効果(感染予防)は別で考えなければいけません。
殺菌・消毒効果はありますが、使用により喉の粘膜を傷つけてしまい感染リスクが高まるのかもしれませんし、口の中の常在菌がやっつけられてしまいそれが感染のリスクを高めてしまっているのかもしれません。
また、妊娠や授乳中の方への使用も他のうがい薬より注意が必要です。
ポビドンヨードはヨウ素をメインとした殺菌作用で、このヨウ素の過剰摂取(使用)は母子ともに甲状腺機能低下症を引き起こすリスクが知られています。
★ポビドンヨードの注意点★
・妊婦・胎児に甲状腺機能低下症のリスクになり得る
こういった情報から日常的に感染予防に使用するのはあまり向いていないかなと思います。
★ポビドンヨードの新型コロナウイルスに対する効果について★
メディアでも話題になりましたが、実際に効果があるのかは根拠が弱い状況です。ポビドンヨードの使用で陽性率は減りましたが、あくまで検査の話なので感染拡大防止に有効なのかは分かりません。
それよりもポビドンヨードは副作用もある医薬品なので、適正使用に努めることが大事です。神奈川県薬剤師会の注意喚起がちょっと過剰なくらいですが参考になるので載せておきます。
神奈川県薬剤師会より、今話題の新型コロナウイルス感染症とポビドンヨードうがい液(商品名イソジンなど)に注意!!
セチルピリジニウム
セチルピリジニウムの商品例は以下の通りです。
★セチルピリジニウムの商品例★
・新コルゲンコーワうがいぐすり(kowa)
・イソジンクリアうがい薬(ムンディファーマ)
イソジンという名前がついても、ポビドンヨードではなくセチルピリジニウムが使用されている点に気を付けましょう。イソジン=ポビドンヨードではないんです。
★セチルピリジニウムの特徴★
・殺菌・消毒作用
・トローチやのど飴にも使われている
・抗炎症作用はない
ポビドンヨード同様、殺菌・消毒作用のある成分です。トローチやのど飴にも広く使われています。
炎症を抑える作用はありませんが、口内炎の痛みや口臭予防、一時的な口臭改善に効果が期待できる成分になります。
ポビドンヨードよりも安全に使用できるというメリットはありますが、感染予防効果は不明なのでこちらも日常的な感染予防としての使用はあまりおすすめできません。
使い分けの例
症状から、どのうがい薬の成分が適しているかを紹介します。
★風邪をひいて喉が痛い★
アズレン
→単独では痛みを抑える効果はほとんど期待できないが、補助としてなら活躍しそう
★口内炎★
アズレン、セチルピリジニウム
→どちらも痛みを抑える効果が期待できます。アズレンは口内炎の潰瘍数を減らす効果も。
★風邪などの予防★
該当なし
→うがい薬による明確な予防効果がないため、日常的な予防は水道水で良いでしょう。
★妊娠・授乳中の喉の痛みや口内炎など★
アズレン、セチルピリジニウム
→ポビドンヨードも使えないわけではないが、前述しているように甲状腺機能低下症のリスクが少なからずあるのでこれら2つの成分のほうが安心
風邪予防にうがい薬は必要?
ここまで説明してきたように、風邪の予防にうがい薬の効果があるという根拠があまりありません。
最近ではうがい自体が予防に必要ないのでは?と言われているようですが、個人的にはうがいをするメリットは予防意識が高まることだと思っています。
うがいをする人は手洗いもすると思いますし、こういった意識や習慣が大事なのではないでしょうか。
海外ではうがいをする習慣があまりないと聞きますが、その海外では新型コロナウイルスがかなり感染拡大してしまいました。
もちろんいろいろな要因があると思いますが、日本人の手洗い・うがいに対する意識の高さをこのまま継続していくことが大事なのではないかなと思います。
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