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異を唱える勇気がもらえる映画”グリーンブック”

2018年公開、アカデミー賞作品賞も受賞した”グリーンブック”という映画を見ました。名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

グリーンブックとは、激しい人種差別下にあった1930年代から1960年代のアメリカで発行されていた、アフリカ系の人々が泊まれるホテルが記されたガイドブックのことです。このガイドブックにちなみ、映画のタイトルがつけられたそうです。

今回はそんな映画”グリーンブック”の魅力について書こうと思います。

映画の舞台は1962年、”ジム・クロウ法”によって有色人種の公共施設利用が禁止されていたアメリカ。そんな状況下でアフリカ系のピアニストであるドンは人種差別が特にひどいアメリカ南部でのツアーを計画します。ドンはこの危険なツアーのため、腕っぷし自慢のイタリア系アメリカ人であるトニーをボディーガード兼運転手として雇い、2人は車でツアーを回っていくことになります。

この映画の魅力として、まずはドンとトニーの掛け合いが挙げられます。裕福なドンと育ちの悪いトニーの絶妙にかみ合わないトーク、そのテンポの良さは見ていて心地が良いです。加えて、伏線を回収するクールな笑いも楽しめます。

魅力の2つ目としては、1960年代のアメリカで自らの正当性を主張するドンの勇気です。この時代にアメリカ南部をアフリカ系アメリカ人がツアーをすると、所々で差別的扱いを受けることになることが予想されます。それだけでなく暴力を受ける可能性すら大いにあります。そのような逆境を覚悟のうえで権利の不当な侵害に対し、自ら行動を起こして異を唱え続けるドンの強さに心打たれました。そして、その姿を間近で見ながら考え方が変わっていくトニーの素直さも素敵でした。

バーに入り、人種が違うという理由だけで暴力が振るわれてしまう異常性は50年経った今では理解できます。ただ、もし1960年代当時に自分が白人として居合わせ、その現状に違和感を覚えられていたかは分かりません。映画の中で差別的発言をする際に多くの人が口にしていたのは「ルールだから、伝統だから」といった、自分の頭で判断を行うことを放棄した言葉でした。現代で普遍的と思える固定観念や規則も50年後には異常だと思われているものも多いんじゃないかと思います。やり過ごしている違和感や不当な固定観念・規則に対して疑いの視点を投げかけ、声を上げることがよりよい未来を作っていく。そんな勇気がもらえる作品でした。

おすすめなのでぜひ見てみてください。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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