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和歌山地裁に意見書2を提出しました ~林眞須美死刑囚による23件の連続殺人・殺人未遂事件は警察と検察の捏造だった件について~

 5月8日配信の記事でお伝えした通り、和歌山地検は林眞須美死刑囚の確定審において、林死刑囚が死亡保険金目当てに夫や知人男性にヒ素や睡眠薬を飲ませた事件が23件(内訳は公訴事実4件と類似事実19件)あったかのように主張しましたが、私が和歌山カレー事件について取材する中、以下2点の事実が判明しました。

 (1)上記23件の事件のうち、3件の現場である岸和田競輪場、■病院内の食堂、喫茶店■において、和歌山地検も和歌山県警も裏付け捜査を一切行っていないこと(※筆者注・■は、原本では実名) 

 (2)そもそも、和歌山地検は林氏の確定審において、上記23件の事件の現場で裏付け捜査を行ったことを示す証拠を一切提出していないこと

  これらの事実に照らせば、上記23件の事件はいずれも、和歌山地検と和歌山県警が林死刑囚を和歌山カレー事件の犯人とするために捏造した架空の事件だとみるほかありません。

 実際、この私の指摘に対し、和歌山地検も反論しませんでした。

 以上の事実関係を踏まえ、私はこのほど、和歌山地方裁判所刑事部に対し、林死刑囚の第3次再審請求の審理に際しては、検察官が23件の事件の各現場で裏付け捜査を行ったことを示す証拠を裁判に一切提出していない事情を調査すべきだとの意見書(以下にPDFとテキストで掲載した「意見書2」)を提出しました。

 なお、意見書2の提出は、レターパックライトの送付によって行いましたが、日本郵便の追跡記録によると、和歌山地裁に本日午後15時00分に到着しています。

・・・・以下、意見書2(テキスト版)・・・・

2024年5月16日

和歌山地方裁判所刑事部御中 

意見書2


 林眞須美氏(以下「林氏」)の第3次再審請求について、以下の通り、私の独自取材でわかった事実に基づいて、意見を述べさせて頂きます。

片岡健
※私の住所や連絡先は、同封した名刺に記載している通りです。 

(1) 意見の趣旨

 貴庁は、検察官が確定審で立証活動を行った林氏の死亡保険金目当てのヒ素・睡眠薬使用事件23件(内訳は公訴事実4件と類似事実19件)について、検察官が23件の事件の各現場で裏付け捜査を行ったことを示す証拠を裁判に一切提出していない事情を調査すべきです。

(2)意見の理由

1、前提となる事実

 確定審における検察官の主張では、上記のヒ素・睡眠薬使用事件23件のうち、林氏が殺人に成功した事件はY氏(※筆者注・Y氏は、原本では実名)が被害者とされた1985年の事件(類似事実)の1件のみですが、換言すると、検察官は確定審において、林氏がカレー事件のほかにも「23件の保険金目当ての連続殺人・殺人未遂事件」を起こしたと主張していたことになります。

 しかし、検察官は林氏の確定審において、これら23件の各現場で事件の実在を裏づける現場検証や実況見分などの捜査を行ったことを示す証拠を裁判に一切提出していません。

 それらしき証拠としては、一応、泉克典氏(以下「泉氏」)が林氏からヒ素入りの食べ物を与えられたとされる4件の事件について、和歌山県警の警察官らが泉氏と共に現場である林家に赴き、泉氏に被害状況を再現させたとする写真付き検証調書が2通(甲562、甲563)、確定審の第一審で提出されています。

 しかし、この2通の検証調書についても、

①    そもそも泉氏は、林氏や林氏の夫・林健治氏(以下「健治氏」)とは保険金詐欺の共犯関係にあり、捜査官から利益誘導をされるなどして架空の被害を供述している疑いが指摘されていること

②    泉氏は林氏からヒ素入りの飲食物を食べさせられた際、現場に健治氏や複数の麻雀メンバーがいたかのように供述しているにもかかわらず、健治氏や麻雀メンバーたちが誰も検証に立ち会っておらず、検証は事実上、泉氏の供述のみに基づいて行われていること

 などに照らせば、現場で裏づけ捜査が行われた証拠とは、およそ認められません。

2、調査の必要性

 仮に検察官が林氏について、カレー事件のほかにも「23件の保険金目当ての連続殺人・殺人未遂事件」を行っていたと本気で考えているなら、このように現場での裏付け捜査を行ったことを示す証拠を裁判に一切提出しないなどということはおよそ考えられません。

 他方、林氏は確定審において、この23件を全て否認しましたが、確定判決では、23件中6件(内訳は公訴事実3件と類似事実3件)が事実と認められたうえ、林氏が和歌山カレー事件の犯人であることを示す間接事実であるかのように判示されています。

 こうした事実関係に照らせば、検察官がヒ素・睡眠薬使用事件23件の現場での裏付け捜査を行ったことを示す証拠を裁判に一切提出していない事実は、和歌山カレー事件の捜査及び林氏に対する確定審の裁判の信頼性を根本から揺らがせるものです。

 よって、貴庁は林氏の第3次再審請求の審理において、検察官がヒ素・睡眠薬使用事件23件の各現場で裏付け捜査を行ったことを示す証拠を裁判に一切提出していない事情を調査すべきです。

 具体的には、和歌山地検の検事としてカレー事件の捜査、公判を担当した小寺哲夫氏や、23件の事件の被害者とされている6人のうち、現在も存命の4人(健治氏、泉氏、土井武弘氏、M氏)に直接話を聞くなどするべきです(※筆者注・M氏は、原本では実名)。

 
(3) 特記事項

 私はヒ素・睡眠薬使用事件23件の現場のうち、訪ねることが可能な現場は実際に訪ねて取材しましたが、その結果、類似事実3件の現場(岸和田競輪場、■病院内の食堂、喫茶店■)では(※筆者注・■は、原本では実名)、和歌山地検も和歌山県警も裏付け捜査を一切行っていないという事実が実際に判明しています。この事実については証拠化していますので、貴庁が調査のために必要とされるなら、協力することも可能です。

 また、貴庁に本意見書を提出するに際し、私は事前に和歌山地検に事実関係を確認しましたが、「ヒ素・睡眠薬使用事件23件はいずれも、和歌山地検と和歌山県警が林氏を和歌山カレー事件の犯人とするために捏造した架空の事件だとみるほかない」とする私の指摘に対し、和歌山地検は何ら反論しませんでした。この取材結果については、私が運営しているnote(URLは以下の通りです)で公表しています。

 本意見書についても、貴庁に到着次第、私が運営しているnoteで公表します。

●私のnoteのURL https://note.com/ken_kataoka/

以上

・・・・以下、意見書2(テキスト版)・・・・

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